濃尾地震 前兆現象

濃尾地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/20 02:41 UTC 版)

前兆現象

数日前から「動物の異常行動」や本震の数時間前から、「鳴動音」「地鳴り」があったことが報告されている[17]。また、宇佐美の報告によれば、前々日や前日に前震活動[18]があったことが報告されている。

報道

『岐阜県愛知県大地震実況』 小国政
避難所の様子

電信線が寸断されたこともあって、濃尾地震の全容はすぐには把握されなかった。28日、大阪朝日新聞は号外を出し、彦根、四日市以東への電信が不通であること、難波紡績工場が倒壊したことを報じる。東京ではさらに把握が遅れ、東京日々新聞では、10月29日に金沢や横浜で大地震があったことを報道。翌30日になってようやく「安政の地震の再来」という認識で地震が報道され、以後情報が正確になっていった。

また、濃尾地震の情報は海外にも打電され、ロンドンの29日付のタイムズ紙でも報道された。同紙は30日には横浜からのロイター電として、大阪、神戸の被害が大きいという推測記事を掲載。日本を旅行中に大阪で濃尾地震に遭遇したメアリー・ジェーン・ビカーステスに、この報道を見た留守家族が、31日に日本へ安否確認の電報を打ち、彼女は11月1日に神戸でこの電報を受け取った。ビカーステスはその後12月28日、英国帰国直前、フランスのカレー駅で待ち受けていた記者から、地震体験の取材を受けている[19]

学術的な意義

この地震によって、地質学者の小藤文次郎は断層の地震との関係を確信し、断層地震説を主張した。

地震学者の大森房吉は、この地震の余震を研究し、本震からの経過時間に伴う余震の回数の減少を表す大森公式を発表している。地震から100年以上経てもなお、余震が続いている[20]

この地震は、内陸型地震としては特別に大きな規模の地震ではなく、同程度(長さ50km程度)の規模の断層は日本各地に見られる[21]

地震防災

  • 地震を予知することは出来なくても予防は可能であるとの観点から、翌年の1892年に発足した震災予防調査会により、地震や防災に関する幅広い研究が進められ「地震予知」「建物の耐震性向上」「過去の地震史の編纂」などが行われた。この震災予防調査会の活動は、1923年の関東大震災を経て東京大学地震研究所に引き継がれた。
  • 岐阜県は濃尾地震が発生した10月28日を「岐阜県地震防災の日」として指定し、地震防災の啓発などを行っている。また、毎月28日を「岐阜県防災点検の日」として、県民に災害への備えを呼びかけている[22]



  1. ^ 河角廣(1951)、「有史以來の地震活動より見たる我國各地の地震危險度及び最高震度の期待値」 東京大學地震研究所彙報 第29冊 第3号, 1951.10.5, pp.469-482, hdl:2261/11692
  2. ^ 宇佐美龍夫、茅野一郎、「河角の規模と気象庁の規模との関係」 東京大学地震研究所彙報、第48冊第5号、1970年, hdl:2261/12546
  3. ^ 村松郁栄、「濃尾地震のマグニチュード」 『地震 第2輯』 1962年 15巻 4号 p.341-342,doi:10.4294/zisin1948.15.4_341
  4. ^ USGS Global Earthquake Search
  5. ^ a b 「濃尾地震の震害と震度分布」 名古屋大学大学院環境学研究科附属 地震火山・防災研究センター
  6. ^ 宇津徳治、嶋悦三、吉井敏尅、山科健一郎 『地震の事典』 朝倉書店
  7. ^ 大森房吉(1913)、「本邦大地震概説」 震災豫防調査會報告 68(乙), 93-109, 1913-03-31, NAID 110006605117, hdl:2261/17114
  8. ^ 中村一明、守屋以智雄、松田時彦 『地震と火山の国』 岩波書店、1987年 ISBN 978-4000079617
  9. ^ 濃尾地震と根尾谷断層 岐阜大学教育学部地学科
  10. ^ 小藤論文の濃尾地震根尾谷断層写真について 歴史地震研究会 歴史地震第21号 (PDF)
  11. ^ Mikumo, T. and M. Ando (1976) A search into the faulting mechanism of the 1891 great Nobi earthquake, J. Phys. Earth, 24, 63-87.
  12. ^ 名古屋大学 地震工学・防災グループ 濃尾地震における震裂波動線生成の解明 , 距離減衰式を用いた濃尾地震の広域強震動評価 (PDF)
  13. ^ 金折裕司、川上紳一、矢入憲二、「中部日本内陸に起きた被害地震(M≧6.4)の時空分布に認められる規則性 -活動周期と発生場所-」 活断層研究 1991年 1991巻 9号 p.26-40, doi:10.11462/afr1985.1991.9_26
  14. ^ a b c 中央気象台 明治廿四年十月廿八日大震報告
  15. ^ 宮腰淳一,佐藤俊明1,福和伸夫(2003)、「住家被害を利用した1891年濃尾地震の地震動強さ分布の分析」 地域安全学会論文集 2003年 5巻 p.77-86, doi:10.11314/jisss.5.77
  16. ^ 榎本祐嗣(2006): 小藤論文の濃尾地震根尾谷断層写真について 『歴史地震』 第21号, 219-222頁 (PDF)
  17. ^ 力武常次:濃尾地震の前兆現象 地震 第2輯 1989年 42巻 4号 p.451-466, doi:10.4294/zisin1948.42.4_451
  18. ^ 今村明恒:濃尾大地震の前徴に就いて 地震 第1輯 1943年 15巻 12号 p.336-341, doi:10.14834/zisin1929.15.336
  19. ^ 『世界一周の誕生 グローバリズムの起源』 園田英弘 文藝春秋
  20. ^ 日本地震学会広報誌『なゐふる』第13号、1999年など。同誌によれば、地震発生から1994年末までの岐阜における有感地震発生率は、改良大森公式においてK=535,c=0.830,p=1.0とした場合に、最もよく適合する。
  21. ^ 松田時彦、最大地震規模による日本列島の地震分帯図 東京大学地震研究所彙報 第65冊第1号、1990年6月30日、p.289-319, hdl:2261/13056
  22. ^ 岐阜県 毎月28日は「岐阜県防災点検の日」


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