Amiga
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 23:44 UTC 版)
ハードウェア
カスタムチップセット
AMIGAは発売当初より複数の強力なカスタムチップを搭載していた。4096色パレット中16色表示、ないしは32色表示、特殊モードであるHAMでは4096色全部を表示、スプライト機能を有するグラフィックのAgnusとDenise、PCM音源同時発音数4音と、サウンド関連の処理を得意としたPaulaの3つである。この3つのカスタムチップの組み合わせを後にOCS(Original Chip Set)と呼ぶ。そして、これらのカスタムチップはCPUの命令を介さず、独自にメモリにアクセスできる権限を持っていた。これをダイレクトメモリアクセスと呼ぶ。
後にアクセスできるメモリー数を増やしたECS(Enhanced Chip Set)がAmiga 500Plus、そしてAmiga3000での標準カスタムチップセットとなった。
なお、実際はAmiga 3000の設計時には後にAmiga 4000、Amiga 1200、そしてAmiga CD32に搭載されたカスタムチップセットであるAGA(Advanced Graphics Architecture、またはイギリスではAdvanced Graphics Arrayと呼ぶ)チップセットは完成していたらしいが、コモドールはAmiga 3000に搭載することをわざわざ見送ったらしい。AGAチップセットの内訳は画像関係はAlice、Lisaというカスタムチップが処理し、音声関係は再びPaulaが扱った。これでAmigaは24bitカラー中256色を同時発色、特殊モードであるHAM-8では262,144色を同時発色できるようになっていた。
また、ライバル機であるアップル Macintoshは初期は白黒2色表示であり、Amigaより高価だったにもかかわらず画像表示の点で市場に与えるインパクトは初代Amigaには到底及ばなかった。しかし、Macintoshは1987年のMacintosh IIで256色同時表示を実現し、のちに24ビットカラーに移行していく。Macの描画エンジンであるQuickDrawはカラー化を考慮して設計されており、Amigaのような互換性問題はほとんど生じなかった。カスタムチップに頼らずソフトウェアの工夫で様々な機能を実現するというMacintoshの設計思想はAmigaとは対照的であり、Amigaの強力なカスタムチップは、互換性を保ちながら高性能化を図っていくにあたって足枷となった点も否定できない。
Amigaのグラフィックス
AMIGAのグラフィック表示方式は通常のWindowsパソコン、またMacintoshなどと大きく異なる。これら普通のパソコンでの画像処理は、VRAMという特殊RAMのメモリ一つ一つがモニターのピクセルと関連付けられていて画像処理の度に書き換わる、ビットマップ方式と呼ばれるもので、高速なスクロール処理には向かない、といった欠点を持つ。対してAMIGAはWindowsを採用する以前のPC-9801シリーズなどと似た、ビットプレーン方式という画像処理方法を採用していた。単色の画面を複数重ねることで多色表示をする構造で、ビットマップ方式と比べるとビットプレーン方式は色数が少ない場合にスクロール処理が比較的有利である。AMIGAは使用目的に合わせて必要な画面の数を変えることで処理速度とメモリの節約をしていた。VRAMというグラフィック表示専用のメモリ領域がなく、各種カスタムチップでメモリを共用していたからである。
- ^ a b c d e f “Amiga 500の復刻か? 「THEVIC20」も発売目前のRetro Gamesが新製品のシルエットを公開”. 4Gamer.net. Aetas (2020年10月14日). 2022年8月12日閲覧。
- ^ Amiga Format誌の1993年6月号による[1]
- ^ a b “レトロンバーガー Order 79:Amigaの時代が来ている。「1993 シェナンドー」が発売されたし,「The A500 Mini」も発売目前だし編”. 4Gamer.net. Aetas (2022年3月12日). 2022年8月12日閲覧。
- ^ Macintoshは1987年のMacintosh IIでカラー化、1990年にアップルはApple IIGSの後継として安価かつカラー表示が可能なMacintosh LCをリリースし、1990年代にはApple IIに代わってMacがAmigaの競合機となる。
- ^ 平沢進『来なかった近未来』株式会社ファッシネイション、2012年4月9日 。
- ^ メガドライブの欧州版。SNES(スーパーファミコン)やTurboGrafx-16(PCエンジン)を抑えて欧州の市場を握った
- ^ “'AmiWest: Dickinson and Solie talk about A-EON's and Hyperion's current projects'”. www.amiga-news.de. 2019年6月17日閲覧。
- ^ “Amiga iz 21. stoljeća je u prodaji :: Vijesti @ Bug Online”. Bug Online. 2019年6月17日閲覧。
- ^ デラックスペイントはエレクトロニック・アーツが開発したペイントソフト。後にPC・コンシューマゲームのメーカーとなるエレクトロニック・アーツは、かつてはAmigaを代表するソフトメーカー・ゲームメーカーであった
- ^ “レトロンバーガーOrder 34:見ざる,聞かざる,ボンバザル。サル蔓延の現代社会に「ボンバザル」で点々と花を咲かせにいこうぜ編”. 4Gamer.net. Aetas (2020年3月28日). 2022年8月12日閲覧。
- ^ “Reportage: l'Amiga à la NASA”. obligement.free.fr. 2006年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年6月9日閲覧。
- ^ “Even NASA used Amigas on YouTube”. Youtube.com (2012年9月5日). 2013年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月24日閲覧。
- ^ “NASAのスペースシャトル打ち上げを制御していたのは「Amiga」だった”. Gigazine (2021年11月13日). 2021年11月14日閲覧。
- ^ “Info magazine issue 13” (1987年1月). 2016年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月26日閲覧。
- ^ Eric Limer (2015年6月12日). “One Ancient Commodore Amiga Runs the Heat and AC for 19 Public Schools”. Hearst Digital Media. オリジナルの2015年6月15日時点におけるアーカイブ。 2015年6月15日閲覧。
- ^ “1980s computer controls GRPS heat and AC” (2015年6月11日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月29日閲覧。
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