気象庁震度階級 震度の発表

気象庁震度階級

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 16:15 UTC 版)

震度の発表

地震情報

地震が発生した際、気象庁は「地震情報」として、観測された震度や地震の震源、津波の有無などを発表する。そのうち、震度に関係するものを以下に挙げる[43]

震度速報
地震発生から約1分半後、震度3以上の地域名[注釈 2]を発表。
震源・震度に関する情報
(震度3以上など条件を満たした場合)震度3以上の地域名[注釈 2]と市区町村名[注釈 3]、および震度が判明していないが震度5弱以上と推定される市区町村名を発表。
各地の震度に関する情報
(震度1以上の場合)震度1以上の震度観測点・震度が判明していないが震度5弱以上と推定される観測点を発表。
その他の情報
(地震が多発した場合など、状況に応じて)震度1以上の地震の発生回数などを発表。
推計震度分布図
(震度5弱以上の場合)震度4以上の震度ごとの詳細な分布図を発表。

なお、初期の地震波を複数の地点で観測し、最大震度が5弱以上と推定されるときには、緊急地震速報により推定震度4以上の地域を発表する。こちらは強い地震の揺れに警戒を呼び掛ける警報であり、観測された震度ではない。

気象庁ウェブサイトによる報道体制

気象庁は2013年3月7日、視覚障害者高齢者などへの配慮のため、同庁ウェブサイト(ホームページ)で発表される気象情報などの配色を統一(カラーユニバーサルデザイン導入)する一環で、地震情報についても配色の変更を実施した[45][46]

震度表示はすべて色で塗り分けて表示。震度7は赤紫色()、震度6強は濃い赤色()、震度6弱は赤色()、震度5強は橙色()、震度5弱は黄色()、震度4はクリーム色()、震度3は青色()、震度2は水色()、震度1は白色()で表示している[45][47]

また震源の表示についても、これまで赤色の×マーク(×)を採用していたが、変更後は赤色の×マークに黄色の枠を追加したものを採用した[47]

テレビ・ラジオにおける報道体制

NHKでの地震速報では大抵、震度5弱以上の時は「強い地震」、震度4の時は「やや強い地震」、震度3の時は「地震」と地震の強度をコメントすることが多い。震度3以上の場合には地上デジタル放送のデータ放送で全国向けに速報する。

一方、民放では震度7・震度6強の時は「非常に強い地震」と表現することもある(震度3以上の時は、字幕スーパーで全国に伝えるが、NHKでは各放送区域内において震度2以下の地震が発生した場合、その地域限定で地震情報を伝える)[要出典]

各局とも震度分布図には気象庁の地震情報のうち震度速報などで用いられる日本全国を188の地域に分けたものを用いており、気象庁から各地の詳しい震度に関する情報が発表されたときに用いられる市町村別表示のものも合わせて使用されている。

各局の震度表示
震度 7 6強 6弱 5強 5弱 4 3 2 1
NHK[48] 7 6+ 6− 5+ 5− 4 3 2 1
NNN[49] 7 6+ 6− 5+ 5− 4 3 2 1
ANN[50] 7 6強 6弱 5強 5弱 4 3 2 1
JNN[51] 最大震度7の時
最大震度6強の時
最大震度6弱の時  
最大震度5強の時  
最大震度5弱の時  
最大震度4以下の時  
TXN[52] 7 6+ 6− 5+ 5− 4 3 2 1
FNN[53][注釈 4] 7 6強 6弱 5強 5弱 4 3 2 1
  • いずれも地震発生時刻も併せて表示。

注釈

  1. ^ 震央に近い「苫小牧市しらかば(苫小牧測候所)」は2004年に観測終了。
  2. ^ a b 「地域名」は各都府県を数地区、北海道を三十余地区に区切った地域で、2014年4月8日時点では188区分[44]。北海道では2010年の総合振興局設置時に2町が管轄支庁(振興局)を変更したが、現在もこれが反映されず旧支庁のまま(幌加内町が空知管内、幌延町が留萌管内のまま)報道される場合がある。
  3. ^ 「市区町村名」は基礎自治体たる各市町村および特別区ごと。ただし政令指定都市では行政区ごと。区域内に複数の震度観測点がある場合は、その中で最大となった観測点の震度をその市区町村の震度として発表する。
  4. ^ ニュース映像でのみ使用されている。
  5. ^ 偵察機でないのは、戦闘機が常に待機状態になっていて、一番対応が早いため。夜間で何も見えなくても、少なくとも火災は起きていないことがわかる[54]

出典

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