東京都交通局12-600形電車 走行機器など

東京都交通局12-600形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 19:02 UTC 版)

走行機器など

制御装置は日立製作所[4]の2レベルIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御方式で、1台のインバータユニットでリニアモーター2台(1両分)を制御するインバータを2セット搭載している(1C2M2群制御)[8]。主電動機は120kW出力の車上1次片側式三相リニア誘導電動機(重量1,300kg以上[9])が採用されており、各台車に1台(1両に2台)を装架しており、全電動車となっている[7]

補助電源装置は、冷房装置の能力向上に対応して容量増強を図った120kVA出力の東洋電機製造[4]静止形インバータを採用している[10][11]集電装置はシングルアーム式パンタグラフを採用しており、折りたたみ高さは160mmと小さい[3]。各機器の車両情報を一括して管理する列車情報制御装置(ATI装置)を搭載するが、取り扱い性を考慮して12-000形の光ファイバー伝送から一般的なメタル線伝送方式を採用している[10]

台車は自己操舵機構(セルフステアリング機構)を有するリニアモーター駆動方式の空気ばね台車(住友金属工業→新日鐵住金→日本製鉄製)で、12-000形と同一品(交通局形式T12-D-V形・メーカー形式FS545D形)である[10]。これは定期検査を施工する馬込車両検修場において台車のリンク整備を行っているためである[10][12]。車輪径は610mm、基礎ブレーキは1軸1ディスクのディスクブレーキ方式である[6][9]

保安装置については12-000形と同等の車内信号式自動列車運転装置(新CS-ATC)および自動列車運転装置(ATO)を搭載している[9]。ATO装置は通常は運転士が行う駅の発車から停車までの一連の運転操作を行うものである[9]。ATO装置使用時には力行操作・ブレーキ操作とも31段の多段制御が行われ、また同装置使用時の定位置停止精度は前後50cm以内と高い精度となっている[9]


  1. ^ a b 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2012年4月号DJ NEWS FILE「東京都交通局12-600形(大江戸線)」参照
  2. ^ PHP研究所「都営地下鉄・都電・都バスのひみつ」
  3. ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道運転協会「運転協会誌」2012年1月号新型車両プロフィールガイド「東京都交通局 大江戸線12-600形車両の概要」参照。
  4. ^ a b c ネコ・パブリッシング「レイルマガジン」2012年5月号NEW COMER「大江戸線12-600形車両の概要について」記事。
  5. ^ 都営大江戸線向け12-600形が甲種輸送される アーカイブ 2020年12月2日 - ウェイバックマシン - railf.jp 鉄道ニュース、2011年8月29日掲載。
  6. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2012年10月臨時増刊号鉄道車両年鑑2012年版「東京都交通局12-600形」152-153頁記事。
  7. ^ a b c d e f g h i 交友社「鉄道ファン」新車ガイド「東京都交通局12-600形」50-52頁記事。
  8. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2012年6月号New model「東京都交通局12-600形」記事。
  9. ^ a b c d e f g 日本地下鉄協会「SUBWAY」No.194車両紹介「東京都交通局大江戸線12-600形車両」記事。
  10. ^ a b c d e f g 交友社「鉄道ファン」新車ガイド「東京都交通局12-600形」53-54頁記事。
  11. ^ 東洋電機製造「東洋電機技報」No.125(2012年3月)「東京都交通局12-600形車両用低圧電源装置」 (PDF) (インターネットアーカイブ)。
  12. ^ 馬込車両検修場では、車両の在場日数を減らすために台車やパンタグラフなど一部機器については整備済みの予備品(リンク品)を用意している。入場車両の整備対象機器はリンク品へと交換し、入場車両から取り外した整備対象機器は別途整備の上、次回入場の別な編成に使用される。
  13. ^ a b c d e f 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年7月号研究と開発「都営大江戸線12-600形2次車の概要」24-26頁記事。
  14. ^ a b 日本鉄道車両工業会「車両技術」250号「東京都交通局 大江戸線 12-600形車両(2次車)」記事。
  15. ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年7月号研究と開発「都営大江戸線12-600形2次車の概要」27-28頁記事。
  16. ^ 東京都交通局『都営交通のあらまし2015』p.30「経営状況」記事。
  17. ^ 「三菱電機技報」2016年01月号「横長LCD表示器 アーカイブ 2016年10月11日 - ウェイバックマシン
  18. ^ a b c d e f g h i j k 日本鉄道車輌工業会「車両技術」258号(2019年9月)「東京都交通局 大江戸線12-600形車両(3次車)」35-44頁記事。
  19. ^ 東京都交通局『都営交通のあらまし2019』p.30「経営状況」記事。
  20. ^ 乗客への案内用に戸袋部には大江戸線の路線マーク「E」を表記している。
  21. ^ このため、座席定員を4・7・7・4人掛けから3・6・6・3人掛けに変更した。
  22. ^ 「産業資材」 - 龍村美術織物HP(インターネットアーカイブ)。
  23. ^ 車椅子スペースとフリースペースの違いは、車椅子固定用ベルトの有無のみである。東京都交通局の資料では、両者を区別して記載している。
  24. ^ a b c d e f g 日本鉄道車輌工業会「車両技術」258号(2019年9月)「東京都交通局 大江戸線12-600形車両(3次車)」45-57P記事。
  25. ^ 乗務員室内の800Wファンヒーターは存置されている。
  26. ^ a b c 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第56回(2019年)「東京都交通局12⁻600形3次車ATIの開発」論文番号508。
  27. ^ 東京都交通局向けリニア式地下鉄車両を受注 アーカイブ 2020年6月5日 - ウェイバックマシン - 川崎重工ニュースリリース 2016年5月26日掲載
  28. ^ 東京都交通局経営計画2019 アーカイブ 2020年5月14日 - ウェイバックマシン - 東京都交通局 2019年1月26日発表





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