高松琴平電気鉄道琴平線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 09:02 UTC 版)
概要
当線は、高松琴平電気鉄道の前身の一つである琴平電鉄により、金刀比羅宮参詣路線の一つとして1926年に開業した。一時、琴平へは高松・坂出・多度津から国有鉄道・琴平電鉄・琴平参宮電鉄・琴平急行電鉄の4事業者が鉄軌道路線を延ばしていたが、国有鉄道の後身の四国旅客鉄道(JR四国)土讃線とこの路線だけが残っている。
高松築港 - 瓦町間では国道30号が、瓦町 - 仏生山間は国道11号・国道193号(旧高松藩街道における「仏生山街道」)が、仏生山 - 円座間は香川県道12号(律令制における「南海道」、旧高松藩街道における「川島街道」)が、円座 - 琴電琴平間は国道32号(旧高松藩街道における「琴平街道」)が、それぞれ並行する。
2020年11月時点で複線化されているのは高松築港 - 栗林公園間と三条 - 太田間のみだが、一宮までは複線用の用地が確保されている(ただし、2006年7月に開業した空港通り駅はその複線用の用地上に建設された)。三条 - 太田間については、2007年12月9日には国道11号高松東道路付近の高架橋が完成したが、高架橋も当初単線で供用されたものの複線仕様で建設されている。高松市が整備の意向を示していた後述の新駅構想では、第一段階としては太田駅まで、将来的に仏生山駅までを複線化するとしていた[2]。2020年に新駅が伏石駅として開業する直前に複線化された。
高松築港 - 栗林公園間のうち、高松築港からの2.6kmについては1998年に香川県が連続立体交差事業の都市計画を決定したが、その後の琴電の民事再生法適用や県財政の悪化により、2005年に事業の一時休止が決定された。香川県は検討委員会を設置して対応の協議をおこない、検討委員会は2009年5月に当初予定通りの高架化・国道11号以北のみへの縮小・さぬき浜街道の踏切部の道路側の高架化の3案を答申した。事業認可は2010年度末で失効するため、県はそれまでに中止も含めた決定を求められることになった[3]。香川県知事真鍋武紀は2009年10月6日の県議会定例本会議で、「現状で再開のめどが立たず、来年度末までの事業認可期間の延長も非常に困難」と述べて事業の中止に向けた意向を示し、10月24日に県の公共事業再評価委員会に事業中止を諮問した。委員会は2010年1月8日に事業中止を答申し、これに基づき真鍋は2月25日の県議会で計画の中止を正式に表明した[4]。ただし、将来の事業再開や変更に備えて都市計画決定自体は存続させる見通しと報じられた[5]。中止表明から12年が経過した2022年3月28日に開かれた、県の都市計画に関する会合で、高架事業の都市計画自体を廃止する方針が決定された[6]。
これとは別に2007年に就任した高松市長大西秀人はLRTの導入に前向きな姿勢を示し、2008年より「総合都市交通戦略検討会議」を設置し、琴平線へのLRTの導入を軸とした案の検討を行っている。琴電側は投資効果等を理由に慎重な姿勢を示している。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):32.9km
- 軌間:1435mm
- 駅数:23駅(起終点駅含む)
- 複線区間:高松築港駅 - 栗林公園駅間、三条駅 - 太田駅間
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 保安設備:琴電形ATS
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:80km/h[1]
- 車両基地:仏生山車両所(最寄駅・仏生山駅)
- 最大連結車両数:4両
- IC乗車カード対応区間:
- IruCaエリア:全線(全国相互利用サービス対応交通系ICカードも対応)
-
高松市内の複線区間を走る750形電車
(2007年) -
瓦町駅北側ですれ違う1100形と1080形電車
(2004年) -
JR高徳線と琴平線の立体交差点。
(2011年) -
栗熊駅付近の田園地帯を走る1060形+1020形電車
-
JR土讃線と琴平線の立体交差部。 高架が土讃線。中央が琴平線。右側が琴平線複線化用地。
(2018年)
- ^ a b ことでん(電車)に寄せられたご意見 - 高松琴平電気鉄道、2016年7月
- ^ a b ことでん新駅(太田〜仏生山駅間)整備 - 高松市公式サイト
- ^ 「最終結論に込めた意味~琴電連立事業見直し委」四国新聞2009年6月7日
- ^ 琴電立体交差中止ほか知事答弁/2月定例県議会四国新聞2010年2月26日
- ^ 知事「再開めど立たず」/琴電立体交差事業中止へ四国新聞2009年10月7日
- ^ “香川県がことでんの高架事業「廃止」へ 事業中止からは約10年経過”. 瀬戸内海放送. (2022年3月28日) 2022年3月29日閲覧。
- ^ ダイヤ改正 高松琴平電気鉄道株式会社 2010年。
- ^ 琴電、23年度の鉄道事業増益へ 前年度の営業係数も公表日本経済新聞2023年12月4日
- ^ 『60年のあゆみ』高松琴平電気鉄道、1970年、P65。
- ^ 大島一朗『ことでん長尾線のレトロ電車』JTBパブリッシング、2006年、p.32
- ^ 10月25日許可「鉄道譲渡」『官報』1943年11月1日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 『鉄道ジャーナル』第31巻第8号、鉄道ジャーナル社、1997年8月、87頁。
- ^ 2020年開業の伏石駅はこの高架区間にある。
- ^ ことでん琴平線 三条—太田間が複線化される - 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2020年11月2日掲載
- ^ 『伏石駅の第一期開業及びダイヤ改正について』(プレスリリース)高松琴平電気鉄道、2020年11月6日。 オリジナルの2020年11月6日時点におけるアーカイブ 。2020年11月6日閲覧。
- ^ 琴電「綾川駅」12月15日開業/陶-滝宮駅間の新駅 - 四国新聞2013年10月19日
- ^ 琴電・陶―滝宮間新駅のイメージ図公表 - 四国新聞2012年12月30日
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