西尾城 概要

西尾城

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/24 17:43 UTC 版)

概要

三河国守護に任じられた足利義氏が築城した西条城が始まりと伝わる[2]。創建当時、中世期の規模については不明である。1585年天正13年)に酒井重忠によって、東の丸と帯曲輪の拡張と堀や石塁の造成、櫓門類、天守などが増築された。1590年天正18年)田中吉政によって、三の丸の拡張や大手黒門、新門の楼門2棟、櫓門2棟が建てられている。このとき東の丸にあった大手門は、太鼓門と改称されている。

1657年当時の城郭構造は梯郭式の平山城で、西南部から本丸、二の丸、姫の丸、北の丸、東の丸、三ノ丸、それを取り囲む惣構えが構えられていた。本丸には3重櫓と3棟の2重櫓、二の丸には1棟の2重櫓、南東隅に複合式望楼型3重の天守が建てられ、北の丸、東の丸、三の丸にそれぞれ2棟の2重櫓が建てられていた。

天守は元々、本丸の北東隅に建てられていたと考えられており、1585年の改築のときか正保2年頃までにで天守を本丸から移したといわれている。正親による初代天守については、1585年に二の丸天守が建てられた後も本丸隅櫓として残されていたとしている[3]

城趾の現況

本丸、二の丸跡の一部は、西尾市歴史公園として整備されている。1975年10月、元西尾市長の杉浦喜之助が死去すると、その遺志により西尾市は多額の寄付を受け、1977年(昭和52年)8月に姫の丸跡に西尾市資料館を建てた[4]。東の丸跡は、西尾市立西尾小学校の敷地に利用され、それ以下は住宅地や市街地となっている。

西尾市歴史公園

1996年に本丸丑寅櫓(3重櫓)、二の丸鍮石(ちゅうじゃく)門、本丸と二の丸の土塁などを復元し、歴史公園として整備されている。

2020年6月26日、二の丸丑寅櫓と土塀の復元工事が完成した。この土塀は二ヶ所の屏風折れがある全国的に珍しいものである。さらに天守の再建が計画されて、すでに天守台は完成している。

ギャラリー


  1. ^ 西尾市の文化財 西尾城跡”. 西尾市. 2013年3月21日閲覧。
  2. ^ 西尾市歴史公園
  3. ^ 平井聖監修『 城 ④ 東海 天下人への夢を馳せる群雄の城』(毎日新聞社、1996年)
  4. ^ 西尾市資料館”. 西尾市役所. 2019年3月16日閲覧。
  5. ^ 今川義元判物写(三浦文書)』「弘治参年丁巳十月九日、就西尾在城参百貫文之分、所宛行之也」
  6. ^ 三河物語に、西尾の城にハ坂井(酒井)雅楽之助(正親)有て、と記載されている。
  7. ^ 『西尾市史』
  8. ^ 三河物語桶狭間の戦い後に、岡崎城に入城した徳川家康による三河国統一の過程で、「又有る時は、西尾の城を得」とある。その後、同書内の三河一向一揆の項目では、「西尾の城にハ坂井(酒井)雅楽之助(正親)有て」とある。
  9. ^ 『東照宮御実紀 巻二』には、「東條の吉良義昭今はまたく御敵となり。しばしば味方の兵と戦ひてやまざりしが。其弟荒川甲斐守頼持。兄弟の中よからねば御味方となり。酒井雅楽助正親を己が西尾の城に引入れしかば。吉良も終には利を失ひ味方に降参す。」とある。
  10. ^ 『家忠日記』(天正13年(1585年)2月5日の上)「惣国人足にて吉良之城つき上候」また、同日記に、「西尾城を守る」という記述もある。
  11. ^ 改正三河後風土記』永禄2年3月の直前に「吉良義昭、東條西條を兼領、義昭は西尾の城に居住し、東條を番手替りに守らせる」との記述がある。
  12. ^ 『静岡市史 中世近世史料2』所収、413-415頁(永禄3年(1560年)12月に、先の桶狭間の戦いで戦死の亡父・松井宗信の西条吉良氏攻めの武勲を賞する一文で)
  13. ^ 『新編岡崎市史6・史料編 古代中世』所収、「牧野文書」1055頁(永禄4年(1461年)に西尾城への家康軍来襲を防いだ嫡子稲垣藤助長茂を賞した文書中)


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