昼下りの情事 昼下りの情事の概要

昼下りの情事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 02:15 UTC 版)

昼下りの情事
Love in the Afternoon
アメリカ合衆国公開時のポスター
監督 ビリー・ワイルダー
脚本 ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
原作 クロード・アネ英語版
アリアーヌ英語版
製作 ビリー・ワイルダー
出演者 ゲイリー・クーパー
オードリー・ヘプバーン
モーリス・シュヴァリエ
音楽 フランツ・ワックスマン
撮影 ウィリアム・C・メラー英語版
編集 レオニード・アザール
製作会社 アライド・アーティスツ・ピクチャーズ・コーポレーション
配給 アライド・アーティスツ・ピクチャーズ・コーポレーション(現在はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー
セレクト=松竹共同配給
公開 1957年6月30日
1957年8月15日
上映時間 134分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,100,000(見積値)[1]
興行収入 $5,000,000[1]
配給収入 1億4330万円[2]
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ストーリー

愛の都パリ。ここにはいろんな愛がある。そう、不倫の愛も。探偵シャヴァスはホテル・リッツでの不倫の現場の証拠写真をヴァンドーム広場の記念柱から夜通し撮影していた。
家に帰ると音楽院に通う一人娘のアリアーヌがチェロの練習をしている。早速写真の現像を始めると、アリアーヌがやってきて写真を見る。とてもハンサムだわと言うアリアーヌ。だがシャヴァスは愛する娘を不倫などという自分の仕事の世界へ近づけたくはない。しかしアリアーヌは以前からこっそり父の事件簿を盗み読みしていた。公爵夫人とアルプスのガイドの事件、夫人と闘牛士の事件など,愛のために全てを捨てる不倫を、アリアーヌはロマンティックだと思っていた。そこへ依頼人のX氏がやってくる。X氏は写っているヴェールを被っている女性と名うてのプレイボーイでアメリカの大富豪フランク・フラナガンの密会写真を見て自分の妻だと確信。いつも楽団を引き連れているが、「魅惑のワルツ」を演奏し終わると楽団は出て行って2人だけになると聞くと、これから現場を押さえてフラナガンを銃で撃つと激昂しながら出て行った。隣の部屋で盗み聞きしていたアリアーヌは気が気でない。学校でも気になってチェロに身が入らない。ホテル・リッツや警察に電話するも相手にしてもらえない。アリアーヌは学校の友人のミシェルに頼んでホテル・リッツへ送ってもらうことにする。
その頃、ホテル・リッツで待ち伏せているX氏は夫人がフラナガンの部屋に入っていくのを見た。ホテルへ着いたアリアーヌはX氏を確認すると、別の部屋からフラナガンの部屋へ窓伝いに入っていく。そこでフラナガンとX夫人に大急ぎで事情を説明、X夫人と入れ替わる。「魅惑のワルツ」が終わり、楽団が帰るとX氏が入ってくるが、女性が自分の妻ではないと知って退散する。
突然飛び込んできた名前も教えない女の子に興味を持ったフラナガンは明日の晩パリを発つので寂しいからぜひ来てくれと言う。晩はダメだという女の子に、フラナガンは昼下りで、と約束を取り付ける。
次の日、アリアーヌは練習中に父の事件簿からフラナガンのファイルを読んでいた。そこへシャヴァスが入ってきて、今日もミシェルに送ってもらうのかと尋ねる。彼は家柄も申し分ないというシャヴァス。アリアーヌがミシェルのことを調べたの?と言うと、シャヴァスは「もし私がインドの王侯ならダイヤで飾ってやるし、靴屋なら靴を作ってやる。だが探偵では調査してやることしか出来ない。」と言う。それを聞いたアリアーヌは「愛してるわ、パパ」と言うと、シャヴァスは「パパはもっとだ」と返して次の仕事に出て行った。アリアーヌはホテル・リッツに後で来れないと言いにやってきたが、食前酒一杯だけと言われてついついフラナガンと過ごしてしまう。フラナガンはアリアーヌのバッグのAのイニシャルを見て名前を当てようとするが当たらない。別れ際、アリアーヌはフラナガンの胸に挿していた一輪のカーネーションだけをもらう。翌日、シャヴァスが家に帰ってくるとアリアーヌは元気がなく、冷蔵庫には枯れたカーネーションが置いてあった。
1年後、アリアーヌとミシェルがオペラを観に行っていると、最前列にフラナガンと女性がいるのが見えた。幕間にフラナガンに話しかけるアリアーヌ。最初は忘れていたフラナガンだったが、途中でAの女の子だったと思い出す。フラナガンは明日の昼下りの約束を強引に取り付ける。
翌日、ホテル・リッツを訪れたアリアーヌは、前日に父が依頼人の貿易商から預かった白テンのコートを着てきた。そしてそれが貿易商にもらったものだと言う。さらにこの1年の間に公爵やアルプスのガイドなどとも付き合っていたと言う。
その後もフラナガンとアリアーヌは逢瀬を続けるが、その度にアリアーヌは父のファイルを元に闘牛士などの相手がいたと嘘を言う。だんだんフラナガンはこのAの女の子の相手に嫉妬し始める。
ある日、2人で会っている時にフラナガンに女性から電話がかかってくると、ガッカリしたアリアーヌはフラナガンの録音機に自分の(嘘の)今まで付き合った男性の紹介を入れておく。アリアーヌが帰ったあと、録音に気づいたフラナガンが再生するが、嫉妬でモヤモヤしてしまい、サウナに楽団と共に行く。するとそこにはX氏がおり、そんな時は優秀な探偵シャヴァスの所で調査してもらうべきだとアドバイスする。
早速シャヴァスを訪ね、その女の子は男と住んでおり、公爵やアルプスのガイドなどとも付き合っていると特徴を言う。シャヴァスはまるで自分の探偵ファイルを総ナメにしたようだと思うが、イニシャルはAで、カーネーションだけ欲しがったと聞いて、これはアリアーヌのことだと気づく。後で待ち合わせをすることにしてフラナガンが帰ると、シャヴァスはフラナガンが来たとは知らないアリアーヌに悪い環境で育ててしまった、ダメな父親だと言う。アリアーヌは「そんなことはないわ。パパ、愛してるわ」と言うと、シャヴァスは「パパはもっとだ」と悲しげに答える。
待ち合わせ時間にシャヴァスはフラナガンに調査結果をホテル・リッツに持っていく。名前はアリアーヌ、純粋無垢の少女であなたに負けまいと必死で背伸びしていたのだと。そして自分の娘だから本気で無いのなら元の生活に戻してやってほしいと言って出ていく。父親の娘を案じる真剣な気持ちを知ったフラナガンは、パリを去ることにする。アリアーヌが来た時には荷造りも済ませていた。
パリのリヨン駅へフラナガンを見送るためについていくアリアーヌ。表面上は笑顔を見せる2人だったが、アリアーヌの目には涙が浮かび、フラナガンの顔にも心痛が浮かんでいた。列車が動き始めるとフラナガンを追いかけて涙を流しながらもまだ付き合った男性の話をして大丈夫だと強がっているアリアーヌ。それを見ていたフラナガンはとうとうアリアーヌを抱き上げて電車に引き上げた。フラナガンも真剣にアリアーヌを愛してしまっていたのだった。それを影から笑顔で見送るシャヴァス。駅のホームでは楽団が「魅惑のワルツ」を奏でていた。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
NETテレビ版1 NETテレビ版2 ソフト版
フランク・フラナガン ゲイリー・クーパー 黒沢良 小川真司
アリアーヌ・シャヴァス オードリー・ヘプバーン 池田昌子
クロード・シャヴァス モーリス・シュヴァリエ 中村正 巌金四郎 山野史人
X氏 ジョン・マッギーバー英語版 富田耕生 滝口順平 辻親八
ミシェル ヴァン・ドゥードフランス語版 広川太一郎 富山敬 松本大
X夫人 リーズ・ブールダンフランス語版 稲葉まつ子 瀬尾恵子
犬を連れた夫人 オルガ・ヴァレリー 戸川暁子
オペラでのブルネット女性 オードリー・ワイルダー[注釈 2]
警官 ポール・ボニファスフランス語版[注釈 3] 川久保潔 磯秀明
4人の楽団 ギューラ・コカス[注釈 3]
ミシェル・コカス[注釈 3]
ジョージ・コカス[注釈 3]
ヴィクター・ガゾッリ[注釈 3]
その他 N/A 野田圭一 高宮武郎
長谷川俊介
  • NETテレビ版1:初回放送1970年10月11日『日曜洋画劇場』21:00-23:26
  • NETテレビ版2:初回放送1973年10月28日『日曜洋画劇場』
  • ソフト版:2009年11月6日発売『オードリー・ヘプバーン生誕80周年記念 DVD-BOX』に初収録。

※NETテレビ版1・2は、2009年時点で権利元が音源を紛失。フィールドワークスにて当時の録画が一般公募された[3]が見つからず、ソフト版が新規製作された[4]


注釈

  1. ^ 翻訳は「若い娘アリアーヌ」(斎藤磯雄 訳, 秋元書房, 1956), 「世界大ロマン全集 第26巻」 (東京創元社, 1957) 中に「アリアーヌの青春」(宇佐見英治 訳)、「昼下りの情事」(岡田真吉 訳, 角川小説新書, 1957)がある。
  2. ^ ビリー・ワイルダーの妻。ノンクレジット。
  3. ^ a b c d e ノンクレジット

出典

  1. ^ a b Love in the Afternoon (1957) - Box office / business” (英語). IMDb. 2011年5月18日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)139頁
  3. ^ 吹替音源募集コーナー”. フィールドワークス. 2009年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月4日閲覧。
  4. ^ 【DVD】オードリー・ヘプバーン 生誕80周年『昼下りの情事』+『想い出のオードリー』スペシャルDVDボックス <初回限定生産>”. allcinema. 2023年1月4日閲覧。
  5. ^ a b c d バリー・パリス『オードリー・ヘップバーン 上巻』集英社、1998年5月4日初版発行、280-281頁。 
  6. ^ シャーロット・チャンドラー 著、古賀弥生 訳『ビリーワイルダー 生涯と作品《叢書・20世紀の芸術と文学》』アルファベータ、2006年5月1日、176頁。ISBN 9784871985383 
  7. ^ a b 『timeless Audrey』シーボルト・ブックス、2004年5月22日、105頁。 
  8. ^ イアン・ウッドワード (1993年12月25日初版発行). 『オードリーの愛と真実』p211. 日本文芸社 
  9. ^ アレグザンダー・ウォーカー (2003年1月20日). 『オードリー リアル・ストーリー』p196. アルファベータ 
  10. ^ 映画の友 1957年10月号』映画世界社、30頁。 
  11. ^ 『映画の友11月号臨時増刊 オードリイ・ヘップバーン全集』映画の友社、1966年11月10日発行、83頁。 
  12. ^ a b c d 『昼下りの情事』DVDライナーノート. ジェネオン・エンタテインメント株式会社. (2003年) 
  13. ^ 『映画の友 1957年10月号』映画世界社、141-142頁。 
  14. ^ 『第一回午前十時の映画祭』事務局からのお知らせ”. 2010年4月6日閲覧。
  15. ^ 小林祥次郎『人名ではない人名録』(勉誠出版 2014年p.106)。


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