無為法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/17 03:40 UTC 版)
空間と時間
近代以降の顕著な傾向として、空間と時間の2つを並べるとき、両者はほとんど等質化される事が多いが、仏教においては、
- 空間は、(上記の)「虚空」に置き換えて、「無為」に属させるのに対し、
- 時間は、「有為」と常に表裏一体化している、
なお、時間については曹洞宗開祖の道元は、「正法眼蔵」において「有(う)は時(じ)なり」と述べており、「一切は時間のうえ、時間の中、時間そのものに掩われており、しかし時間というものはない」点をついている[16]。また、玄奘門下の学僧普光の「倶舎論記」において、「時に別体なし、法に約して以って示す」と、時間は事物を支えつつもいかなる「もの」でも「こと」でもないことを述べている[16]。
脚注
参考文献
- 中村元他『岩波仏教事典』岩波書店、1989年。ISBN 4-00-080072-8。
- 中村元 ; 三枝充悳『バウッダ(佛教)』講談社学術文庫、2009年。ISBN 978-4-06-291973-9。
- 櫻部建『倶舎論』大蔵出版、1981年。ISBN 978-4-8043-5441-5。
- 櫻部建 ; 上山春平『存在の分析<アビダルマ>―仏教の思想〈2〉』角川書店〈角川ソフィア文庫〉、2006年。ISBN 4-04-198502-1。(初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
- 横山紘一『唯識思想入門』第三文明社、1976年。ISBN 978-4-476-01066-4。
- 中村元『龍樹』講談社学術文庫、2002年。ISBN 4-06-159548-2。
- 水野弘元「無爲法について」『印度學佛教學研究』第10巻第1号、1962年、1-11頁、doi:10.4259/ibk.10.1。
関連項目
注釈
- ^ 何等為無為法?所謂:虚空、涅槃、数縁滅、非数縁滅、十二縁起及法界。(cbeta、T09n0278_012、[0476a01] )
出典
- ^ a b 舟橋水哉、et al.「倶舎論に於ける世親の諸法観」『佛教研究』第3巻第3号、1922年、32-47頁、NAID 120006332924。
- ^ a b 中村・三枝 2009, p. 179.
- ^ 藤田 正浩「原始仏教における縁起と一切法」『印度學佛教學研究』第33巻第1号、1984年、274-277頁、NAID 130004025061。
- ^ 椎名六郎、et al「無為法の観念」『佛教研究』第2巻第1号、1921年、82-119頁、NAID 120006383672。
- ^ a b 岩波仏教辞典 1989, p. 778.
- ^ a b c d e f 宮下晴輝「非択滅無為」『佛教学セミナー』第49巻、1989年、45-62頁、NAID 120006724128。
- ^ a b c 櫻部 1981, p. 27.
- ^ 櫻部 1981, p. 197.
- ^ 櫻部・上山 2006, p. 109、142、索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」.
- ^ 中村 2002, p. 171.
- ^ 中村 2002, p. 174.
- ^ a b 荘 崑木「世親『五蘊論』の無為法について」『印度學佛教學研究』第62巻第2号、2014年、946-942頁、NAID 110009807173。
- ^ 水野 1962, p. 9.
- ^ 横山 1976, p. 101.
- ^ a b c 中村 2002, p. 191.
- ^ a b 中村・三枝 2009, p. 178.
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