『選ばれた女』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:49 UTC 版)
「アルベール・コーエン」の記事における「『選ばれた女』」の解説
再び執筆活動に専念できるようになったものの、原著1,000ページ以上に及ぶ次作『選ばれた女』が発表されたのは1968年のことであった。ケファリニア島(ギリシャ)生まれのユダヤ人で国際連盟事務次長のソラルと貴族ドーブル家の血筋を引く美貌のアリアーヌの恋愛を描いたこの大河小説を、小説家のジョゼフ・ケッセルは「文句なしの傑作」と絶賛し、フランソワ・ヌリシエ(フランス語版)は「各文化で各世紀に生まれる10作ほどの作品の1つ」であり、『失われた時を求めて』に匹敵する作品であると評した。また、ソラルはモリエールのドン・ジュアン、スタンダールの小説『赤と黒』のジュリアン・ソレルおよび『パルムの僧院』のファブリス・デル・ドンゴの系譜に連なる人物であり、この作品は、当時の主流であったヌーヴォー・ロマン(アンチ・ロマン)が、簡潔で客観的な描写に徹したのに対して、逆に「ロマネスク」で「バロック」で、いかなる流派にも属さない、独立した地位を確立していると評価された。『選ばれた女』は1968年のアカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞した。ダヴィド・フェンキノス(フランス語版)、ジョエル・ディケール(フランス語版)など多くの若手作家がこの作品の影響を受けている。 本作品はまた、たびたび戯曲化され、コーエンが生前、乗り気でなかったにもかかわらず、2013年にグレニオ・ボルデール監督により映画化されたが(ジョナサン・リース=マイヤーズ、ナタリア・ヴォディアノヴァ主演)不評であり、コーエンの家族の代理人が(原作に忠実な映画作品ではなく)「自由な解釈による作品」であることが「せめてもの救いである」と批判した。
※この「『選ばれた女』」の解説は、「アルベール・コーエン」の解説の一部です。
「『選ばれた女』」を含む「アルベール・コーエン」の記事については、「アルベール・コーエン」の概要を参照ください。
- 『選ばれた女』のページへのリンク