対立遺伝子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 13:32 UTC 版)
例
メンデルによる『雑種植物の研究』に登場するエンドウマメを例にとれば、マメの色、つるの長さ、しわの有無、といった形質に対応する遺伝子座が存在し、最後のものに関しては「しわが有る」あるいは「しわが無い」に対応する遺伝子が存在する。この二つの遺伝子は対立遺伝子の関係にあるといえる。
ヒトのアルコール代謝経路ではALDH2というアルデヒドデヒドロゲナーゼが重要な働きをしている。ALDH2にはALDH2*1とALDH2*2が存在することが知られており、その違いは第12染色体にあるALDH2遺伝子のエクソン12の変異に由来している。487番目のアミノ酸コドンがGAA(グルタミン酸)ならALDH2*1ができ、AAA(リシン)ではALDH2*2が作られる[2]。すなわち、ALDH2遺伝子にはALDH2*1とALDH2*2の2種類の対立遺伝子があることになる。ALDH2*1対立遺伝子から作られる酵素は活性が高く、俗に酒に強い遺伝子と呼ばれている。ALDH2*2は活性が弱いため、この対立遺伝子を両親から受け継いだ人(ALDH2*2のホモ接合型)は非常にアルコールに弱くなる。
一方、ヒトのアルデヒド脱水素酵素としてはALDH1も知られているが、ALDH1は第9染色体にあり、第12染色体にあるALDH2とは遺伝子座が異なっている。このため、ALDH1とALDH2との関係は対立遺伝子とは呼ばれない。
脚注
参考文献
- 松本明子「アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の構造・機能の基礎とALDH2 遺伝子多型の重要性」『日本衛生学雑誌』第71巻第1号、日本衛生学会、2016年1月30日、55-68頁。
関連項目
- ウィリアム・ベイトソン - 遺伝に関する造語の命名者。
- 遺伝 / 遺伝子 / 遺伝子座
- 複対立遺伝子
- アセトアルデヒド脱水素酵素
- ^ ノックアウト非ヒト動物, 発明者 山中伸弥, 平峯加恵, 西澤雅子,公開特許公報(A)特開2004-154135(P2004-154135A)平成16年6月3日(2004.6.3) https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/129899/38cec4d24a5162789b0153cea2b16b5f?frame_id=387207
- ^ 日本衛生学雑誌 2016, p. 58.
対立遺伝子と同じ種類の言葉
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