玉座 南アジア

玉座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/01 10:30 UTC 版)

南アジア

赤い城のディワニ・カースという謁見殿にある、孔雀の玉座を描いた絵画、1850年頃
マハーラージャ、ランジート・シングの玉座

インド亜大陸では、玉座の伝統的なサンスクリット名はsiṃhāsana(シムハーサナ、獅子の座席という意味)であった。 ムガル帝国の時代には、玉座が Shāhī takht(シャーヒータクスト)と呼ばれた。gaddiヒンドゥスターニー語発音: [ˈɡəd̪d̪i]、rājgaddīとも呼ぶ)という用語は、インドの藩王達により玉座として使われたクッション付きの座席のことだった[6]gaddi は通常、ヒンドゥー藩王国の支配者の玉座に対して使われた用語だが、ムスリムの藩王やナワーブの間ではトラヴァンコール王国の王族といった例外もあり[7]、両方の座席が似ていたとはいえ、musnad ([ˈməsnəd])またはmusnud という用語のほうがより一般的だった。

ジャハーンギールの玉座(en)は1602年にムガル皇帝ジャハーンギールによって造られ、アーグラ城塞のディワニ・カース(貴賓謁見の間)に据えられている。

孔雀の玉座 はインドのムガル皇帝の席だった。 それは17世紀初めに皇帝シャー・ジャハーンにより命ぜられ、デリー赤い城に置かれた。オリジナルの玉座は1739年、ペルシャ王ナーディル・シャーによって戦利品として接収され、以来ずっと失われている。その後、オリジナルに基づく代理の玉座が委託され、1857年のインド大反乱(いわゆるセポイの乱)まで存在した。

シク王国マハーラージャであるランジート・シングの玉座は、1820年から1830年に金細工職人のハフェツ・ムハンマド・ムルターニによって作られた。木材と樹脂でできており、彫金のシートで覆われ、多彩な彫刻が金に施されている[8]

カンナダ語地域にある黄金の玉座(en)(またはChinnada SimhasanaまたはRatna Simahasana)は、マイソール王国の支配者の玉座である。黄金の玉座はマイソール宮殿に保管されている。


  1. ^ 天皇の玉座は、英語表記だとChrysanthemum Throne(菊の玉座)。これは皇室・皇族が菊紋を使っていることに由来する。
  2. ^ したがって、バチカン市国にあるローマ教皇のための座具に関しては、本来的な意味でも「玉座」に相当するものと言える。
  3. ^ 「聖扇」とも訳されるが、祭具のリピタも聖扇と呼ばれていたため、混同を避ける意味でフラベッラとした。
  4. ^ エチオピア皇帝にDavidなる人物はいない(ダウィト1世-3世は綴りがdawit )ので、恐らくはヘブライ聖書の時代に、エチオピアで王位を譲られたダビデ(ラテン語でDavid)と思われる。詳細はシバの女王を参照。
  5. ^ トンガは建国以来、国王の名が全てトゥポウ(1世-現6世)のため、このように呼ばれる
  1. ^ Oxford English Dictionary, ISBN 0-19-861186-2
  2. ^ θρόνος, Henry George Liddell, Robert Scott, A Greek-English Lexicon, on Perseus
  3. ^ 皇の意味と読み方」字源.net、字通の解説より。
  4. ^ Throne of Ivan IV the Terrible”. Regalia of Russian Tsars. The Moscow Kremlin. 2007年7月12日閲覧。
  5. ^ Brett, Gerard (July 1954). “The Automata in the Byzantine "Throne of Solomon"”. Speculum 29 (3): 477-487. doi:10.2307/2846790. ISSN 0038-7134. JSTOR 2846790. 
  6. ^ Mark Brentnall, ed. The Princely and Noble Families of the Former Indian Empire: Himachal Pradesh pg. 301
  7. ^ Velu Pillai. Travancore State Manual (1940)
  8. ^ The Court of Maharaja Ranjit Singh”. Vam.ac.uk. 2018年8月10日閲覧。
  9. ^ Ponsonby-Fane, Richard. (1959). The Imperial House of Japan, p. 337.
  10. ^ Arnold, Julean Herbert. (1920). Commercial Handbook of China, p. 446.
  11. ^ Williams, David. (1858). The preceptor's assistant, or, Miscellaneous questions in general history, literature, and science, p. 153. Books.google.com
  12. ^ "Canopy". The Catholic Encyclopedia. III. New York: Robert Appleton Company. 1908. 2007年7月12日閲覧






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