大学入試問題ネット投稿事件 その後のカンニング対策

大学入試問題ネット投稿事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/21 02:49 UTC 版)

その後のカンニング対策

翌年平成24年のセンター試験では、試験直前にいったん携帯電話・スマートフォンを卓上に置かせ、電源を切らせたうえで再度しまうよう監督者が指示を出し、カンニング対策に務めた[19]。試験中の巡回を増やす、見回りを徹底させるなどの監視強化を実施するほか、東北大学山梨県立大学では指定された封筒内に携帯電話を封入させた上でかばんにしまわせるといった対策を行った[20]

また、カンニングと疑われるような行為に対する罰則等も強くされ、青山学院大学では2012年の入学試験から、かばんの中から携帯電話の振動音がしただけで失格にするとされ、明治大学は募集要項中に、携帯電話が鳴った際はかばんごとまとめて会場外に出すと記した[21]

一方、この事件を契機に東京工業大学は、電源が入っている携帯電話がある位置を特定するシステムを開発した[22]。今までにも似たシステムは開発されていたが、既存システムの欠点であった位置特定精度を誤差3メートルから誤差40センチメートルへと高めたとされる[23]。2015年現在、コストパフォーマンスの問題から入学試験会場でこそ使われていないものの、首脳会談などの高度なセキュリティーを要求される場所でこのシステムが稼働している[22]

当事者となった京都大学では、腕時計型端末が普及した影響もあり、不正行為の巧妙化そして再発を恐れ、2016年度入試より筆記試験の際に個人所有の時計(腕時計,置時計,スマートウォッチ等)を使用することが全面禁止となった。しかし、同時に受験生側が解答上において不利を強いられることを懸念されるため、大学側が試験会場に壁かけ式の電波時計を設置することとした。また壁かけ時計の場合、座席位置などによって受験生側から時計が見えづらくなる可能性も配慮して試験官にも自主的に時計を見せる等で経過時間を報告するように促されている。受験の際に個人所有の時計の持ち込みが禁止になることは、全国の大学で初めての措置である。


注釈

  1. ^ ある「単語」とその「よみ」を登録しておくことで、よみにあたる文字を入力した際に登録した単語を変換候補として呼び出すことが出来る機能。長文や記号なども単語として登録できる上、それに対応するよみは1文字のみでの登録も可能であるため、単純な操作で複雑な文字列を呼び出すことができる。

出典

  1. ^ 京大新聞ツイッターの“スクープ”」『MSN産経ニュース』、2011年3月5日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月7日時点におけるアーカイブ。
  2. ^ a b 「aicezuki」に意味ない 入力「脚の間で、すべて左手」」『47NEWS』(共同通信社)、2011年3月5日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月7日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 【入試問題流出】昨年6月から別名で予行演習か 類似投稿180問、お礼の一文など酷似」『MSN産経ニュース』、2011年3月1日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月4日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ 【入試投稿事件】同志社大は一転、被害届を出さず 「本人の更生に期待」」『MSN産経ニュース』、2011年3月8日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月11日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ 【入試問題流出】同一投稿の携帯はドコモ 立件視野に割り出し急ぐ」『MSN産経ニュース』、2011年3月2日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月5日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ 【入試問題流出】予備校生逮捕の方針 所在不明で行方追う 母も聴取へ 一部大学で合格」『MSN産経ニュース』、2011年3月3日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月6日時点におけるアーカイブ。
  7. ^ 入試ネット投稿:関与疑いの予備校生を保護、逮捕へ」『毎日jp』(毎日新聞社)、2011年3月3日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月4日時点におけるアーカイブ。
  8. ^ 【衝撃事件の核心】波紋呼んだ入試問題流出 結末は「単純カンニング」」『MSN産経ニュース』、2011年5月14日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年5月17日時点におけるアーカイブ。
  9. ^ 「ネットカンニング」元予備校生を不処分 大学入試問題投稿で山形家裁「深く反省」」『MSN産経ニュース』、2011年7月7日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年7月10日時点におけるアーカイブ。
  10. ^ 西尾邦明、竹田真志夫「「まじめに生きる」バイトで社会へ一歩 京都大入試不正事件の元予備校生」『asahi.com朝日新聞社、2011年12月27日。2015年3月12日閲覧。
  11. ^ まさか入試問題とは…英語問題回答の男性戸惑い」『YOMIURI ONLINE』(読売新聞社)、2011年3月2日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月5日時点におけるアーカイブ。
  12. ^ 【入試投稿事件】予備校生は不合格 京大が発表、苦情300件の8割が非難」『MSN産経ニュース』、2011年3月10日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月13日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ 仙台の男子予備校生、京大不合格」『サンケイスポーツ』、2023年7月2日。2011年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月17日時点におけるアーカイブ。
  14. ^ 産経新聞 2011年3月4日
  15. ^ ビジネス・ブレークスルー大 入試問題投稿予備校生の受験許可」『Sponichi Annex』スポーツニッポン新聞社、2011年3月24日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月26日時点におけるアーカイブ。
  16. ^ 知事本局政策部政策課「石原知事記者会見(平成23年3月4日)」『石原知事定例記者会見録』議事録東京都、2011年3月10日。2015年3月12日閲覧。
  17. ^ 「東京の高校生関与」は誤報 産経新聞が謝罪記事」『Sponichi Annex』スポーツニッポン新聞社、2011年3月5日。2015年3月12日閲覧。オリジナルの2011年3月8日時点におけるアーカイブ。
  18. ^ 【入試投稿事件】2日掲載の記事について」『MSN産経ニュース』、2011年3月5日。2023年7月2日閲覧。オリジナルの2011年3月6日時点におけるアーカイブ。
  19. ^ センター会場「携帯はかばんに」 カンニング対策強化」『asahi.com』朝日新聞社、2012年1月14日。2015年3月12日閲覧。
  20. ^ 入試、カンニングさせない 見回り強化の大学も 山梨」『asahi.com』朝日新聞社、2012年1月24日。2015年3月12日閲覧。
  21. ^ 大学入試、カンニング厳戒 携帯振動音で即失格も 不審行為に警告書、会場内の巡回増」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年1月12日。2015年3月12日閲覧。
  22. ^ a b 遠藤麻衣「スマホカンニングの攻防がこんな発展を!?」『ITmedia Mobile』アイティメディア、2015年2月13日。2015年3月12日閲覧。
  23. ^ 携帯電波で席特定、カンニング防止 東工大が開発」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年2月24日。2015年3月12日閲覧。





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