阪急5200系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/28 03:47 UTC 版)
阪急5200系電車 | |
---|---|
阪急5200系電車(1980年 西宮北口駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 阪急電鉄 |
製造所 | アルナ工機 |
製造年 | 1970年 - 1971年 |
製造数 | 25両 |
廃車 | 2000年 |
投入先 | 神戸線 |
主要諸元 | |
編成 | 6両編成・8両編成 |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 | 直流1500V |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 110 km/h |
起動加速度 | 2.8 km/h/s |
減速度(常用) | 4.5 km/h/s |
減速度(非常) | 5.0 km/h/s |
車両定員 |
座席48・立席92(先頭車) 座席52・立席98(中間車) |
自重 |
37.5t(5200形) 37.4t(5240形) 36.7t(5740形) 36.2t(5700形) 29.7t(5250形) 26.5t(5750形) |
編成重量 | 277.7t |
全長 | 19,000 mm |
全幅 | 2,750 mm |
全高 | 4,090 mm |
台車 | FS-369、FS-069 |
主電動機 |
直流直巻電動機 形式:SE542 |
主電動機出力 | 170 kW × 4 |
駆動方式 | カルダン駆動方式 |
歯車比 | 1:5.31 |
編成出力 | 4,080 kW (6M2T) |
制御方式 | 抵抗制御 |
制御装置 | 東芝 MM28C |
制動装置 | 電磁直通ブレーキ・発電ブレーキ(形式:HSC) |
保安装置 | ATS |
通勤冷房車時代の到来
1968年に京王帝都電鉄の5000系で冷房装置が搭載されたのを機に、通勤車の冷房化が各社で開始された[2]。1969年12月に関西私鉄初の通勤冷房車として京阪電気鉄道の2400系が登場[2]、阪急においても冷房車導入の機運が高まった。
1970年から1971年にかけて、神宝線用車両として25両が製造された。当時は5000系の増備車である5014×6の編成として計画されたが、試作的要素が多いことから新形式の5200系とされた[1]。
5200系の成果を基に5100系が量産され、在来車の冷房化改造も京都線特急車の2800系より順次着手された[2]。
車体
車体は5000系を継承しているが、冷房装置の搭載のため屋根部が設計変更され、屋根高さが従来より70mm高くなった[1]。屋根高さはレール面より3,680mmで、屋根肩のRも4600mmから3600mmと小さくなり、屋根の尖ったスタイルとなった[1]。
主要機器
冷房装置
冷房装置は8000kcal/h(9.3kW)のRPU2202形冷房装置を、パンタグラフ設置車は4基、他は5基搭載した。分散式と集中式の利点を取り入れた方式で「集約分散式」と名付けられ、阪急の冷房車の標準方式となった[1]。
第1編成(5200F)での運用の結果、冷房装置の搭載基数は4基でも十分とされたことから、第2編成(5201F)以後は全車4基搭載に統一された。第2編成以降のパンタグラフのない車両のクーラーキセは、1つがダミーとなっている[1]。
台車
台車は5000系以降阪急標準となった住友金属工業製造のS型ミンデン式空気ばね台車である。冷房装置の搭載で重量が増加したことから、車輪の軸受径を110mmから120mmに太くし、空気ばね容量も増加させた改良型のFS-369A(M車)、FS-069A(T車)を履いたが、5200×8では予備台車削減のために全車FS-369Aを履いた。
電装品
モーターは東芝製のSE542(170kW/h)、制御器も同じく東芝製のMM28Cと、5000系と同様である。補助電源装置(MG)はCLG-326M(60kVA)を5200、5740、5250の各形式に2両に1両の割合で搭載し、いずれのMGが故障した場合でも冷房以外の負荷に対して自動的に切り替えて給電できるよう、送受電切替装置が開発された[3]。
駆動装置はWN継手に代わり、撓み板継手を使用した[4][5]。
連結器
連結器は常時編成の先頭に出る5200形と5250形は通常の自動連結器を装備したが、増解結運用に従事する5240形のうち5240 - 5243と、5200形のうち5230 - 5233については、電気連結器付き密着連結器を装備した。連結部の形状は円錐形であり、後年の6000系以降のものとは異なっていた。なお、5244については当初より増解結運用に入らない予定で、自動連結器を装備したうえで登場している。
車種構成
編成は最大の固定ユニットが6両となり、5000系にはないM'車(5740形)が登場した[3]。当時計画されていた山陽電気鉄道への直通列車の増解結運用に備え、増結車も含めて製造されている[3]。
以下の形式で構成される。
- 5200形(M'c)
- 5240形(Mc)
- 5700形(M)
- 5740形(M')
- 5250形(Tc)
- 5750形(T)
注釈
出典
- ^ a b c d e f 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。248頁。
- ^ a b c 篠原丞「阪急クロスシート車の系譜3」『鉄道ファン』2004年3月号、交友社。131-132頁。
- ^ a b c d e f g 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。249頁。
- ^ a b c d e f g h 山口益生『阪急電車』177頁。
- ^ a b 『私鉄の車両5 阪急電鉄』37頁。
- ^ 山口益生『阪急電車』176頁。
- ^ 阪急電鉄・諸河久『日本の私鉄7 阪急』保育社、1990年。92頁。
- ^ a b c 佐々木晶朗「阪急電鉄 車両のうごき」『鉄道ピクトリアル』2000年4月号、92頁。
- ^ 杉山直哉「阪急8000・8300系30年のあゆみ」『鉄道ピクトリアル』2018年10月号、電気車研究会。79-80頁。
- ^ 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。264頁。
- ^ 阪急7000系7012編成に変化 鉄道ニュース(railf.jp)、2009年1月20日。
- ^ 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。245頁。
- 1 阪急5200系電車とは
- 2 阪急5200系電車の概要
- 3 製造
- 4 編成表
- 5 脚注
固有名詞の分類
- 阪急5200系電車のページへのリンク