精密爆撃 理論

精密爆撃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/27 09:56 UTC 版)

理論

戦闘戦争において必要箇所を破壊する場合に、多数の爆弾を用いて付随被害を与えるよりも、少数の爆弾で必要十分なだけ破壊したほうが効率的である。また、破壊箇所を局限することにより、市民への付随被害を抑える効果もある。このため、照準器の性能向上や誘導兵器の発達により、航空攻撃においては、従来の絨毯爆撃から精密爆撃へと発展してきた。現在は人道上の理由などにより、先進国では精密爆撃が主流になっている。

精密爆撃を用いる目標は多様であるが、トーチカなどの重防御された小型目標や、ピンポイントの命中が求められる橋梁、破壊により多大な混乱を強いることができる通信拠点などが挙げられる。

歴史

第一次世界大戦時の航空爆弾無誘導爆弾であり、照準器の性能も低かったことから、小型目標を爆撃することは困難であった。第二次世界大戦時になると照準器の性能が向上したほか、急降下爆撃法が開発され、小型目標への攻撃が可能となった。ドイツ空軍Ju 87 スツーカは、トーチカや戦車を爆撃し、イギリス空軍デ・ハビランド モスキートは、収容所の部分的爆撃などの特殊な精密爆撃を行っている。アメリカ陸軍航空軍は、軍需工場に対する戦略爆撃工場のみを目標とする精密爆撃へ変更しようとしたが、十分な成果が得られず、絨毯爆撃に切り替えた。

第二次大戦後は誘導兵器の発達により、精密爆撃を用いる機会も増えている。ベトナム戦争では、アメリカ軍レーザー誘導爆弾などを用いて、橋梁を始めとする戦略施設に対する精密爆撃を行っている。湾岸戦争においては、アメリカ空軍バグダッド市内の重要拠点を爆撃した。目標を確実に無力化するとともに、市民への被害を抑えたことが、爆弾命中の映像などを通して広報された。湾岸戦争では、実際は通常爆撃も多かったが、コソボ紛争ではほとんどが誘導兵器による精密爆撃となった。


  1. ^ 三浦俊彦『戦争論理学 あの原爆投下を考える62問』二見書房21頁


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