2020年東京オリンピック構想 開催反対論

2020年東京オリンピック構想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 04:06 UTC 版)

開催反対論

オリンピック開催に関する反対意見は、国や地域、開催年に関わらず出されるが、当オリンピックに関しても同様である。当オリンピック開催反対への主張としては、「オリンピックの他にすべきことがある」、「金の無駄遣い」、「オリンピックよりも被災地の支援・市民生活向上に金を使うべき」等々がある[22]

しかしながら、これら反対論者の間でも、既に開催が決まったオリンピックに対しては、特定の国や民族に対する偏見や差別がなくなることへの望み、これを機に海外から訪れる外国人に被災地の現状を見てもらうべき、都市が整備されることへの期待、開催するからには盛り上げて欲しい、等々のメッセージが発せられている[23]

開催反対論者

  • 小田嶋隆 - 開催賛成派の圧力により自由な意見を言えなくなるのではないかと危惧し、収益目的のオリンピックを東日本大震災の復興や不況からの脱出などの人心を掴みやすい言葉でごまかしていることに違和感を感じると述べている[23]
  • 内田樹 - 現在のオリンピックは商業化しているため反対とする主張[23]。一方で、1964年東京オリンピックでは、国籍に関係なく互いに讃え合う選手たちを見て、世界は仲良くできると感じたという[23]。また、外国や他民族への偏見や差別がある日本の現状を指摘し、これら偏見や差別がなくなるような成熟した国民感情となるのであればオリンピック開催の意義はあるとしている[23]
  • 大宅映子 - 開催はイスタンブールのほうが良かったと述べている[23]。一方で、外国からオリンピックに訪れる人々への気遣い等、ソフト面で優れたオリンピックになることを望んでいる[23]
  • やくみつる - 開催よりも東日本大震災の被災地の現状を考えるべきと述べている[23]。同時に、開催を機に都市の防災に関する整備が強化されることを望んでいる[23]
  • 津田大介 - 東京ではなく、東日本大震災のあった東北で開催して欲しかったと述べている[23]。オリンピックにより外国から訪れる観光客が、東日本大震災の被災地を訪れられるような仕組み作りを希望している[23]
  • 想田和弘 - 安倍晋三国際オリンピック委員会での福島第一原子力発電所汚染水事故に関して「状況はコントロールされている」とする発言が、福島第一原子力発電所事故とオリンピックを結びつけたとし、注目していきたいと述べている[23]
  • 久米宏 - 当オリンピックにおける問題点を指摘し、「オリンピックより優先すべきことがある」、「汚染水問題の深刻化露呈や、それにかかる専門家の招聘などすべてオリンピック開催が決まってからだ」、「東京で開催するのに、東日本大震災の被害を受けた東北の復興に役立つと言っている人々がいる」、「オリンピックにかかる費用をすべて東日本大震災の復興に寄付したほうが被災地のためである」、「様々な問題を抱える中でオリンピック開催のお祭り騒ぎには同調できない」等々、開催に反対している[24]。その一方では、オリンピックそのものには反対しているわけではないとも述べおり[24]、東京パラリンピックには賛成している。
  • 赤川次郎 - 「テロ等準備罪」を新設する改正組織的犯罪処罰法の採決に際して、2017年6月15日朝日新聞の「声」欄に、「これがなければ五輪が開けない? ならば五輪を中止すればよい。」といった内容の自身の投稿が掲載された[25]
  • 坂茂 - 2012年の新国立競技場建築コンペに応募はしたものの、中東・イスラム圏で最初の五輪となることから、開催地選考の時点では絶対にイスタンブールにすべきだと思っており、「それが、まぁ東京に決まった」との印象を持ったという[26]
  • 浅田彰 - 共同で運営するウェブサイトに「新国立競技場問題をめぐって」という文章を2016年1月4日付で寄稿し、文章中で「その前に「そもそも論」を言えば、そもそもオリンピックを招致したのが間違っていたのは明らかです。ロサンゼルス大会の頃から、現代のオリンピックは、ポピュリスト政治家、土木建設業者、そしてマス・メディアと広告代理店のためのカネまみれのイヴェントになり果てた。「アスリート・ファースト」と言うけれど、それなら良い季節を選んで10月10日に開会した1964年東京大会の例に倣えばいいものを、欧米を中心とするTVのプロ・スポーツ中継がシーズン・オフになる真夏の猛暑の中でしか開けなくなっている。実は、インターネットでのストリーミングなどが盛んになって、10億人以上がTV中継でオリンピックを見る、従ってTV局やスポンサーが巨額の放映権料を支払うというビジネス・モデルは時代遅れになっているのだけれど、そういう状況だからこそ古いマス・メディアや広告代理店(日本なら電通)はオリンピックという「キラー・コンテンツ」にいっそう固執するのでしょう」と分析した。また復興については、安倍首相がIOC総会で発言した通り福島第一原発が「統御下にある」ならば、「東北の復興を加速するためにも東京ではなく福島でオリンピックを開催すべきだった」「現在の日本にとっての急務は4年たっても被災者の生活再建が遅々として進まない状況の打開であって、本当はオリンピックなど開催している余裕はない」「この問題自体、日本がオリンピックを開催すべき状況にないという現実の明白なあらわれ」と述べている。招致についても「出来レースで福岡に勝った東京も、結局2016年オリンピックの招致に失敗したわけですね。ならば東京は手を下せばよかったのに、いわば惰性で手を挙げていたら、2020年は(略)財政的に余裕があるとみなされた東京が安全パイとして選ばれてしまったわけですよ。そもそも招致活動の初期には東京での市民の支持が他都市と比べても低いことがIOCで話題になったくらいで、「日本国民全員が一丸となった招致活動でオリンピックを勝ち取った」というのは結論が出た後にマス・メディアが捏造した幻想です」と断じた。[27]

注釈

  1. ^ a b ネーミングライツの使用はIOCの規定により使用できないため、本来の名称での開催となる。
  2. ^ 東京は世界大都市気候先導グループ(C40)が、気候変動対策として都市の持続可能性を考慮しつつ先導的な活動を行った都市を表彰するため2013年に創設した気候リーダーシップ賞の第一回受賞都市であり、新たに制定された都市の低炭素化の促進に関する法律(略称:エコまち法)の適用も目指す→詳細はエネルギー効率改善都市を参照

出典

  1. ^ 立候補ファイル(日本語版)(P13)
  2. ^ 東京五輪招致、強みは4000億円基金・半径8キロ内競技
  3. ^ ビジョン、レガシー及びコミュニケーション - 東京都 (PDF)
  4. ^ “都市景観”というオリンピック・レガシーの創造-東京五輪2020の都市像 土堤内昭雄 - ニッセイ基礎研究所
  5. ^ Olympic Agenda 2020(英語) (PDF) - IOC
  6. ^ カルチュラル・オリンピアード - スポーツ振興くじ助成金事業 (PDF)
  7. ^ 東京オリンピック&スポーツ/文化ダボスの影響力 - 文部科学省
  8. ^ 東京都が「文化ビジョン」 芸術祭創設、五輪の遺産に - 日本経済新聞2015年1月31日
  9. ^ 視点・論点「東京五輪と文化プログラム」 - NHK
  10. ^ 東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とした京都ならではの文化・スポーツ・観光振興 - 京都府
  11. ^ 16年からボランティア募集 東京五輪みんなの力で - 東京新聞2013年9月21日
  12. ^ 東京都観光ボランティア - 東京観光財団
  13. ^ オリンピック・パラリンピックおもてなしグループ - 総務省
  14. ^ 2020年へ ITが変える五輪と社会 - NHK NEWSWEB
  15. ^ 公衆無線LANの整備の促進 - 総務省
  16. ^ 浜離宮に都が迎賓館 知事表明 五輪で要人もてなし - 東京新聞 2015年1月7日
  17. ^ 山手線、40年ぶりの新駅を検討 - ウィキニュース2012年1月4日
  18. ^ 虎ノ門ヒルズ西側に日比谷線の新駅 東京都が構想示す - 朝日新聞2014年9月16日
  19. ^ 読売新聞 平成27年2月26日夕刊
  20. ^ 【舛添都知事日記】東京五輪後に「水素社会の実現」というレガシーを残したい! - 現代ビジネス 2014年12月2日
  21. ^ スペシャルオリンピックス、東京誘致 19年以降の夏季 - 朝日新聞デジタル 2013年11月26日
  22. ^ ビジネスジャーナ (2013年9月18日). “東京五輪、反対派の見解は? 巨額予算を福祉に回せる、無駄遣い…韓国は妨害活動を支援か ビジネスジャーナル”. ビジネスジャーナ. 2014年10月3日閲覧。
  23. ^ a b c d e f g h i j k l ビジネスジャーナ (2013年9月12日). “朝日新聞デジタル:東京五輪、決まったからには 招致反対の立場から注文 - 2020東京オリンピック”. 朝日新聞. 2014年10月3日閲覧。
  24. ^ a b ライブドアニュース (2013年9月20日). “久米宏が東京五輪反対を表明 「最後のひとりの日本人になっても、反対は続けていく」 - ライブドアニュース”. ライブドアニュース. 2014年10月3日閲覧。
  25. ^ 共謀罪、強行成立の横暴に著名人たちが怒りの声!赤川次郎、中原昌也、末次由紀、平野啓一郎、アジカン後藤、ウーマン村本、ケラ...... - LITERA、2017年6月15日(木)
  26. ^ 「建築界のノーベル賞」が志向する、建築家の大切な使命とは (3/3) プレジデントオンライン 2014年5月9日
  27. ^ REALKYOTO – CULTURAL SEARCH ENGINE » 新国立競技場問題をめぐって”. 2020年4月23日閲覧。
  28. ^ 2020 東京招致オフィシャルパートナーを発表 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 2013年8月9日
  29. ^ 東京2020オリンピック・パラリンピック招致アンバサダーを発表 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 2013年1月8日
  30. ^ "ドラえもん" 東京2020オリンピック・パラリンピック招致スペシャルアンバサダーに就任 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 2013年4月5日
  31. ^ 招致スペシャルアンバサダー ドラえもん 28競技のポスターが登場 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 2013年8月23日
  32. ^ IOC総会へ向けての記者会見・2020年東京オリンピック・パラリンピック招致出陣式 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 2013年8月23日





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