葛西神社 由緒

葛西神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 06:27 UTC 版)

由緒

創建の年代は平安時代末期、元暦2年(1185年)である。当時は上葛西、下葛西合わせた三十三郷(現在の行政区分では、東京都葛飾区江戸川区の全域、墨田区江東区足立区の一部地域にあたる)の総鎮守として葛西三郎清重公の信仰により、香取神宮の分霊を祀ったのが始まりである。

この地は葛西御厨の神域にある。その具体的典拠としては「香取文書」の内、鎌倉時代から室町時代にかけての文書に「治承元年丁酉十二月九日 香取造営次第 葛西三郎清重」などをはじめとする記述が散見できる。なお、至徳4年(1387年)の官符によると御厨在住の領家である占部氏に関して「武蔵国猿俣関務事 香取大禰宜長房如先規可令成敗云々」などの記載があり、往還の人馬から関銭なども徴収して神宮の用途に充てていたことが検証できる。中でも、金町・小鮎(小合)・猿俣(猿町)・飯塚の四郷は古来より21年ごとに香取神宮の造営を携わっていたことは、この地との由縁を物語っている。

上記の事由から、葛西神社(当時は香取宮と称す[2])が郷内の守護神として祀られたと言われている。その後、時を経てこの香取宮は明治8年には郷社に定められ、第二次世界大戦後は全国神社の社格が廃止され、宗教法人葛西神社として今日にいたる。

御祭神

経津主神(ふつぬしのかみ)
経津主神はフツと断ち放つ剣を象徴した神名とされる。そのような働きにより、自己研鑽、勝負、諸願成就の神として葛西神社において主祭神として往古より永く祀られている。
日本武尊(やまとたけるのみこと)
日本武尊は景行天皇の皇子。『日本書紀』の倭姫命叢雲剣(むらくものつるぎ)の段の話や、日本武尊の御魂が空高く舞い上がり、飛び立っていったという古事にちなんで白鳥となって酉との縁が生じ、おとりさまとしての神様の面など、エピソードの多い神様である。葛飾区の郷土資料史には、大向(現在の東金町)のお社にお酉様として日本武尊が祀られていたのを葛西神社に合祀することになった時、近隣の家々で飼われていた鶏が別れを悲しんで一斉に鳴き声を上げたという伝説が記載されている。
徳川家康尊(とくがわいえやすのみこと)
江戸時代初めに徳川家康が葛西神社へ立ち寄った際、古くから伝わる操り人形芝居の神事を見て大変感激し、奨励のために天正19年(1591年)に玄米十石を扶持として与える御朱印を下賜した。この縁により、葛西神社において徳川家康を祀ることとなる。立身出世や事業成功の象徴として、今なお敬意を集めている。

摂末社

以下に記す多くの摂末社が境内に鎮座する。

厳島神社(祭神 市杵嶋姫神)
手水舎の奥にある摂社。朱鳥居、福神殿、厳島神社からなる。
諏訪神社
安政5年(1858年)建立。8月1日が祭礼日。建御名方神は大國主尊の御子神であり、信濃の諏訪大社の大神である。諏訪氏(勝頼)との関係ができてからは武田信玄崇敬の神でもある。
稲荷社(祭神 倉稲魂神)
2月の初午祭に参拝者が参詣に来られる。以前は農作物の収穫を祈り、稲作、地元農産物の金町コカブや青物作物など、生産者の地元農民達に崇敬を集めていた。
葛西天神社(祭神 菅原道真命)
学問の神の道真公を祀る。初天神の時期には、春に進学の夢を望み、天神様へ受験生が参拝される。天神社の参道の脇には、飛梅と称した梅がある。
三峯神社(祭神 日本武尊)
埼玉奥秩父の三峯大神を祀る。
富士社(祭神 木花咲耶姫神)
富士山を模して築山し、種々の自然石を用いて明治44年に竣工。頂上に富士社を祀る。
神明社(祭神 天照大御神)
平成2年に再建。日本人の心の古郷である伊勢神宮の大御神様を奉祭。
道祖神社(祭神 猿田彦神)
元禄13年(1700年)造営。天孫の際、瓊々杵尊(ニニギノミコト)に道案内をしたことにちなみ、旅行の無事安全、また足の健康を願い、草鞋を奉納する。
水神社(祭神 罔象女神)
天保8年(1839年)造営。明治36年再建。造営当時以前から江戸川の洪水が幾度か発生し、村民の大きな悩みであった。自然災害が起きないよう、水の神に祈る人たちの思いがうかがえる。
金町招魂神社
昭和29年に大東亜戦争に出征して国を守り戦った御魂の尽力に感謝し、金町遺族会によって二百有余の御魂を祀る。



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