米芾 逸話

米芾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 03:25 UTC 版)

逸話

  • ある時、米芾はコレクターから古典を借りて臨模し、模写が終わって真本と贋本をいっしょに返したところ、持主は両者の区別がつかず、「どちらが真本?」と米芾に聞くと、米芾は、「お好きな方をお取り下さい。」と言った。持主が迷いながら贋本を手にすると、「さすがはお目が高い。」と言って持主を欺き、かくして真本を手に入れてしまった[7][31]
  • 蔡京の子の蔡攸は、舟の上で王羲之の『王略帖』を米芾に自慢げに見せたところ、突然、米芾は『王略帖』を奪い取って、「この書が欲しい。くれなければ死んだほうがましだ。巻物もろとも水に飛び込む。」と言い、『王略帖』を懐に入れて水に飛び込もうとした。蔡攸は、「見せたのが失敗だった。」と後悔しながら『王略帖』を米芾に譲った[32][33]

参考文献

書籍

記事

  • 中田勇次郎「中国書道史・宋」『書道藝術』別巻第3号、中央公論社、1977年2月、128-129頁。 
  • 西林昭一、石田肇「五代・宋・金」『ヴィジュアル書芸術全集』第7巻、雄山閣、1982年5月、79-85頁、ISBN 4-639-01036-2 
  • 「米芾」『』第81号、芸術新聞社、1989年。 
    • 陳舜臣「米芾」『墨』第81号、6-7頁。 
    • 「米芾書跡名品選」同上、8-76頁
    • 「資料室 米芾関係主要法帖一覧」同上、80頁
  • 石田肇「図説中国書道史 - 名品鑑賞 宋・金・元」『墨スペシャル』第9号、芸術新聞社、1991年10月。 
  • 角井博(解説)、大野修作(釈文)「蜀素帖・尺牘 宋 米芾」『故宮法書選』第6巻、二玄社、2006年、2-38頁、ISBN 978-4-544-00776-3 

伝記・研究文献

  • 古原宏伸編著 『米芾「画史」註解 〈上・下〉』(中央公論美術出版、2009-2010年)
  • 古原宏伸「米芾『画史』札記」- 『中国画論の研究』(中央公論美術出版、2003年)
  • 塘耕次 『米芾 宋代マルチタレントの実像』(大修館書店〈あじあブックス〉、1999年)、ISBN 4469231568
  • L・レダローゼ、塘耕次訳 『米芾 人と芸術』(二玄社、1987年)
  • 中田勇次郎 『米芾 研究篇』、『図版篇』(二玄社、1982年)

注釈

  1. ^ a b 生卒年に異説あり。『宋史』に「卒,年四十九。」とある[1]
  2. ^ 黻(ふつ)は、意味も発音も「芾」と同じで、元祐6年(1091年、41歳)以後は「芾」を用いた。
  3. ^ 宝晋斎(ほうしんさい)とは、晋を宝とするという意味で、当時は顔真卿が主流の中、米芾は晋の王羲之を最上とした[2]。王羲之の『王略帖』、謝安の『八月五日帖』、王献之の『十二月帖』の3帖を入手して自ら宝晋斎と号し、晋人の天質自然な風韻を体得して自分の書を完成した[3]
  4. ^ 文部省課長級に相当[2]
  5. ^ この官職名がかつて南宮舎人といったので米南宮と呼称された。
  6. ^ a b 集古字(しゅうこじ)とは、古典の字をただ集めて書いたという意[13]
  7. ^ a b 『英光堂帖』(えいこうどうじょう)は、米芾の専帖で、もとは南宋の岳珂が刻したものであるが、現在、完本は伝わらず、清代に徐渭仁が重刻した[14]
  8. ^ 李瑋(りい)。当時の大コレクターである[7]
  9. ^ 「巧」の下に「言」の字。
  10. ^ 頓首(とんしゅ)とは、手紙の最後に書く敬語[28]
  11. ^ 文末に「監中岳祠」の官名があることによる[14]
  12. ^ 朱長文の号を楽圃(らくほ)という。「兄」は親しい友人への敬称[28]

出典

  1. ^ 宋史列伝(米芾)
  2. ^ a b , p. 7.
  3. ^ 中田(書道史), p. 129.
  4. ^ a b 比田井, p. 238.
  5. ^ a b c d , p. 6-7.
  6. ^ 西川, p. 114.
  7. ^ a b c 西林, p. 83.
  8. ^ 『宣和書譜』の原文大抵書效羲之,詩追李白,篆宗史籀,隸法師宜官。)
  9. ^ 江守, p. 151.
  10. ^ 畫禪室隨筆/卷一 - 维基文库,自由的图书馆”. zh.wikisource.org. 2020年4月30日閲覧。
  11. ^ 石田, p. 129.
  12. ^ 魚住, p. 43.
  13. ^ a b c 比田井, p. 240.
  14. ^ a b c 墨81号, p. 50.
  15. ^ a b 蜀素帖, p. 31.
  16. ^ 西林, p. 84.
  17. ^ 西川, p. 68.
  18. ^ 蜀素帖, p. 14.
  19. ^ 墨81号, p. 80.
  20. ^ 魚住, p. 48.
  21. ^ a b 木村, p. 174.
  22. ^ 比田井, p. 239.
  23. ^ 西林, p. 87.
  24. ^ a b 飯島, p. 730.
  25. ^ 藤原, p. 135.
  26. ^ 鈴木, p. 71.
  27. ^ 墨81号, p. 72.
  28. ^ a b 新明解国語辞典
  29. ^ 魚住, p. 50.
  30. ^ a b 中田(書論集), p. 217.
  31. ^ 魚住, p. 47.
  32. ^ 西林, p. 85.
  33. ^ 魚住, p. 44.


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