足袋 足袋の種類

足袋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 04:09 UTC 版)

足袋の種類

素材等による分類

20世紀初頭の足袋
皮足袋
足袋は本来皮革をなめして作られたものであり、江戸時代初期までは布製のものは存在しなかった。皮足袋は耐久性にすぐれ、つま先を防護し、なおかつ柔軟で動きやすいために合戦鷹狩りなどの際に武士を中心として用いられたが、戦乱が収まるにつれて次第に平時の服装としても一般的に着用されるようになった。布製の足袋が登場するにいたって皮足袋は姿を消し、現在ではごく特殊な場合を除いて見かけることはないが狂言の舞台で用いる黄色い足袋(狂言足袋)は皮製の足袋の外見を真似て考案されたものである。
白足袋
白足袋は主として改まった服装の際や慶弔等の行事ごとの際に用いられる。殊に儀式用・正装用というわけではないが、黒足袋・色足袋が平服にしか合わせられないのに対し、白足袋は平服から礼服まで広汎に着用することができる点に特色がある。特に茶人僧侶能楽師歌舞伎役者、芸人などはほとんどの場合白足袋をはいており、こうした人々を総称して「白足袋」と称するならいがある。
能舞台、所作板、弓道場などは白足袋着用でなければあがれないことが多く、土俵上でも白足袋以外の着用は認められない。これらの例からもわかるように白足袋は清浄を示す象徴であり、ほかの足袋とは性格の異ったものとして扱われている。江戸時代からはメリヤス編み技法でも盛んに作られた。また現在流通している国内産のものはメリヤス編みである。
黒足袋を履いた男たちによって担がれる祭り神輿西脇市兵主神社
黒足袋
男性が平服の際にのみ用いる。一説には白足袋のように汚れが目立たず経済的であるところから考案されたとも言い[要出典]、江戸時代には勤番武士が多く黒繻子の足袋を履いていたことから、こうしたことを理由として黒足袋を嫌う人も多い。なお弔事に黒足袋を用いるとするのは俗説もしくは明治時代以降のきわめて特殊な慣習であって、本来慶弔にかかわらず正装の際には白足袋しか用いることはできない。
からす足袋と呼ばれる紺木綿黒底足袋などは表生地/底生地に紺や黒の生地を使用し舞台の黒子が動いたときに白い部分が目立たないようなものもある。
色足袋・柄足袋
白黒以外の色や柄ものの足袋。女性が通常使用するもの。男性の場合、昔はごく一部の伊達者のみが使用していたが、現代では女性同様に着物の柄に合わせて選ぶことも珍しくない。
ニット足袋
伸縮性のあるニット生地が使用されているもの。織物で作られている足袋はセンチきざみでサイズが設定されているのに対し、ニット製品は生地の伸縮性を生かし、S/M/L/2L/3L/4Lと各サイズ設定に幅を持たせている。織物を使用して作られた足袋より拘束性も小さく靴下に近い履き心地が得られるのが特徴。以前はニット製品であるが為、足の形が表面化し正装には向かないという考え方が強かったが現在ではそのような考え方も若干薄れ、広く使用されるようになった。ニット製品の呼称は通常ストレッチ足袋と呼ばれることが多い。その他、足袋の上に履くたびカバーと呼ばれる製品もトリコットなど伸縮性のある素材で作られている。
別珍足袋
ベッチン素材を使用した足袋。保温性に優れ、冬場などには重宝された。埼玉県行田市で生産される行田足袋の知名度が高かった[4]
ハイソックス足袋
ハイソックス状に丈を長くした足袋。ニット足袋の仲間。歩行時、着物の裾が捲れて臑が見えるのを嫌う人が履くことがある。通常の足袋と併用する和装ストッキングの役割と同じ。
ヒール足袋
シークレット足袋とも呼ばれる。背丈を高くして和服の着姿を美しく見せるため、踵部分にヒール芯というクサビ状の台を挿入できるよう仕立てられた専用の足袋。最下部のコハゼよりも下側にヒール芯を挿入できるスペースを持つ。ヒール芯を安定させる目的で、コハゼの数は5枚の深型の物が多い。足袋に内蔵するヒール芯後端の高さは概ね3cm程度で、その高さの分、草履を脱いで上がった室内でも常に脚を長く見せる事が可能。ただし踝の位置が不自然に高くなるため、普通の足袋ではないことが一目で判る。装着時、ヒール芯は足には直接固定されず、ヒール芯の上に乗った状態でヒール専用足袋が足とヒール芯を一緒に包んで固定する方式を取るため、たとえ3cm程度の高さとはいえど、歩行時には足首の不安定さを伴う。ヒール芯の長さは概ね土踏まずから踵後端までの短い物が主流だが、爪先から土踏まずまでを3~5mm程度の薄いプレートでカバーし、土踏まずから踵までをクサビ状に盛り上げて足裏全体をカバーする、足袋底と同形状の長い物も存在する。構造上、長い物は爪先から踵部にかけて緩やかに盛り上がる形状により足との固定力が高くヒール部のグラつきが比較的少ないが、足裏全体に板状の芯を介して布製の足袋底が床と接するため、摩擦係数の低い床上では滑りやすく危険を伴う事があり、足袋底には滑り止め加工を施す事が好ましい。
足袋下(足袋ソックス)
靴下タイプの足袋。商品名「タビックス」など。

留め具による分類

紐足袋
紐足袋は紐を使って着装する足袋である[2]。足首部が長くなっており、2本の紐で筒部に巻き込んで使用した[2]。幕末には片紐のものもあったが、紐足袋は姿を消した[2]
釦足袋(ボタン足袋)
釦足袋はボタンを使って着脱する足袋で井原西鶴の「好色一代男」にも記述がある[2]
鞐足袋(小鉤足袋、こはぜ足袋)
鞐足袋(小鉤足袋、こはぜ足袋)は小鉤(こはぜ)を使って着脱する足袋で元禄時代には一般的に用いられるようになっていた[2]

地下足袋等

地下足袋
丈夫な生地で作られた足袋本体の底部にゴム底を貼り付け、直接屋外で履く事ができるようにしたもの。
祭足袋
祭足袋は、ゴム底を貼り付けた地下足袋の一種であるが、本体は通常の足袋と同じ素材で作られ爪先や踵に補強布がない。ゆえに、ゴム底を見られない限りは通常の足袋と見分けが付かないのが特長で、屋外、屋内を問わず足袋裸足状態で使用する際、通常の足袋の外観を確保しながら滑り止め効果のあるゴム底によって、高い運動性を両立したい場合に用いられる。神輿担ぎ、和太鼓演奏、和装でのダンス、時代劇の殺陣等で多く用いられる。
ゴム引き足袋
屋外で足袋裸足の状態で着用するため、足袋底周辺にゴム引き加工を施した物。地下足袋や祭足袋に比べてゴムの厚みが薄い。阿波踊り等で使用される。

  1. ^ a b c 意匠分類定義カード(B2) 特許庁
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 奥平志づ江, 原ますみ「足袋について」『家政研究』第14巻、文教大学女子短期大学部家政科、1982年1月、9-12頁、NAID 120006420950 
  3. ^ 『風俗辞典』 東京堂出版、p.448 足袋
  4. ^ 「別珍たび出回る」『日本経済新聞』昭和25年12月1日3面
  5. ^ 郷土史研究講座: 第15号 1933
  6. ^ 阿仁マタギの狩猟用具 サイト:北秋田市
  7. ^ 毛足袋;スベ”. khirin-a.rekihaku.ac.jp. 国立歴史民俗博物館. 2024年3月4日閲覧。
  8. ^ 日本遺産 足袋蔵めぐり - 行田市観光協会. 2018年2月3日閲覧。
  9. ^ 経済産業省
  10. ^ 徳島県
  11. ^ 外反母趾の予防に冷えの解消…足袋のすごい健康効果!” (2017年12月3日). 2017年12月16日閲覧。


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