金山城 (美濃国)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 02:50 UTC 版)
概要
城郭の形式は梯郭式山城。「兼山城」と表記されることが多い。1967年(昭和42年)に岐阜県指定史跡に指定され[2]、2013年(平成25年)に国の史跡に指定された。
標高約277メートルの古城山の山頂に築かれ、天守台を山頂に配置し、本丸を中心に二の丸、三の丸、南腰曲輪、西腰曲輪が連郭式に配され、天守台北東側に東腰曲輪と称する一郭がある。
歴史
築城
天文6年(1537年)、斎藤道三の養子である斎藤正義が、烏ヶ峰に築城を行った[3](烏ヶ峰城[3]、
天文17年(1548年)、斎藤正義は近隣の久々利城主土岐悪五郎によって討たれた[4]。その後は土岐十郎左衛門が留守代を務めたという[4]。
森家の居城
永禄8年(1565年)、織田信長は烏ヶ峰城を奪取し、家臣の森可成を城主に据えた[3][4][5]。森可成はこの城を金山城と改称し[3][4][5]、城下町の建設に着手した[3]。
元亀元年(1570年)に近江宇佐山城の戦いで可成が戦死した[4]。その直前に長男の可隆も戦死を遂げていたため、次男の長可が13歳で跡を継ぎ城主となった[4]。長可は、塩や海魚を扱う市場である「魚屋町」、諸商人を集めた「下モ町」(現在の常盤町)、諸職人を集めた「古町」(現在の下町)、船頭・仲仕や船宿を集めた船着場渡り町(現在の下町)を設けるなど、城下町を整備した[3]。
天正10年(1582年)、長可が信濃国川中島(北信地方)に転封されると、弟の森成利が入る。しかし成利は同年中に本能寺の変により討死し、また長可も情勢不安の川中島を捨てて戻って来たため、再び長可の領地となる。天正12年(1584年)に長可が小牧・長久手の戦いで戦死すると、可成の六男の忠政が城主となる[4]。
関ヶ原の合戦前の慶長5年(1600年)、森忠政は川中島藩に転封された[4][5]。
関ヶ原前後
森氏が去った後、金山城は犬山城主石川貞清が兼帯して支配することとなった[4][5]。津田正房『正事記』などには[5]、金山城の建物が解体され、天守は犬山城の天守として移築されたという伝承(「金山越」という[5])が載せられていたが[5]、1961年(昭和36年)の犬山城天守の解体修理の際に調査が行われた結果、移築の痕跡がまったく発見されなかったため、移築説は現在は否定されている。
関ヶ原の合戦後、西軍に与した石川貞清は除封された。松平忠頼(武蔵松山藩主、1万石)が犬山城番となり、金山城の在番も務めた。この際、金山領1万5000石が忠頼に与えられており[6]、「金山藩」2万5000石が成立したと見なす見解もある。忠頼は慶長6年(1601年)に遠江浜松藩に移された[6]。
廃城
松平忠頼が去ったのち、金山城は犬山城主・小笠原吉次の所有となった[4]。慶長6年(1601年)頃に金山城は破却されたとされる[4][5]。
金山村はその後、幕府領を経て、元和元年(1615年)より尾張藩領となったた[7][5]。城跡は留山となった[5]。明暦2年(1656年)、「金山村」は「兼山村」と改められた[7]。
近現代
明治以後、城跡一帯は国有地(官有林)となった[5]。1953年(昭和28年)に兼山町に払い下げが行われた[5]。山上部は岐阜県史跡に指定された[5]。
2006年(平成18年)可児市が約5年かけて兼山城の発掘調査を行った。当時の茶碗や瓦等の多くの遺物が出土した。
2017年(平成29年)4月6日、続日本100名城(143番)に選定された。
遺構
遺構には曲輪、土塁、井戸、堀、石垣などの一部が残り、本丸には石碑が建てられている。城の建造物は慶長5年(1600年)に解体され、麓の兼山湊から木曽川を通じて犬山まで運び犬山城の改修工事に利用されてしまったが、犬山市の瑞泉寺に二の門が、可児市兼山に裏城戸門が移築現存している。
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瑞泉寺に移築されている二の門
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二の門の裏側
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裏城戸門
- ^ a b 「美濃金山城跡が国史跡に指定」可児市公式HP
- ^ “金山城跡”. 岐阜県. 2012年8月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “金山(中世)”. 角川地名大辞典. 2023年6月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “美濃金山城跡の発掘調査について”. 可児市. 2021年11月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “美濃金山城跡”. 文化遺産オンライン. 2021年11月25日閲覧。
- ^ a b 『寛政重修諸家譜』巻第五「松平 桜井」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第一輯』p.27。
- ^ a b “金山村(近世)”. 角川地名大辞典. 2023年6月14日閲覧。
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