Plague Inc. キュアモード

Plague Inc.

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/03 09:29 UTC 版)

キュアモード

2020年11月に実装されたモードであり、従来のモードとは逆に感染拡大を防ぐことを目的としている。 同モードにおいて、プレイヤーは国際的な疫病対策チームのリーダーとなり、感染の兆候を見つけ、ロックダウンや国境封鎖で感染の拡大を防いだり、地域の経済を支援したりすると同時に、ワクチンの開発を進めていく[7]。 ただし、検疫措置に不満を持つ人間の数が増えると、国の検疫措置が成り立たなくなり、医療崩壊となる。また、行動制限を解除してパンデミックが拡大した場合、プレイヤーに割り当てられた権限力が低下し、0になるとリーダーの職を解かれてゲームオーバーとなる[7]

反響

本作はリリース直後から大ヒットし、2013年にスマートフォン版のバージョンアップで日本語に対応して間もなく、日本のiTunes有料アプリランキングで1位を獲得した[8]

現実世界での疫病の流行との関連

本作は、2012年に発売して以来、2014年のエボラ出血熱(西アフリカ)といった疫病が流行するたびに注目を集めている[9]。 特に2019年末以降、中国武漢市を発端に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行した際は、中国国内のユーザーが「シナリオクリエイター」をつかってこの疫病を題材としたシナリオを作成したほか[9]、日本を含む複数の国のアプリストアのランキングにて本作が首位を獲得するなど[9][10]、大きな注目を集めた。一部のユーザーやメディアからは本作がCOVID-19を題材としているのではないかという問い合わせが開発元に寄せられた[11][9]。一方で、本作は中国のストアから削除される事態も発生しており、「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」元代表の小野憲史はALIENWAREZONEに寄せた記事の中で、この事象についてゲームそのものよりも社会の側に問題があると指摘している[12]

開発元のNdemic Creationsは公式サイトに公開した声明の中で、ゲームのリアリティや教育性を追求したことは認めた一方、本作はあくまでゲームであり、現実社会を扇動するつもりはないと述べている[9]。また、開発元は前述の声明の中で、COVID-19は現実の事象であるとし、健康機関から情報を集めるよう呼びかけた[11][13][14]。 その後、開発元は感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)と世界保健機関(WHO)に計25万ドル(約2800万円)の寄付を行うと共に、ゲーム本来の目的とは逆になる、感染拡大を防ぐモードをWHO専門家の監修を得ながら開発し、2020年11月に追加シナリオ「キュアモード」としてリリースした[15][16]

評価

本作はアメリカ疾病予防管理センターからは伝染病の感染モデルをリアルに表現している点を評価されている[11]エキサイトの米光一成は、iTunes版について「伝染病になって人類滅亡を目指すというゲームは不謹慎かもしれない。だが、いざプレイしてみると、悪だと思えるものに感情移入する中で、多層的な視点で世界を眺め、世界の複雑さと豊かさを知ることができるゲームであることに気付いた」と評している[17]ファミ通のBRZRKは、リアルタイムシミュレーションゲームを遊んでいるようで忙しかったと振り返っている[5]

小野憲史はまんたんウェブによせた記事の中で、キュアモードのゲームデザインについて「パンデミックには初動対策が有効だが、経済活動を抑え込みすぎると、民意が離れるという構造がデザインされている。」と説明し、現実のコロナ対策でも当てはまると述べている。また小野は、本作を通じて感染対策の理解を深め、ステイホーム等の実際の行動につなげることで開発者の意図が達成されると語っている[7]

脚注


注釈

  1. ^ この楽曲は マザー・グースの一つで、歌詞の内容はペストに由来しているという説が有名である[2]
  2. ^ 巷では「Android版は本物は存在せず偽会社が劣化コピー」とまで言われるほど出来映えが悪い。第二の戦略ゲーム「Rebel Inc-反逆の株式会社-」においてはAndroid版もNdemicCreationsが直接開発したものであるためかiOS版との差違がほとんど見受けられず不具合もほとんど無い。
  3. ^ ファミ通でのレビューでは"Mega Brutal"となっている[5]

出典

  1. ^ 【GDC 2015】スマホゲームをPCに移植して成功するために…『Plague Inc.‐伝染病株式会社‐』のサクセスケース”. インサイド (2015年3月8日). 2015年3月8日閲覧。
  2. ^ 鳥山淳子著『もっと知りたいマザーグース』(スクリーンプレイ、2002年)参照。[要ページ番号]
  3. ^ a b c d e f 今年最大の問題作『Plague Inc.-伝染病株式会社-』開発者に接触成功”. ファミ通App (2013年11月28日). 2016年8月20日閲覧。
  4. ^ Cloning vs. Evolution: Pandemic mutates into Plague Inc. - Hookshot Inc.”. hookshotinc.com. 2012年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g BRZRK (2014年5月12日). “E13M1: 研究ノートは出せませんが、俺ウィルスで人類滅亡。『Plague Inc: Evolved』”. 2020年4月17日閲覧。
  6. ^ Dawn of the Planet of the Apes Virus Added to Plague Inc”. www.ign.com. IGN (2014年7月2日). 2014年8月21日閲覧。
  7. ^ a b c 小野憲史のゲーム時評:話題の“伝染病ゲーム”に追加された「キュア」モード”. MANTANWEB(まんたんウェブ) (2021年7月31日). 2021年8月8日閲覧。
  8. ^ 不謹慎な伝染病ゲーム「Plague Inc.」が大ヒットしている理由 1ページ”. エキサイトレビュー. エキサイト (2013年10月7日). 2016年8月20日閲覧。
  9. ^ a b c d e カムライターオ (2020年1月29日). “新型コロナウイルスの危機が迫る今、あの「人類を滅亡させる作品」について語ろう【名作紹介:Plague Inc. -伝染病株式会社-】”. 電ファミニコゲーマー. 2020年2月4日閲覧。
  10. ^ 松脇さんば (2020年1月31日). “【今日の編集部】有料ランキング1位『Plague Inc.‐伝染病株式会社‐』がおもしろかった話”. ファミ通App. 2020年2月4日閲覧。
  11. ^ a b c yakan-boy (2020年1月25日). “『Plague Inc.』はあくまでゲームである―新型コロナウイルス感染拡大による注目受け開発チームがコメント”. Game*Spark. 2020年2月4日閲覧。
  12. ^ 『Plague Inc: Evolved』新型コロナウイルス騒動が示す現実とゲームの関係性【インディーゲームレビュー 第70回】”. ALIENWAREZONE (2020年3月11日). 2020年4月17日閲覧。
  13. ^ 感染ゲーム『Plague Inc. -伝染病株式会社-』が各国のApp Storeの有料ランキングで首位に 開発元の注意喚起も”. Social Game Info. 2020年2月4日閲覧。
  14. ^ あの「伝染病シミュレーションゲーム」が新型コロナウイルスの影響で思わぬ注目、開発元が対応に苦慮”. WIRED (2020年2月4日). 2020年3月29日閲覧。
  15. ^ 伝染病ゲーム「PLAGUE INC.」開発元が新型コロナウイルス対策に25万ドル寄付 感染拡大を防ぐ新モードも発表”. ねとらぼ (2020年3月25日). 2020年3月25日閲覧。
  16. ^ 拡張パック「Plague Inc.:THE CURE」が配信。今度は世界を救う,伝染病対応シミュレーションを体験”. 4Gamer.net (2020年11月12日). 2020年11月13日閲覧。
  17. ^ 不謹慎な伝染病ゲーム「Plague Inc.」が大ヒットしている理由 2ページ”. エキサイトレビュー. エキサイト (2013年10月7日). 2016年8月20日閲覧。


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Plague inc.

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/03 08:28 UTC 版)

Plague Inc.』(プレイグインク)とは、Ndemic Creationsより配信されたシミュレーションゲームである。対応機種はiOSAndroid。さらにPC版では『Plague Inc: Evolved』も発売されている[1]。日本語版の副題は「伝染病株式会社」。


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  1. ^ 【GDC 2015】スマホゲームをPCに移植して成功するために…『Plague Inc.‐伝染病株式会社‐』のサクセスケース”. INSIDE (2015年3月8日). 2015年3月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e 今年最大の問題作『Plague Inc.-伝染病株式会社-』開発者に接触成功”. ファミ通App (2013年11月28日). 2016年8月20日閲覧。
  3. ^ Cloning vs. Evolution: Pandemic mutates into Plague Inc. - Hookshot Inc.”. hookshotinc.com. 2012年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月20日閲覧。
  4. ^ Dawn of the Planet of the Apes Virus Added to Plague Inc”. IGN (2014年7月2日). 2014年8月21日閲覧。
  5. ^ 不謹慎な伝染病ゲーム「Plague Inc.」が大ヒットしている理由 1ページ”. エキサイトレビュー. エキサイト (2013年10月7日). 2016年8月20日閲覧。
  6. ^ 不謹慎な伝染病ゲーム「Plague Inc.」が大ヒットしている理由 2ページ”. エキサイトレビュー. エキサイト (2013年10月7日). 2016年8月20日閲覧。
  7. ^ 鳥山淳子著『もっと知りたいマザーグース』(スクリーンプレイ、2002年)参照。


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