産業カウンセラー 産業カウンセラー試験

産業カウンセラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 04:56 UTC 版)

産業カウンセラー試験

産業カウンセラー業務に従事しようとする者について、業務に必要な学識・知識・技能等の程度を判定するために行われる。本試験に合格し、かつ産業カウンセラー協会に資格登録を行うことで、産業カウンセラーを呼称して活動を行うことができる。試験は学科試験と実技試験からなる。学科試験及び実技試験それぞれにおいて、概ね6割以上の得点で合格となる。2012年度の総受験者数は5,823人、学科試験・実技試験ともに合格した総合合格者数は3,924人で、総合合格率は67.4%である[8]

受験資格

次のいずれかに該当する者に受験資格がある。実際の受験者の内訳は、大学卒業者が7.8%、産業カウンセラー養成講座等修了者が85.8%[14][15]

  1. 4年制大学学部及び大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学人間関係学のいずれかの名称を冠する学部又は専攻・課程を卒業した者
    科目群は以下の通りとし、A群からG群までの科目において、1科目を2単位以内として10科目以上、20単位以上を取得していることを要する。ただし、D群からG群の科目による取得単位は6単位以内とする。
    A群:産業カウンセリング、カウンセリング、臨床心理学心理療法各論(精神分析行動療法など)の科目群
    B群:カウンセリング演習カウンセリング実習などの科目群
    C群:人格心理学、心理アセスメント法などの科目群
    D群:キャリア・カウンセリング、キャリア概論などの科目群
    E群:産業心理学、産業・組織心理学、グループダイナミックス、人間関係論などの科目群
    F群:労働法令の科目群
    G群:精神医学精神保健精神衛生心身医学、ストレス学、職場のメンタルヘルスなどの科目群
  2. 成年に達した者で、産業カウンセラー養成講座等(協会若しくは協会が他に委託して行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座又は協会がこれと同等以上の水準にあるものとして指定した講座)を修了した者

学科試験

毎年1月に全国各地の試験会場で実施される。内容は、カウンセリングに関する基礎的な学識を問う5者択一によるマークシート方式が40題程度、カウンセリングの基本的な事例への対応能力、及び傾聴の技法の対話分析能力を問う5者択一によるマークシート方式が20題程度出題される。前者の出題範囲は「産業カウンセリング概論」「カウンセリングの原理及び技法」「パーソナリティ理論」「職場のメンタルヘルス」からなり、カウンセリングや心理学、及びその関連分野に関する広範かつ総合的な知識が求められる。後者は、逐語記録からカウンセラー及びクライエントの状態を正確に把握し、傾聴の基本である受容・共感の態度をもって適切な対応が行えるかという、カウンセリングの現場に即した実践的な知識・技能の理解が求められる。

実技試験

学科試験実施後の毎年1月下旬~2月上旬に全国各地の試験会場で実施される。内容は受験者相互によるロールプレイ(ミニカウンセリング)及び口述試験からなり、時間は20分程度である。

試験免除制度の種類

産業カウンセラー試験には、一定の要件を満たすことで学科試験もしくは実技試験が免除される制度がある。

  • 一部合格による試験免除
試験実施年度の前年度又は前々年度に産業カウンセラー試験を受験し、学科試験又は実技試験のいずれか一方に合格している者は当該試験が免除される。
  • 実技能力評価制度による実技試験免除
試験実施年度の産業カウンセラー養成講座(後述)を修了した者で、実技能力評価制度により面接実技能力が一定の基準に達していると試験委員会が判定した者は、実技試験免除の適用申請を行うことで実技試験が免除される。本評価制度は産業カウンセラー養成講座の実技実習の中で、いわゆる「見極め試験」として実施される。

  1. ^ a b c d 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “産業カウンセラー試験”. 2010年2月21日閲覧。
  2. ^ a b 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “日本産業カウンセラー協会とは”. 2010年2月23日閲覧。
  3. ^ a b 厚生労働省 (2009年). “職業能力評価推進給付金で厚生労働大臣が定める職業能力評価”. 2010年2月24日閲覧。
  4. ^ a b 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “産業カウンセラーの3つの活動領域”. 2010年2月28日閲覧。
  5. ^ Yahoo!学習 (2010年). “資格情報、解答速報 - 産業カウンセラー”. 2010年3月3日閲覧。
  6. ^ Yahoo!学習 (2010年). “医療・福祉・心理からさがす - 資格情報、解答速報”. 2010年7月14日閲覧。
  7. ^ a b c d e 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “産業カウンセラー養成講座”. 2010年2月28日閲覧。
  8. ^ a b 日本産業カウンセラー協会 (2011年). “産業カウンセラー試験合否結果について”. 2012年2月1日閲覧。
  9. ^ asahi.com (2010年). “キャリアアップを目指す「社会人のための大学院・専門職大学院」特集”. 2010年7月3日閲覧。
  10. ^ a b c 日本産業カウンセラー協会 (2010年). “2010(平成22)年度産業カウンセラー養成通信講座のご案内” (PDF). 2010年7月14日閲覧。
  11. ^ 東京都医師会 (2004年). “産業医とは”. 2010年2月1日閲覧。
  12. ^ 日本臨床心理士資格認定協会 (2009年). “臨床心理士の職域”. 2010年1月30日閲覧。
  13. ^ 日本産業保健師会 (2009年). “日本産業保健師会とは”. 2010年2月13日閲覧。
  14. ^ a b c d e f 日本産業カウンセラー協会 (2009年). “産業カウンセラー等の実態調査” (PDF). 2010年12月1日閲覧。
  15. ^ a b c d e f 日本産業カウンセラー協会 神奈川支部 (2009年). “養成講座を修了された皆様へ -養成講座で学んだことをどう活かすか-”. ウェブ魚拓. 2010年4月22日閲覧。
  16. ^ a b c d American Psychological Association (2010年). “Ethical Principles of Psychologists and Code of Conduct”. 2010年12月1日閲覧。
  17. ^ a b c d 東京学芸大学 (2005年). “カウンセラーの職業倫理について”. 2010年12月2日閲覧。
  18. ^ 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “産業カウンセラー倫理綱領” (PDF). 2010年2月1日閲覧。
  19. ^ 文部科学省 (2004年). “拡充事業 - 事業名:スクールカウンセラー活用事業補助” (PDF). 2010年12月1日閲覧。
  20. ^ 文部科学省 (2007年). “児童生徒の教育相談の充実について -生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり-(報告)”. 2010年1月31日閲覧。






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