迷走神経 概要

迷走神経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 03:02 UTC 版)

概要

延髄における迷走神経の起始部。迷走神経背側核、疑核、孤束核を含む。

迷走神経は脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経である。迷走神経(Nervus Vagus)の「Vagus」とは中世ラテン語で、放浪している事を意味する。

迷走神経は下部延髄に起こり(終わり)、各臓器に広く分布する多数の枝を延ばす。から腹(消化器における下端は横行結腸右1/3)までのほとんど全ての内臓の運動神経副交感性知覚神経が迷走神経の支配である。機能的には心拍数の調整、胃腸蠕動運動発汗発話、大動脈小体における血中ガス分圧の感知、外耳道の体性感覚等に関与する。

主に副交感神経線維であるが、関与する線維の神経核は迷走神経背側核、疑核 nucleus ambiguus、孤束核 solitary nucleus など多彩である。

また、胸腔内で遠心性繊維を含む反回神経を分岐する。反回神経は反転して上行し、口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋、鰓弓筋等を支配している。このことは、でも迷走神経が多くの筋肉を支配し、発話咽頭を開くことにきわめて重大な役割を担っていることを示す。

直接の枝としては、硬膜枝、上神経節、下神経節、鰓弓神経、腸骨枝、耳介枝、咽頭枝、咽頭神経叢、喉頭神経、上頚心臓枝、下頚心臓枝、気管枝、食道枝、胸心臓神経、気管支枝、肺神経叢、食道神経叢、前迷走神経幹、前胃枝、胃小弯前神経、肝枝、幽門枝、後迷走神経幹、後胃枝、胃小弯後神経、腹腔枝、腹腔神経叢、腎枝に分枝する。

知覚枝は外耳道後下壁、鼓膜の後半部、および耳介乳様突起それぞれの付け根の間の小部分、後頭蓋窩の脳硬膜食道気管気管支咽頭からの表在知覚を伝える。また胸部臓器、腹部臓器からの内臓知覚の一部を伝え、孤束もしくは孤束核へ至る。

運動枝は軟口蓋、咽頭、咽頭筋のほとんどを支配し、その神経細胞体は延髄被蓋の疑核にある。

遠心性副交感神経枝はほとんどが背側運動核 dorsal motor nucleus に始まり、内臓運動枝 general visceral efferent fiber として骨盤臓器以外の全臓器に分岐する。








迷走神経と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「迷走神経」の関連用語

迷走神経のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



迷走神経のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの迷走神経 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS