宇宙飛行 宇宙船

宇宙飛行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 03:34 UTC 版)

宇宙船

アポロ16号の月着陸船と星条旗に敬礼するジョン・ヤング宇宙飛行士

宇宙船は宇宙空間で飛行する軌道を制御出来る乗り物である。最初の「本当の宇宙船」はアポロ計画における月着陸船であると言われている[34]。以来これは設計された唯一の空力抵抗を考慮していない宇宙空間での乗り物であり、宇宙空間の中だけで動作した[35]

有人宇宙飛行

世界初の有人宇宙飛行は1961年4月12日のボストーク1号であり、ソビエト連邦のユーリ・ガガーリンは世界初の地球を周回した宇宙飛行士となった。公式なソビエト連邦の報告書には、ガガーリンが地上から約11キロメートル(7マイル)の空中からパラシュートで降下したという事実がどこにも言及されていない[36]。当時のFAI国際航空連盟の規定では「宇宙飛行士は打ち上げから着陸に至るまで宇宙船の中に居なければならない」という規定があり(2004年現在は改訂されている[3])、これを適用するとガガーリンは宇宙飛行士の資格を喪失するため隠蔽したと考えられている。現在の有人往復宇宙飛行に使用される宇宙船はロシアのソユーズとアメリカのドラゴン2である。それぞれに関する過去の宇宙計画では他の宇宙船を使用していた。最近では、中華人民共和国神舟計画のひとつである神舟5号がアメリカのスペースシップワンのように2回の有人宇宙飛行を行った。世界でも人間を宇宙に出した国は26ヶ国あるが、自国開発のロケットでの直接的な有人宇宙飛行を成功させた国はロシアとアメリカ、中国だけで、アメリカに続いて3番目、42年ぶりとなる[37][38]

無重量状態

長期間の無重量状態に身体を置くことは複数の健康的問題を引き起こす。骨は脆くなり、筋肉及び心臓筋肉組織の永久的な萎縮が始まる[39]

また短期間の無重量状態で宇宙酔いを引き起こす。内耳三半規管が重力による抵抗を失って混乱するためだろうと言われているが、未だに解明されていない。前庭覚(平衡感覚)と視覚などの入力情報が中枢神経系で混乱することで宇宙酔いが始まったとする説もあり、研究が続けられている[40][41]

放射

太陽放射宇宙線は地球大気の上のヴァン・アレン帯で遮られている[42]

生命維持

有人宇宙飛行では生命維持装置は人間が宇宙空間で生き延びることを可能にするデバイスのひとつである。有人宇宙飛行任務のこれらの装置について説明するとき、NASAはよくEnvironmental ControlLife Support Systemの頭文字であるECLSSを使用する[43]。生命維持装置は水、空気、食べ物を供給する。また、身体に対する適度な空気圧を維持し、排泄された老廃物に対処しなければならない。宇宙線やマイクロ隕石などによる外部要因への防御も必要であるかもしれない。生命維持装置の部品はライフ・クリティカル・システムによって設計・構成されており、安全工学が考慮されている。

惑星間宇宙航行

惑星間の航行 (Interplanetary travel) はひとつの惑星系内の惑星間の航行を指す。実際には用語の定義は太陽系の惑星の間を旅行する場合に限られる。


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