熊使い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/22 15:06 UTC 版)
南アジア・中東
インドではナマケグマが用いられ、予めクマはロープをつけた鼻輪と口輪をする。鼻輪ではなく首輪の場合もある。熊使いは歌を歌いながら、ロープと棒でクマを操り、クマが踊るように魅せる芸である。この芸には仔熊の時からの訓練が必要である。
かつてインドでは大道芸の踊るクマがよく行われ、主に観光地で大道芸を行っていたが、野生のクマが減少したために規制がなされ[1]、路上の熊使いが少なくなり[1]、また、大道芸のクマが野生保護施設に入るようになってきている[2][3]。
パキスタンでも熊使いがある[4]。ジプシーはツキノワグマがダンスする大道芸やクマのレスリングを行う[4]。そのためにジプシーは野生のクマまたは仔熊を捕獲する[4]。
欧州・ロシア
音楽にあわせてクマが踊る大道芸が行われる[5]。欧州、ロシアともにヒグマが用いられる。クマは鎖(チェーン)またはロープでつながった首輪をする。ロシアでは17世紀まではスコモローフが熊使いをしていた。ジプシー(ロマ)やウルサリも大道芸を行う[5]。20世紀のロシアではサーカスの隆盛により大道芸は廃れ、一部に残るのみとなった[5]。20世紀初頭、満州の北方ハルビンには大道芸「熊踊り」があった[6]。
ブルガリアでもジプシー(ロマ)により路上で熊使い芸が行われる。使用される楽器はガドゥールカという。
音楽
音楽には「熊使い」が登場する。ロシアのバレエ音楽「ペトルーシュカ」にも熊使いが登場する。ハンガリーの作曲家バルトーク・ベーラによる管弦楽曲「ハンガリーの風景」は第2曲の名前が“熊踊り”である。同じくバルトークのピアノ独奏曲ソナチネも第2楽章が“熊踊り”である。
ルーマニアのジプシーバンド[7]「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」( Taraf de Haidouks )の「ウルサリのホラ」という曲は“熊遣いのロマの輪舞”のサブタイトルがつく[8]。
絵画
ヘンリー・ウィリアム・バンバリー ( Henry William Bunbury ) 作に「 The Dancing Bear 」があり[9]、絵では、路上の大道芸の主役の立った熊が中央に配置され、右に熊使いの大道芸人、見物料を集める者が描かれ、左に楽器を持った2名と、猿を肩に乗せた旅芸人も描かれ、それらのまわりを見物人が囲んでいる。
また、ウィリアム・リーハンキー ( William Lee-Hankey )作に「 The Dancing Bear 」があり[10]、絵は石畳の道路の上を、熊使いに先導されて、口輪をしてチェーンで曳かれ四足で歩く熊が中央に配置され、通行人は大人も子供も熊を眺めている様子が描かれている。
脚注
- ^ a b c インドのナマケグマの現状 インド野生生物研究所 (PDF) 日本クマネットワーク,2007
- ^ BBC News - Charity frees 'last' dancing bearBBC,20 December 2009
- ^ 「This Sloth Bear Just Wants To Be A Dog」2012年8月
- ^ a b c パキスタンのクマ類の生息状況と保全日本クマネットワーク,2007
- ^ a b c 早稲田大学ロシア文学会 1995年度春の講演会 講演要旨《Вести》第5号 1995年11月1日発行早稲田大学ロシア文学会 008:熊使いの神話学(伊東一郎)(2002/9/11更新),早稲田大学文学学術院 露文専修室
- ^ キンダーブック『マンシウ』(フレーベル館発行,昭和8年刊)絵は広瀬貫川
- ^ 中京テレビ事業 CTE.jp:タラフ・ドゥ・ハイドゥークス JAPAN TOUR 2012
- ^ JBOOK:タラフ・ドゥ・ハイドゥークス:CD,演奏時間:00:45:30 曲数:12 発売日:2000年04月19日 販売元:ワーナーミュージック・ジャパン 規格番号:WPCR-19033 JAN:4943674016402
- ^ BBC - Your Paintings - The Dancing Bear (by Henry William Bunbury)
- ^ BBC - Your Paintings - The Dancing Bear (by William Lee-Hankey)
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