大学入試問題ネット投稿事件 日本政府・各大学・有識者の対応など

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大学入試問題ネット投稿事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/21 02:49 UTC 版)

日本政府・各大学・有識者の対応など

内閣総理大臣菅直人は「このようなことが起きたことは大変残念」とコメントした[14]

文部科学大臣高木義明は試験会場への携帯電話等の持ち込みを全面禁止することを検討し、内閣官房長官枝野幸男は「情報通信技術の進歩に遅れることなく、しっかりした対応を取ってほしい」とコメントした。

事件発覚後の3月8日と12日に国公立大学の中後期試験が行われるにあたり、今回の事件の手口が判明せず集団カンニングの可能性も報じられたことから、大学側は携帯電話を利用するカンニングへの対策を講じることとなった。携帯電話の持ち込み自体を禁じたり、所持品をチェックしたり、大学側が携帯電話を預かるなどの案もあったが、手間やコストの面から現実的ではなかったため、受験担当官を増やすなどの対応のほか、受験生の携帯電話を机の上に置かせて監督者が一つずつ携帯電話の電源が切れているのを確認するなどの対応を取る大学も出た。あるいは、携帯電話の通信機能抑止装置の導入を検討する大学もあった。また、過去の大学受験において携帯電話カンニングが見過ごされたまま入学している可能性を危惧する声も出た。カンニング対策を含めて各大学には監督官庁である文部科学省の方針を求める声もあった。一方、文部科学省による一律的なカンニング対策や当事件で警察による刑事捜査は大学自治の観点から否定的な声もあがった。

ビジネス・ブレークスルー大学学長を務める大前研一は、面接時に倫理観を持っているかの確認は行うとしながらも、『この予備校生がビジネス・ブレークスルー大学を受験することを希望するならば、入試の受験を認める』ことを表明している[15]

東京都知事石原慎太郎は都知事の定例会見でこの問題に触れ「入試にしろ、その合格したあとの大学、高校でもそうだけれど、カンニングというのは昔からあったんです。みんな、いろいろ苦労してカンニングしていたね。(中略)だから、持っているツールを使って、日本で初めて入学試験で携帯使ってカンニングやったというのは見上げたもんなんじゃないのかね。ある意味では、ここ(頭を指して)がいいんだよ。(やられた)学校の方がばかなんだよ」という認識を示した[16]

なお産経新聞では、予備校生が逮捕されるおよそ半日前(2日午後)に「都内2高校生が関与 1人は外で中継 京都府警ほぼ特定」という記事をネット上に配信、同日の夕刊でも1面トップで報じた。当日夜に別の新聞社が相次いで「仙台市内の予備校生と断定」と報道し、誤報であることが判明した。誤報が出された理由について詳しくは明らかになっていないが、「2日朝の段階で出た契約者が誰なのか取材を続けた結果、都内の高校生が関与しているという情報を得た」という[17]。5日に産経新聞は謝罪広告を出している[18]


注釈

  1. ^ ある「単語」とその「よみ」を登録しておくことで、よみにあたる文字を入力した際に登録した単語を変換候補として呼び出すことが出来る機能。長文や記号なども単語として登録できる上、それに対応するよみは1文字のみでの登録も可能であるため、単純な操作で複雑な文字列を呼び出すことができる。

出典

  1. ^ 京大新聞ツイッターの“スクープ”」『MSN産経ニュース』、2011年3月5日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月7日時点におけるアーカイブ。
  2. ^ a b 「aicezuki」に意味ない 入力「脚の間で、すべて左手」」『47NEWS』(共同通信社)、2011年3月5日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月7日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 【入試問題流出】昨年6月から別名で予行演習か 類似投稿180問、お礼の一文など酷似」『MSN産経ニュース』、2011年3月1日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月4日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ 【入試投稿事件】同志社大は一転、被害届を出さず 「本人の更生に期待」」『MSN産経ニュース』、2011年3月8日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月11日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ 【入試問題流出】同一投稿の携帯はドコモ 立件視野に割り出し急ぐ」『MSN産経ニュース』、2011年3月2日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月5日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ 【入試問題流出】予備校生逮捕の方針 所在不明で行方追う 母も聴取へ 一部大学で合格」『MSN産経ニュース』、2011年3月3日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月6日時点におけるアーカイブ。
  7. ^ 入試ネット投稿:関与疑いの予備校生を保護、逮捕へ」『毎日jp』(毎日新聞社)、2011年3月3日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月4日時点におけるアーカイブ。
  8. ^ 【衝撃事件の核心】波紋呼んだ入試問題流出 結末は「単純カンニング」」『MSN産経ニュース』、2011年5月14日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年5月17日時点におけるアーカイブ。
  9. ^ 「ネットカンニング」元予備校生を不処分 大学入試問題投稿で山形家裁「深く反省」」『MSN産経ニュース』、2011年7月7日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年7月10日時点におけるアーカイブ。
  10. ^ 西尾邦明、竹田真志夫「「まじめに生きる」バイトで社会へ一歩 京都大入試不正事件の元予備校生」『asahi.com朝日新聞社、2011年12月27日。2015年3月12日閲覧。
  11. ^ まさか入試問題とは…英語問題回答の男性戸惑い」『YOMIURI ONLINE』(読売新聞社)、2011年3月2日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月5日時点におけるアーカイブ。
  12. ^ 【入試投稿事件】予備校生は不合格 京大が発表、苦情300件の8割が非難」『MSN産経ニュース』、2011年3月10日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月13日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ 仙台の男子予備校生、京大不合格」『サンケイスポーツ』、2023年7月2日。2011年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月17日時点におけるアーカイブ。
  14. ^ 産経新聞 2011年3月4日
  15. ^ ビジネス・ブレークスルー大 入試問題投稿予備校生の受験許可」『Sponichi Annex』スポーツニッポン新聞社、2011年3月24日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月26日時点におけるアーカイブ。
  16. ^ 知事本局政策部政策課「石原知事記者会見(平成23年3月4日)」『石原知事定例記者会見録』議事録東京都、2011年3月10日。2015年3月12日閲覧。
  17. ^ 「東京の高校生関与」は誤報 産経新聞が謝罪記事」『Sponichi Annex』スポーツニッポン新聞社、2011年3月5日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月8日時点におけるアーカイブ。
  18. ^ 【入試投稿事件】2日掲載の記事について」『MSN産経ニュース』、2011年3月5日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月6日時点におけるアーカイブ。
  19. ^ センター会場「携帯はかばんに」 カンニング対策強化」『asahi.com』朝日新聞社、2012年1月14日。2015年3月12日閲覧。
  20. ^ 入試、カンニングさせない 見回り強化の大学も 山梨」『asahi.com』朝日新聞社、2012年1月24日。2015年3月12日閲覧。
  21. ^ 大学入試、カンニング厳戒 携帯振動音で即失格も 不審行為に警告書、会場内の巡回増」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年1月12日。2015年3月12日閲覧。
  22. ^ a b 遠藤麻衣「スマホカンニングの攻防がこんな発展を!?」『ITmedia Mobile』アイティメディア、2015年2月13日。2015年3月12日閲覧。
  23. ^ 携帯電波で席特定、カンニング防止 東工大が開発」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年2月24日。2015年3月12日閲覧。


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