指輪 指輪の概要

指輪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 01:05 UTC 版)

ルビーの指輪

歴史

初期の指輪は装飾品というよりも身体を守るための護符や実用的な印章として用いられた[1]

古代ギリシャでは紀元前6世紀にはベゼル(周縁)に装飾のある金や銀の指輪の製作が本格的になり、紀元前5世紀半ばには宝石付きの指輪も製作されるようになった[1]

中世には宝石はカットされなかったため大ぶりのままで光の反射ではなく、石そのものの華やかな色彩が利用された[1]。12世紀以降には山形にせりあがったベゼルの頂点に小ぶりの宝石を置いた「あぶみ型」と方形や楕円のベゼルに大ぶりの石を置いた「パイ皿型」の2つのデザインが指輪の典型になった[1]。また、中世になっても印章指輪は廃れなかったが、硬い宝石に彫り込むインタリオの技術は失われ、金属製のベゼルに彫り込まれるようになった[1]

15世紀にはポイントカットの加工技術が誕生し、さらにルネサンス期には宝石だけでなく彫金とエナメルの加工技術も主役級の役割をもつデザインとなり、指輪は工芸技術の粋を集めた装飾品になった[1]。17世紀初頭にダイヤモンドに多くの切子面を施すローズカットが生み出されたことで、宝石が指輪の主役となり、彫金とエナメルは二次的なものとなった[1]。17世紀には印章は腰からぶら下げるスタイルとなり、印章指輪の流行は下火になったが、王侯貴族では伝統的な印章指輪が用いられた[1]

19世紀末から20世紀にかけては、新たな装飾美術運動(アーツ・アンド・クラフツアール・ヌーヴォーアール・デコ)の流れと伝統的なデザインと指輪づくりにこだわった宝飾品メーカーの二つの潮流がみられるようになり、さらに第二次世界大戦頃からはニューヨークの宝飾品メーカーの台頭もみられるようになった[1]

文化

装着する指

装着する指によって意味が異なる。結婚指輪はその代表で、薬指には「聖なる誓い」の意味がある。結婚指輪以外の指輪は、通常は中指にはめる。

用途による種類

結婚指輪婚約指輪
婚約指輪
婚約する際に、男性から女性に贈られる指輪。英語では engagement ring(エンゲージメント・リング)。婚約指輪の金額の由来など詳細については婚約の項目を参照。婚約指輪の取得率は、矢野経済研究所の調査によれば58.4%(2015年)[2]。1970年代には日本ではダイヤモンドの会社であるデビアスの宣伝もあって、給料の3ヵ月分と言われたが、今は身の丈にあった額で選ぶ[3]
結婚指輪
結婚の証として、男女で交換し、日々身に着ける指輪。英語では wedding ring(ウェディング・リング)。「マリッジ・リング(marriage ring)」は和製英語。日本では左手の薬指が一般的だが、国や宗教によっては右手の薬指にはめることもある。
寡婦指輪
あまり一般的ではないが、未亡人が身に着ける指環。英語では widow ring(ウィドウ・リング)または widow's ring(ウィドウズ・リング)。結婚指輪をはめてあるすぐ隣の指にはめる[4]
印章指輪
インタリオリングとも呼ぶ。指輪がそのまま印章になっており、主に封蝋に捺す。ローマ教皇の持つ「漁師の指輪」が有名。日本ではあまり一般的ではない。

素材

素材は主に金属だが、宝石を付したものもある。

よく利用されている金属は(イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドなど)、白金(プラチナ)などの貴金属。このほか、チタン、ステンレス鋼、タンタルイリジウムなどを用いたものも見られる。また旧くは、鉄、真鍮、青銅の金属や、メノウやヒスイ、べっこう、象牙など宝石や類似のものを用いたものが市場がまれにある。


  1. ^ a b c d e f g h i 飯塚隆「新収作品 : 橋本コレクション」『国立西洋美術館報』第47巻、国立西洋美術館、2015年3月、16-23頁、ISSN 0919-08722022年2月6日閲覧 
  2. ^ ブライダルジュエリー ジュエリー専門情報誌:JAPAN PRECIOUS
  3. ^ クロワッサンNo.1007号22ページ
  4. ^ widows rings


「指輪」の続きの解説一覧




指輪と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「指輪」に関係したコラム

  • CFDのプラチナ相場の見方

    世界のプラチナ(白金)の年間採掘量は200トン前後です。金の年間採掘産量が4000トンなので、プラチナは金の約20分の1の量しか採掘されていません。下の図は、プラチナの生産量をグラフに表したものです。

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「指輪」の関連用語

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



指輪のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの指輪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS