大井川鐵道井川線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 17:21 UTC 版)
運行形態
2023年3月改正時点で、旅客列車は千頭 - 井川間の列車が2往復、千頭 - 接岨峡温泉間の列車が3往復運行されている。また、車庫のある接岨峡温泉 - 井川間(ゴールデンウィークや8月・11月の土休日に運行)の区間列車もある。大井川本線とは異なりワンマン運転は行われていない。
全列車がDD20形ディーゼル機関車で推進・牽引される客車列車によって運行される。旅客列車においては、連結器の負担軽減および損傷時のリスクを考慮して、麓側の千頭方に重量物である機関車が、井川方には制御客車クハ600形が連結される。クハ600形から機関車を制御するため、井川線で運用されるすべての客車とcトキ200形・cワフ0形貨車には制御回路が引き通されている。ラック式鉄道(アプト式)区間ではさらにED90形電気機関車が補助機関車(補機)として連結される。
基本的な編成は以下のとおり。
- 千頭 - アプトいちしろ間、長島ダム - 井川間
- 機関車(DD20形)+客車+客車+客車+制御客車(クハ600形)
- アプトいちしろ - 長島ダム間
- 電気機関車(ED90形)+機関車(DD20形)+客車+客車+客車+制御客車(クハ600形)
いずれも多客時と閑散期には客車の連結両数(2 - 8両)が増減する。
ダイヤ上、途中駅で連結・解放を行う列車も存在するが、この場合は機関車(DD20形)が編成中間に入る。また分割併合がなくても、多客時に6両以上の客車で運行する場合には中間または後部に補機として連結されることもあるが、連結された機関車も先頭車から総括制御される。
- 機関車(DD20形)+客車+客車+制御客車(クハ600形)+機関車(DD20形)+客車+客車+制御客車(クハ600形)
- 機関車(DD20形)+客車+客車+機関車(DD20形)+客車+客車+制御客車(クハ600形)
- 機関車(DD20形)+機関車(DD20形)+客車+客車+客車+客車+制御客車(クハ600形)
かつては小型蒸気機関車やディーゼル機関車DB1形による観光列車が千頭 - 川根両国間で運行されていた。
貨物列車は、静岡県統計年鑑によると2020年(令和2年)度に千頭駅、沢間駅、土本駅、川根小山駅、アプトいちしろ駅、奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅、閑蔵駅、井川駅に取扱い実績がある[29]。鉄道統計年報における品目内訳はすべて「分類不能」とされている。
きかんしゃトビー号
大井川本線で行われてきたDAY OUT WITH THOMASの一環で、「きかんしゃトビー号」を2022年(令和4年)8月19日から千頭 - 奥泉間で運行することが同年4月28日に発表された[30]。編成はトビー号+客車5両を基本とする。1日2往復が運行されるが、奥泉駅では乗降不可であり、千頭駅でのみ乗降できる往復遊覧運行となっている[31][32]。乗車には大鉄アドバンスのツアーサイトからパッケージツアーを事前に申し込むのが基本ではあるが、当日空席がある場合は、千頭駅内の専用窓口または新金谷駅前にある「プラザロコ」2階のSLセンター(第2便のみ)にて当日乗車券が発売される[33]。
注釈
出典
- ^ a b 寺田裕一『日本のローカル私鉄 (2000)』 - ネコ・パブリッシング
- ^ a b 宮脇俊三『線路の果てに旅がある』小学館、1993年
- ^ a b 『RM LIBRARY 96 大井川鐵道井川線』ネコ・パブリッシング
- ^ 差異がある『地方鉄道及軌道一覧. 昭和15年11月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 『鉄道ファン』1990年2月号 p.114
- ^ a b 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳』7号 東海、新潮社、2008年、p.32
- ^ a b c 『鉄道ジャーナル』第33巻第5号、鉄道ジャーナル社、1999年4月、93頁。
- ^ “井川線 奥泉-井川間が不通”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (2000年9月20日)
- ^ a b “大井川鉄道 奥泉-井川間 通所運行に”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (2000年9月25日)
- ^ “山頂に割れ目、バスで一部代行輸送 大井川鉄道井川線”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2010年8月29日). オリジナルの2010年8月31日時点におけるアーカイブ。 2015年11月20日閲覧。
- ^ “南アルプスあぷとラインのバス代替輸送について”. 大井川鐵道. 2011年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月20日閲覧。
- ^ 平成23年台風第12号による被害状況等について(第28報) 平成23年12月28日14時30分現在 (PDF) - 内閣府 防災情報
- ^ 平成23年台風第15号による被害状況等について(第13報) 平成23年12月28日14時30分現在 (PDF) - 内閣府 防災情報
- ^ 大井川鐵道井川線部分運休について : 奥大井の旅なび - 川根本町まちづくり観光協会、2018年5月8日
- ^ 井川線 閑蔵駅〜井川駅間が305日ぶりに復旧します! - 大井川鐵道、2018年12月6日
- ^ “井川線 閑蔵—井川間の運転再開”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2019年3月10日). 2019年3月11日閲覧。
- ^ 4/14〜5/8 井川線 新型コロナウイルス感染拡大に伴う全線運休について 大井川鐵道(2020年4月13日)、2020年4月19日閲覧。
- ^ 〜5/29 列車・路線バスの運行、川根温泉ホテルの営業について 大井川鐵道(2020年4月23日)、2020年5月6日閲覧。
- ^ SLかわね路号・井川線営業運転再開について(6/20再開予定) - 大井川鐵道、2020年6月10日
- ^ 井川線 閑蔵駅~井川駅間 の今後の運転計画について 大井川鐵道(2022年5月23日)2022年6月27日閲覧
- ^ 井川線 閑蔵駅~井川駅間 運転再開について 大井川鐵道(2022年8月3日)、2022年8月6日閲覧。
- ^ 2022年10月8日 (土) 井川線 千頭~接岨峡温泉 運転再開 大井川鐵道 2022年10月6日
- ^ 大井川本線 台風15号被災によるバス代行運転について 大井川鐵道 2022年10月19日
- ^ “奥大井支えた遺産と別れ 大鉄井川線の鉄道橋撤去 戦後の電力開発に貢献”. あなたの静岡新聞. 静岡新聞社 (2023年2月10日). 2023年4月2日閲覧。
- ^ “【運行情報】井川線:2023/2/4 初列車より平常どおり”. 大井川鐵道 (2023年1月11日). 2023年4月2日閲覧。
- ^ “大井川鐵道運行情報【公式】 on X: "【井川線:運転見合わせ】 落雷による信号トラブルのため、全線で運転を見合わせております。 ご利用のみなさまにはご不便とご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。" / Twitter”. 2024年4月23日閲覧。
- ^ “大井川鐵道運行情報【公式】 on X: "落雷による信号トラブルのため全線運転を見合わせておりましたが、千頭駅⇔接岨峡温泉駅間での運転を再開しました。 なお鉄道施設点検のため、接岨峡温泉駅〜井川駅は引き続き運転を見合わせております。 ご利用の皆様にはご不便とご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。" / Twitter”. 2024年4月23日閲覧。
- ^ 『静岡県統計年鑑2020(令和2年)』(6)鉄道運輸状況 駅別運輸状況 (PDF)
- ^ “トーマスの新しいなかま!『きかんしゃトビー号』 8/19にデビュー!!”. 大井川鐡道. 2023年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月2日閲覧。
- ^ “時刻表|大井川鐵道【公式】”. 大井川鐡道. 2023年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月1日閲覧。
- ^ “きかんしゃトビー号に乗車したい! - DAY OUT WITH THOMAS™ 2023”. 大井川鐡道. 2023年10月1日閲覧。
- ^ “DAY OUT WITH THOMAS™ 2023 きかんしゃトビー号について”. 大井川鐡道. 2023年10月1日閲覧。
固有名詞の分類
- 大井川鐵道井川線のページへのリンク