HTML5
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 02:51 UTC 版)
概要
HTML5は、プロプライエタリなプラグインとして提供されているリッチインターネットアプリケーションのプラットフォームを置き換えることを標榜しており、ウェブアプリケーションのプラットフォームとしての機能やマルチメディア要素が実装されている[7][8]。このため、Adobe Flashなどはサービスを終了することとなった(後述)。
2008年以降に発表されたウェブブラウザの多くはHTML5に対応している。Google Chrome 3.0以降、Safari 3.1以降、Firefox 3.5以降、Opera 10.5、Internet Explorer 9などであり主にaudio
要素・video
要素・canvas
要素への対応が優先して行われた。またWebSocketなど、当初HTML5の一部とされていたものの切り離され別の規格として策定作業が進められているものがある。
広義のHTML5
厳密には別仕様書として分離されているものの、一般的には、ウェブストレージ・WebSocket・Geolocation API・XMLHttpRequest Level 2などもHTML5に含める場合が多い。
W3CのHTML5 Logoでは以下のカテゴリをHTML5に含めている[9]。
- セマンティックス - HTML5の新タグ、RDFa、マイクロデータ、マイクロフォーマット
- オフラインとストレージ - App Cache、Web Storage、Indexed Database API、HTML5ファイルAPI
- デバイスアクセス - Geolocation API、マイク・カメラ、アドレス帳・カレンダー、端末の向き
- 接続性 - WebSocket、サーバー送信イベント (SSE)
- マルチメディア -
audio
要素、video
要素 - 3D、グラフィックス、エフェクト - SVG、
canvas
要素、WebGL、CSS3 3D - パフォーマンスと統合 - Web Worker、XMLHttpRequest Level 2
- CSS3 - Webフォントも含む
W3C
規格 | 初版草案[注 1] | 最終草案[注 2] | 勧告候補[注 3] | 勧告案[注 4] | 勧告[注 5] |
---|---|---|---|---|---|
HTML 5.0 | 2008年1月22日 | 2011年5月25日 | 2014年6月17日[注 6] | 2014年9月16日 | 2014年10月28日 |
HTML 5.1 | 2012年12月17日 | 2016年6月2日[注 7] | 2016年6月21日 | 2016年9月15日 | 2016年11月1日 |
HTML 5.1 2nd Edition | 2016年11月1日[注 8] | 2017年6月20日 | 2017年8月3日 | 2017年10月3日 | |
HTML 5.2 | 2016年8月18日 | 2017年7月18日[注 7] | 2017年8月8日 | 2017年11月02日 | 2017年12月14日[10] |
HTML 5.3 | 2017年12月14日[11][12][13] |
HTML Living Standard
HTML Living Standardは、WHATWGが策定しているHTMLの規格である。W3Cの勧告するHTML5およびそれ以降(HTML 5.1など)は、HTML Living Standardを基にしている。
ただし、2019年5月28日に発表されたW3CとWHATWGの合意[14]以前においては、「W3C側で変更がなされており、両者の仕様には差異が生じている[15][16]」という状況が続いていた。WHATWGはウェブブラウザの開発元により結成されており、この頃においてはHTML Living Standardの方がよく参照されていた[17][18]。
2019年5月28日、W3CとWHATWGは、「HTML Living StandardをHTMLとDOMの唯一の標準とし、W3Cは今後HTMLとDOMに関する標準の策定を行わない」旨合意したことを発表した[14]。以降はHTML Living Standardが唯一の標準規格となり、ある時点におけるHTML Living StandardのレビュードラフトがそのままW3Cの勧告候補や勧告となる。2021年1月28日、WHATWGにあるHTML Review DraftがW3Cによって勧告されたことによってHTML5は廃止された[19]。このため、2021年5月現在、有効なHTMLの標準規格はHTML Living Standardとなっている[20]。
注釈
- ^ 英: First Public Working Draft
- ^ 英: Last call working draft
- ^ 英: Candidate Recommendation
- ^ 英: Proposed Recommendation
- ^ 英: W3C Recommendation
- ^ 2014年4月29日版を勧告候補とした後、2014年6月17日に差し戻しを宣言して2014年7月31日版となる。Philippe le Hegaret (2014年6月17日). “HTML5: ON OUR WAY TO RECOMMENDATION”. W3C. 2020年8月8日閲覧。
- ^ a b 最終草案との記載はないが事実上の最終草案。
- ^ 内容はHTML 5.1勧告そのもの
- ^ 終了区切り子を省略したタグは「閉じないタグ」と呼ばれた。JIS X 4151 "閉じない開始タグ" "閉じない終了タグ"
- ^ ただし、単に内容がないだけの要素を空要素と呼ぶこともある。このため、単に内容がない要素との区別のために、SGMLの付属書Kなどでは強制空要素 (mandatorily empty element) という用語も使われる。
- ^ SGML規格に付属書Kが加わる以前には、空要素の終了タグを記述すること自体が禁止されており。また、付属書Kを参照したHTML 4.01やISO/IEC 15445 でも、HTML4以前と同様に空要素の終了タグを記述してはならないこととなった。またいずれのHTML規格でもNETは "/" だった。
出典
- ^ “W3C HTML”. www.w3.org. 2021年10月15日閲覧。
- ^ HTML5勧告–オープン・ウェブ・プラットフォームの重要なマイルストーンを達成
- ^ HTML 5.1 is a W3C Recommendation | W3C News
- ^ HTML 5.2 is done, HTML 5.3 is coming | W3C Blog
- ^ “HTML Review Draft — Published 29 January 2020 is a W3C Recommendation | W3C News” (英語). 2021年6月21日閲覧。
- ^ The WHATWG Blog » Blog Archive » Spelling HTML5
- ^ “OperaのCEO:「HTML 5でFlashは不要になりつつある」”. CNET Japan. (2009年5月25日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ “Microsoft がAppleやGoogleと同調”Webの未来はHTML5だ”–IE固有仕様がやっと一掃へ”. TechCrunch Japan. (2010年5月1日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ W3C HTML5 Logo
- ^ “HTML 5.2 IS NOW A W3C RECOMMENDATION”. W3C (2017年12月14日). 2020年8月8日閲覧。
- ^ “HTML 5.2 IS NOW A W3C RECOMMENDATION”. W3C (2017年12月14日). 2020年8月8日閲覧。
- ^ 草案(Working Draft; WD ワーキング・ドラフト)……2018年10月18日 - 2020年8月時点での最新版
- ^ “HTML 5.3 W3C Working Draft, 18 October 2018”. W3C (2018年10月18日). 2020年8月8日閲覧。
- ^ a b 新野淳一 (2019年6月10日). “HTML標準仕様の策定についてW3CとWHATWGが合意 今後はWHATWGのリビングスタンダードが唯一のHTML標準仕様に”. ITmedia NEWS. 2020年3月20日閲覧。
- ^ 渡邉卓 (2017年1月1日). “2017年のWeb標準”. gihyo.jp » WEB+DESIGN STAGE » 一般記事 » 新春特別企画. 技術評論社. 2017年3月25日閲覧。
- ^ もんど (2016年10月21日). “W3Cのは『欠陥フォーク』!? HTMLスナップショット2016 ── HTML5 Conference 2016セッションレポート”. HTML5Experts.jp. 2017年3月25日閲覧。
- ^ Ito, Hayato. “六本木ではたらくソフトウェアエンジニアへのよくある質問とその答え (FAQ) (2015 - 2017) — hayato.io”. 2017年3月25日閲覧。 “私も含めて Chrome の開発者が参考にするのは W3C HTML5仕様ではなく WHATWG の HTML Living Standard です。”
- ^ 矢倉眞隆 (2015年11月25日). “まだぼやけているHTML5の将来、WHATWGとの二重管理のジレンマ。W3C TPAC 2015 - Publickey”. Publickey. 2017年3月25日閲覧。 “ブラウザベンダーの開発者の多くはフィードバックが仕様にすぐ反映されることからWHATWG HTMLや「Living Standard」と呼ばれるモデルを好んでいます。(中略)そのためマイクロソフトなどはWHATWGの仕様には直接的に関与していません。もっとも、マイクロソフトから「EdgeチームもWHATWG HTML仕様を参照しているので、(WHATWG HTMLに)特許ポリシーがあれば…」という発言があったのも事実です。”
- ^ “どうしてHTML5が廃止されたのか” (2023年4月5日). 2021年6月21日閲覧。
- ^ “HTML REVIEW DRAFT — PUBLISHED 29 JANUARY 2020 IS A W3C RECOMMENDATION”. W3C. 2021年5月21日閲覧。
- ^ 4.2.5.5. Specifying the document’s character encoding
- ^ 原文HTML5仕様 "Void elements can't have any contents (since there's no end tag, no content can be put between the start tag and the end tag)."
- ^ 原文HTML5仕様 "Void elements only have a start tag; end tags must not be specified for void elements"
- ^ 原文XML仕様 "An element with no content is said to be empty."
- ^ “FAQ – WHATWG Wiki”. WHATWG. 2008年2月25日閲覧。
- ^ The WHATWG Blog » Blog Archive » XHTML5 in a nutshell
- ^ HTML 5 + XML = XHTML 5 | HTML5 Doctor
- ^ “Refer to XML rather than XHTML syntax · whatwg/html@643d1bc” (英語). GitHub (2016年11月25日). 2021年4月17日閲覧。
- ^ “Rename "XHTML parsing" etc to more-accurate "XML parsing" by sideshowbarker · Pull Request #2062 · whatwg/html” (英語). GitHub. 2021年4月17日閲覧。
- ^ “S・ジョブズ氏、「Flash」に対する考えを公開書簡で明らかに”. CNET Japan. (2010年4月30日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ “iPadユーザーの9割が満足、一番の不満点は「Flash非対応」――米調査”. ITmedia. (2010年5月24日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ “スマートフォンの“Flash対応”ニーズ高く――MMD研究所調べ”. ITmedia. (2010年10月22日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ AdobeのCTOがFlash擁護 「HTML5があればFlashは不要」論に反論、ITmedia、2010年2月2日
- ^ アドビがFlash Catalystで考えていること HTML5はFlashの脅威か?エバンジェリストに聞いた
- ^ Flashは比べようもないほどHTML5より優れている
- ^ “アドビ、モバイル版「Flash Player」の開発を中止”. CNET Japan. (2011年11月10日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ Adobe CTO Kevin Lynch Headed to Apple
- ^ “英Financial TimesがHTML5アプリを公開、Appleのアプリ内課金を回避”. INTERNET Watch. (2011年6月8日) 2012年5月30日閲覧。
- ^ “Open Mobile Summit 2011 San Francisco:HTML5か、ネイティブアプリか、それが問題だ”. ITmedia. (2011年11月10日) 2012年5月30日閲覧。
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