Placzekの分極率近似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/04 17:11 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動この記事には参考文献や外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注によって参照されておらず、情報源が不明瞭です。脚注を導入して、記事の信頼性向上にご協力ください。(2019年5月) |
Placzekの分極率近似とは、以下のような条件下ではクラマース-ハイゼンベルクの分散式が、分子の分極率テンソルで近似的に表されることを指す。
- 始状態および終状態が縮退のない基底電子状態に属する振動状態である。(非縮退条件)
- 励起光のエネルギーが基底電子状態からの電気双極子遷移が許容である励起電子状態への遷移エネルギーと十分離れていて、且つそれらのエネルギー差が励起電子状態における振動エネルギーに比べて圧倒的に大きい。(非共鳴条件)
よってこの近似が成り立つ場合は、ラマン散乱の選択律や偏光則を調べるときは分極率を考えれば良いことがわかる。
この近似はGeorge Placzekによって導入された。
近似が使えない場合
共鳴ラマン散乱では上述の非共鳴条件が成立しない。よってラマン散乱テンソルは非対称になりうる。つまり通常ではラマン不活性であるものが、共鳴ラマン散乱では活性になりうる。
参考文献
- 田隅三生, 浜口宏夫「ラマン分光の基礎」(「赤外・ラマン・振動[I]」(化学の領域 増刊 139号), 坪井正道・田中誠之・田隅三生編, 南江堂, pp. 19-30 (1983))
- 浜口宏夫、平川暁子編:ラマン分光法、学会出版センター、1988、ISBN:4762215686.
- 柴田文明「光散乱の理論」(アグネ出版「固体物理」Vol.20、1985年)
- Placzekの分極率近似のページへのリンク