蓋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/16 01:00 UTC 版)
特殊な蓋
入り口より小さな蓋もある。落とし蓋は鍋の中に落ちる大きさになっており、内容を煮込むときにその上に密着させて使う。
蓋があるもの
瓶
瓶の蓋は普通は栓と呼ばれる。コルク栓・プラスチック栓・キャップなどの蓋はコレクションとして集めている人も多い。
コルク栓を抜くものを「コルクスクリュー」、王冠を開けるものを「栓抜き」と呼ぶ。
生物学では、微生物や組織などを培養する際の容器の口に特殊な栓を用意し、これを培養栓という。
缶
缶詰には蓋がないが、茶筒などの缶や食用油用のキャップ付の缶などには蓋がある。
ペットボトル
ペットボトルのスクリューキャップ(「ベントホール」という切り込みが入っているものもある[3])は、色・形・大きさの種類がとても多いという。2011年の東日本大震災でのキャップメーカー被災、流通の停滞を受け、白に統一することが決められたが[4]、2013年現在、未だに色付き・ロゴ入りのものも存在する。
飲食物容器
鍋や、やかんなどにみられる。保温、ホコリや虫を防ぐ、蒸しなどの調理のため、などの理由で容器に蓋をする。
煮物などをする際に用いられる「落とし蓋」という、蓋を使った調理法もある。
料理を出す際に皿に覆いをするドーム状で取っ手の付けられた銀製の蓋は「クロシュ」と呼ばれる。
筆記具
ペン先の乾燥や、他の物への汚し・破損などを防ぐ。
箱
ホコリ・湿気・虫害などを防ぐ。
家具・機械
取り入れ取り出し口・精密部分の保護など。そのほか、普段は不要な口を外壁に作る例もある。これは内部で故障などがあるときにこれを使って修理する、といった目的で作られ、普段は蓋をしてある。
地面の穴
マンホール(下水道・肥溜め)への落下防止のため。小型のものはハンドホールとも呼ばれる。
側溝、暗渠
道路の両脇や敷地の排水用、田の周囲の用水路などの溝に対して設けるグレーチングやプレキャストコンクリート製、鉄板などで作られたもの。目的は上記マンホールと同様。
人間一般
耳に栓をする耳栓が挙げられる。浣腸プレイでは「アナルストッパー」という栓の役割を持つ器具を肛門に用いることがある。
動物一般
巻き貝では殻の穴をふさぐ、板状の構造がある。普通は殻の外に出る体の上に張り付いており、体を殻に引っ込めたときに蓋となる。外敵に襲われた時などは、ここをふさいで防御する。ヘタとも呼ばれる。ただし蓋がない貝も存在する。カタツムリは殻の蓋がなく、乾燥時には殻に体を引っ込め、その入り口に粘液を出して蓋を作る。
同様に管状の殻や巣穴に潜って生活する動物には、引っ込んだときにそこに蓋をするようになっているものが多い。これらは巣穴に引っ込んだときに、敵から攻撃を受ける向きがそちらであり、またそこから攻撃されたときには逃げ道がない。蓋をしたくなるのはよくわかるところである。
外肛動物やトタテグモでは巣の一部が蓋になっている。カンザシゴカイやヤドカリでは体の一部を蓋として利用している。
逆に、均一に覆われていていいものに、開ける場所が決められるようになっている例もある。たとえば、カメムシ類の卵には、縦長の円筒形で、上面の周囲に切れ目がある例があり、幼虫が孵化する場合には、この部分で切り離された上の円盤を押し上げて出てくる。また、イラガの繭はやはり蛾が出るときに一端が円形にはずれるようになっている。これらのはずれる部分は、蓋に見える。
神具
蓋は、神社や皇室の儀式で使用する柄の長い傘のような祭具。「きぬがさ・がい」と読む場合が多い[5]。
「蓋」の別の語法
- 芝居の蓋が明いた - 物事が始まるという意。
- 勝敗は蓋を開けて見るまでわからない - 実際に確認するまでという意味。「いざ蓋を開けると」という使い方をすれば、結果が意に反するものであったことを示す。シュレーディンガーの猫に近い。
- 身も蓋もない - 表現が露骨で含蓄や情緒が無いこと。
- 臭いものに蓋をする - 臭いものを除去もせず蓋をしてやり過ごすという、その場しのぎの対応を指す。
- 割れ鍋に綴じ蓋 - どんな人にも適当な配偶者が存在するという意味の言葉である。
蓋と同じ種類の言葉
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