柴田善臣
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来歴
1982年に競馬学校の第一期生として入学。競馬学校出身の現役騎手としては最古参。1985年に騎手免許を取得し、美浦の中野隆良厩舎所属でデビュー。初騎乗は同年3月9日の中山競馬第6競走のイズミサンエイで5着、初勝利は同年4月7日の中山競馬第3競走のイズミサンエイであった。同年は12勝を挙げ、民放競馬記者クラブ賞(新人騎手賞)を受賞している。1988年の中山牝馬ステークスで、主戦の柏崎正次が斤量50kgでの騎乗ができないため、代打でソウシンホウジュに騎乗し、重賞初勝利を挙げた。
1993年、安田記念でヤマニンゼファーに騎乗し、GI初勝利を挙げた。この時期の前後から安定して勝利を重ね、関東の有力騎手として台頭。2001年1月21日には中山第5競走の新馬戦においてティエッチコマンドに騎乗して1着となり、JRA通算1000勝を達成[2]し、ワールドスーパージョッキーズシリーズも2度制覇(1999年、2003年)している。そして、掲示板(5着以内)へ頻繁に入着する堅実な騎乗で3年連続JRAの関東リーディングジョッキー(2002年-2004年)に輝いている。また、夏の新潟・福島開催で好成績を残しており、なかでも2002年から2004年にかけて3年連続で新潟リーディングジョッキーに輝いているほか、2001年7月14日の新潟競馬第10競走「NiLS21ステークス」ではツジノワンダーに騎乗して当時の芝2000メートル日本レコードとなる1分56秒4を記録している[注 1]。
一方で、中央GIを9勝していながら、クラシックのGIは未勝利である。また、9勝のうち7勝が東京と中京の左回りの競馬場で、右回りの競馬場では長らく中央GI勝利がなかったが、2010年の宝塚記念をナカヤマフェスタで制し、右回りの競馬場での中央GI初勝利となった。JRA主要競馬場の1つの京都競馬場の重賞は長く未勝利であったが、2007年にマイネルスケルツィで京都金杯を勝利している。2020年に小倉競馬場で行われた愛知杯をデンコウアンジュで勝利したため、重賞を勝っていない競馬場は函館競馬場のみとなった。
2001年から2005年の間は中央GIを勝つことができず、また見せ場も少なかった。しかし2006年の高松宮記念で6年振りの中央GI制覇を果たしたのを皮切りに、桜花賞、ヴィクトリアマイル、優駿牝馬といった牝馬GIの舞台で、人気薄の馬を好走させている。そして、続く東京優駿でも、初騎乗のアドマイヤメインで2着に入った。ダービージョッキーとなることは出来なかったが、例年のイメージと異なるその姿は、周囲を驚かせるに十分であった。
また、2010年は前述のように宝塚記念で4年ぶりのGI勝利の後、ラジオNIKKEI賞をアロマカフェで、七夕賞を11番人気のドモナラズで勝ち、3週連続重賞勝ちを記録した。その後、2011年12月17日には、中山第11競走のディセンバーステークスにおいてナカヤマナイトに騎乗して1着となり、JRA通算2000勝を達成した[2]。2012年11月11日にはエリザベス女王杯をレインボーダリアで制覇し、自身初となる牝馬GI及び京都競馬場でのGI競走優勝を果たした。
デビュー後、3年間は平地のほか、障害競走にも騎乗していたことがあり、40戦2勝の成績を挙げている。デビューした1985年12月21日の中山大障害(秋)にスガノキングで障害重賞初騎乗を果たしている(結果は8頭中7着)。得意ではなかったと回顧しており、自分に向いていないと感じたことや騎乗予定だった馬の事故などがあり、障害免許の更新をしなかった。だが、障害競走に騎乗したことで勉強できたこともあったと語っている[3]
重賞4勝馬ワシントンカラーを始め、管理馬の数多くを柴田に騎乗依頼していた元調教師の松山康久は、柴田を「騎乗馬の状態判断が的確であり、義理堅く、丁寧なやりとりをしてくれている」と語っているように関係者からの評判も良い。
高橋祥泰厩舎に実習に来た競馬学校2年時の田中博康(元騎手・現調教師)に、調教の仕方を教えたということもあった。柴田は「常に馬と会話をしながら乗りなさい」と教え、田中はその柴田を「本当に丁寧な調教をされる」と敬意をもって評している。[4]また田中は「先輩騎手から技術を盗めるとしたら、どの騎手のどの部分が欲しい?」といった質問を受けた際も、「善臣さんのレースに行っての折り合いのつけ方」と回答している。[5]
かねてより腰の不安が指摘されていたが、2009年1月4日の中山競馬で9年7か月ぶりの騎乗停止処分を受けたため、それを機会に休養し腰椎ヘルニアの手術を受けた[6]。その後約1か月のリハビリに専念し、2月21日の東京競馬にて復帰、22日にはフェブラリーステークスでナンヨーヒルトップに騎乗した。
2005年3月、岡部幸雄の引退に伴い、かつては叔父の柴田政人も務めていた日本騎手クラブの会長に就任。2010年4月12日に東西役員総会の役員改選で後任の会長に武豊が選出され[7]、同年9月15日付で会長を退任して相談役に就いた[8]。
2018年03月31日に木幡初広が引退し、現役最年長騎手となる。
2021年6月29日、農林水産省より農林水産大臣表彰を受賞した[9]。
2021年8月8日、レパードステークスをメイショウムラクモで勝ち、JRA最年長重賞勝利を達成[10][注 2]。
2022年(令和4年)春の褒章において黄綬褒章を受章[11]。現役騎手では的場文男(特別区競馬組合・東京都騎手会、2020年(令和2年)秋)に続く2人目の受章で、JRA現役騎手の受章は初となる[12]。
2022年11月5日、福島1Rをビルカールで勝利。56歳3ヶ月7日での勝利は岡部幸雄の56歳2ヶ月24日での勝利を上回るJRA騎手史上最年長勝利記録となった[13][14]。
2022年11月20日、福島11R福島民友カップをベルダーイメルで勝利し、自身の持つJRA騎手最年長勝利記録を更新[15]して以降、勝利のたびにJRA騎手最年長勝利記録が更新となり、2023年終了時で2023年12月10日、中山12R3歳以上2勝クラスでブランデーロックの勝利がJRA騎手最年長勝利記録57歳4か月11日とする[16]。
2024年2月4日、東京12Rでニットウバジルに騎乗し、史上3人目となるJRA通算2万2000回騎乗を達成した[17]。
注釈
出典
- ^ “平成28年度 騎手免許試験合格者” (PDF). 日本中央競馬会 (2016年2月11日). 2016年4月6日閲覧。
- ^ a b JRA公式ウェブサイト 騎手名鑑『柴田善臣』表彰暦・記録より
- ^ 『素顔のままで』P18
- ^ netkeiba.com『ホソジュンのステッキなお話 田中博康騎手』より
- ^ 『競馬最強の法則』2009年9月号
- ^ 日刊スポーツ 2009年1月8日
- ^ ラジオNIKKEI 2010年4月21日付
- ^ sanspo.com 2010年9月16日付
- ^ “競馬関係者に対する農林水産大臣賞の表彰”. 日本中央競馬会 (2021年6月29日). 2021年6月29日閲覧。
- ^ 2021年8月8日付
- ^ “10年ぶり参戦の柴田善臣、武豊ら中央から6人 ワールドオールスタージョッキーズ出場騎手発表”. 日刊スポーツ (2022年7月10日). 2022年7月10日閲覧。
- ^ 柴田善臣が黄綬褒章を受章 中央競馬現役騎手で初「受章を励みに、早く復帰したい」 - デイリースポーツ online 2022年4月28日
- ^ “柴田善臣騎手がJRA史上最年長勝利記録を更新 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年11月5日閲覧。
- ^ “柴田善臣騎手が56歳3カ月7日で勝利 岡部幸雄元騎手を上回るJRA最年長記録を更新”. 日刊スポーツ (2022年11月5日). 2022年11月5日閲覧。
- ^ “ベルダーイメル鼻差しのいだ 柴田善騎手はJRA最年長勝利記録を更新/福島民友C”. 2022年11月21日閲覧。
- '^ “【中山12R・3歳上2勝クラス】57歳柴田善臣騎手はJRA最年長勝利記録をまた更新 7番人気ブランデーロックでV”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知 (2023-12-10JST17:05:00+0900). 2024年2月5日閲覧。
- '^ “JRA現役最年長の柴田善臣騎手が通算2万2000回騎乗 史上3人目”. UMATOKU | 馬トク - スポーツ報知 (2024-02-04JST17:17:00+0900). 2024年2月5日閲覧。
- ^ 『善臣の仕事』P18
- ^ NHKにっぽん釣りの旅 これまでの釣りの旅
- ^ 日刊スポーツ 見事!!柴田善サオさばき…沖メバル初挑戦
- ^ 柴田善臣騎手公式ミニまぐ! 2008年11月12日
- ^ 『素顔のままで』P19
- ^ BS日テレ - おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR,NO LIFE! │ #50 柴田善臣
- ^ 善臣ジュニア、和田のおいっこら8人競馬学校合格(競馬) - スポニチ Sponichi Annex ニュース
- ^ 馬事公苑 2009.09.23 第41回愛馬の日
- ^ 競馬学校入学式、善臣Jr.力強く生徒宣誓 - SANSPO.COM
- ^ 騎手課程第29期生 東京競馬場で模擬レースを開催(JRA公式サイト)には模擬レース参加者には名前を連ねていなかったので、退学したことが検証できる。
- ^ “柴田善臣騎手三男の陸樹ら20人合格/オート候補生”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年5月28日) 2020年5月29日閲覧。
- ^ イスタナドッグス SHOW(受賞歴のページ)
- ^ JRA騎手・柴田善臣公式ブログ「Yoshitomi's Wine cellar」 2008年09月25日
- ^ JRA騎手・柴田善臣公式ブログ「Yoshitomi's Wine cellar」 2008年10月02日
- ^ セレクトセール - 柴田善臣オフィシャルブログ「わたしのたからもの」2011年7月12日付
- ^ 同年6月17日発行、東京スポーツより
- ^ “柴田善臣騎手「成績が落ちて目が覚めた」/レジェンド騎手たちの二十歳の頃(3)”. netkeiba.com (2020年1月13日). 2021年7月28日閲覧。
- ^ 善臣フェスタで4年ぶりG1/宝塚記念、日刊スポーツ 2010年6月28日付記事
- ^ 【宝塚記念】柴田善「忘れたころにやりました」、Sponichi Annex 2010年6月27日付記事
- ^ 七夕賞勝利騎手インタビュー、JRA 2010年7月12日閲覧
- ^ ドモ大外イッキ善臣3週連続V/七夕賞、日刊スポーツ 2010年7月12日付記事
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