GSM GSMの概要

GSM

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/06 02:48 UTC 版)

概要

GSMは世界のほとんどの国・地域で使用されているが、日本韓国ツバルでは使用されていない。 2008年現在、世界の携帯電話端末市場の82%はGSM方式であり、携帯電話方式の中で最も使われている。世界の212ヵ国で約20億人が利用している。電波の利用効率が悪いことを問わない、中古インフラや中古端末が安価であることから、発展途上国では主流である。

デジタル携帯電話方式で、世代では第二世代携帯電話 (2G) に分類される。しかし、最新技術を取り入れ、次々と改訂版を出している。最初は、回線交換(音声とデータ)でスタートした。やや遅れて、GPRS(パケット交換データ通信)が追加され第2.5世代と呼ばれ、さらに上位のEDGEを含むことで第2.75世代と呼ばれる。また、その上のEDGE Evolutionでは第3世代に近いデータ転送速度が出せる(後述)。2000年代前半にはGSMネットワークにおいてGPRSは広く普及し、オペレータによってはEDGEを導入したところもあった。

GSM方式やWCDMA方式のSIMロックされていない端末を1台持っておくと、現地の事業者が対応していれば、その発行するSIMカードを買い、現地の携帯電話として現地の電話料金で携帯電話を使用できる。多くの国では空港に携帯電話会社のサービス窓口があり、プリペイドSIMカードを入手しすぐに使用できる。

そのほか、自動国際ローミングを備えるため国が変わっても使用できることや、SIMカードでサービスアカウントを管理するため端末電気通信事業者を分離できプリペイド式携帯電話電話機の自由な取替えが容易であることなどの特徴がある。

また、GSMを採用した携帯電話キャリアは3G方式にW-CDMA (UMTS) を選択することを3GSMと呼ぶこともある。

なお、GSMに使用されているA5/1、A5/2などと呼ばれる通信プライバシー保護用の暗号化はいくつかの深刻な弱点が指摘されており、豊富な計算能力があれば数分で解読が可能である。暗号仕様設定当時よりもコンピュータの処理能力が飛躍的に向上し、当時であれば必要十分であった暗号強度も破ることが可能となった。

歴史

各国で異なるアナログ方式でサービスが行われていた欧州において、1982年に欧州郵便電気通信主管庁会議 (CEPT: Conference of European Postal and Telecommunications administration) が GSM (Groupe Speciale Mobile) でデジタル方式携帯電話の統一規格の策定を開始した。1987年に統一規格として採択され、これはGSM1987ともよばれる。1991年フィンランドで初のサービスが開始された。

欧州各国で採用され、大量生産されたためシステムが安価となった。また、メーカー・欧州の標準化機関が一体となって他の地域でも採用されるように働きかけを行ったため、広く普及した。

2016年以降、オーストラリア、米国などでGSMの一部停波が始まっている。シンガポール、台湾では2017年に全面的にGSMサービスを終了した。

日本のキャリアでは、ソフトバンクモバイルNTTドコモのほぼ全ての機種が対応し、auは3G対応機種の一部と4GLTE専用(VoLTE対応機種等)のほぼ全ての機種が対応する。なお、日本で発売される対応機種の殆どはGSMネットワークで使用される事の多い周波数(900MHzと1800MHz)へ対応しているため、北米以外の多くの国と地域で国際ローミングが可能な場合がある[1]

周波数帯

周波数帯
上り (MHz) 下り (MHz) 間隔 (MHz) 帯域幅 (MHz) 地域
GSM400 T-GSM380 380.2 - 389.8 390.2 - 399.8 10 9.6×2
T-GSM410 410.2 - 419.8 420.2 - 429.8 10 9.6×2
GSM450 450.4 - 457.6 460.4 - 467.6 10 7.2×2
GSM480 478.8 - 486.0 488.8 - 496.0 10 7.2×2
GSM700 GSM710 698.0 - 716.0 728.0 - 746.0 30 18×2
GSM750 747.0 - 762.0 777.0 - 792.0 30 15×2
GSM800 T-GSM810 806.0 - 821.0 851.0 - 866.0 45 15×2 中国
GSM850 824.0 - 849.0 869.0 - 894.0 45 25×2 北米
GSM900 P-GSM900 890.0 - 915.0 935.0 - 960.0 45 25×2 アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米
E-GSM900 880.0 - 915.0 925.0 - 960.0 45 35×2 アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米
R-GSM900 876.0 - 915.0 921.0 - 960.0 45 39×2 アジア、欧州
876.0 - 888.0 921.0 - 925.0 45 4×2 アジア、欧州
T-GSM900 870.4 - 876.0 915.4 - 921.0 45 5.6×2
GSM1800 DCS1800 1710.0 - 1785.0 1805.0 - 1880.0 95 75×2 アジア、アフリカ、オセアニア、欧州、中南米
1710.0 - 1755.0 1805.0 - 1850.0 95 45×2 PCS1900併用地域、中南米
GSM1900 PCS1900 1850.0 - 1910.0 1930.0 - 1990.0 80 60×2 北米、中南米

使用される周波数帯には、主に次の4つがある。

  • 850MHz米国など
  • 900MHz帯 欧州やアジアなど
  • 1800MHz帯 欧州やアジアなど
  • 1900MHz帯 米国など

もともとのGSM規格は、900MHzからスタートし、周波数枠を広げるために、ついで、1800MHzが使われた。南北アメリカは、周波数割り当てが異なったため、これらの地域では、1900MHz,850MHzでGSMが使われる。

900/1800MHz帯ないしは850/1900MHz帯に対応した携帯電話機をデュアルバンド (Dual-band) 機、900/1800/1900MHz帯に対応した携帯電話機をトライバンド (Tri-band) 機、850/900/1800/1900MHz帯に対応した携帯電話機をクワッドバンド (Quad-band) 機と呼ぶ。

なお、北米では850/1800/1900MHzのトライバンド機もある。

日本、韓国、ツバル以外の世界中で最低一つ以上の周波数帯域が割り当てられている。




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