声調
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声調言語と歌曲
中国語(普通話)の歌は、メロディーに歌詞をつける際に声調はあまり重視されない。これに対して、中国南部の方言である広東語(例えば香港の歌謡曲)、閩南語やベトナム語など、調類が比較的多い言葉では、調値の高低に合わせて作曲されるか、作曲された音階に合わせて歌詞をつける際に、調値が近い語が選ばれる。声調とメロディーの高低が合っていないと、別の意味に理解される可能性もあるので、作詞者・作曲者は声調に対して十分な知識を持っていなければならない[16]。従って、外国曲の広東語カバーを作成する時には歌詞に合わせるために、オリジナル曲のうちある特定の音符の高さを変えることもある[17]。
また、普通話と広東語では、調類が同じでも調値やパターンは異なるので、普通話の歌詞を広東語読みにしてもメロディーには合わないのが普通である。従って、同じメロディーの曲でも歌詞が普通話と広東語の2つのバージョンがあるのは普通である。
脚注
参考文献
- Enfield, N. J. (2018), Mainland Southeast Asian Languages: A Concise Typological Introduction, Cambridge University Press, doi:10.1017/9781139019552, ISBN 9781139019552
- Maddieson, Ian (2013). “Tone”. In Matthew S. Dryer & Martin Haspelmath. WALS Online (v2020.3) 2024年2月3日閲覧。
- Yip, Moira (2002). Tone. Cambridge: Cambridge University Press
- Sagart, Laurent (1999), “The origin of Chinese tones”, Proceedings of the Symposium/Cross-Linguistic Studies of Tonal Phenomena/Tonogenesis, Typology and Related Topics: 91-104 .
- 湯川恭敏『言語学』ひつじ書房、1999年。ISBN 4-89476-113-0
- Zhang, Lian (1987), The Consonant System of Middle-Old Tibetan and the Tonogenesis of Tibetan .
外部リンク
注釈
- ^ a b 湯川(1999:49)
- ^ a b Yip (2002:4)
- ^ 安部清哉、 加藤大鶴、 吉田雅子 著、沖森 卓也、木村 一 編『日本語の音』朝倉書店、2017年、68–75頁。ISBN 978-4-254-51615-9。OCLC 983777661。
- ^ 早田 輝洋『音調のタイポロジー』大修館書店、1999年2月。ISBN 4-469-21228-8。OCLC 44583763。
- ^ プラム, ジェフリー・K、ラデュサー, ウィリアム・A 著、土田滋; 福井玲; 中川裕 訳『世界音声記号辞典』三省堂、2003年、229-230頁。ISBN 4385107564。
- ^ a b Handbook of the International Phonetic Association. Cambridge University Press. (1999). ISBN 0521652367 (chapter 2.7 Suprasegmentals)
- ^ Unicode Consortium, ed (2019). The Unicode Standard Version 12.0 - Core Specification. Unicode Consortium. pp. 325-326. ISBN 9781936213221
- ^ Michaud, Alexis (2020年8月27日). “Tonogenesis” (英語). Oxford Research Encyclopedia of Linguistics. doi:10.1093/acrefore/9780199384655.013.748. 2021年7月4日閲覧。
- ^ Haudricourt, André-Georges (1954). “De l’origine des tons en vietnamien”. Journal Asiatique (242): 69–82.
- ^ Zhang 1987.
- ^ Sagart 1999.
- ^ a b c Maddieson 2013.
- ^ Enfield 2018, p. 10.
- ^ Enfield 2018, p. 72.
- ^ Dryer, Matthew S. (2013) "Feature 51A: Position of Case Affixes". In: Dryer, Matthew S.; Haspelmath, Martin, eds. The World Atlas of Language Structures Online. Leipzig: Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology 2019年7月5日閲覧。
- ^ 粵語流行曲拗音問題初探
- ^ J-POP 広東語カバー曲における声調の楽音への影響
出典
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