北大東島 独自の生態系

北大東島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/22 09:50 UTC 版)

独自の生態系

他では見ることができない固有種などが多く分布・生息しているが、環境省レッドリストに登録されているものもいくつかある。

島の外周部で防風林を形成している森林は長幕(ナガハグ)と呼ばれ、「長幕崖壁および崖錐の特殊植物群落」として国の天然記念物[8][9]にもなっている。植生は、風衝地にはダイトウワダン-ガジュマル群集などが、脚部には自然林であるビロウ-ダイトウセイシボク群集である、これらの林には、南北大東島の固有変種であるダイトウワダン(絶滅危惧IA類)[10][11]やダイトウセイシボク(絶滅危惧II類)[10][12]、他に母島小笠原諸島)及び海南島中華人民共和国)にしか分布しないヒメタニワタリ(絶滅危惧IA類)[10][13]がある。

また、長幕以外の場所にはナガバアサガオ(絶滅危惧IA類)[10][14]が分布するが、隣の南大東島には類似した環境があるにもかかわらず分布せず、北大東島の固有種とされる。

一方で、南大東島では幕防風林にて比較的よく見られるダイトウビロウは、北大東島では決して多いとはいえず、島の中央部にて比較的まとまって生えている場所は、村指定の天然記念物となっている。この天然記念物の林と長幕を除けば、北大東島でみられる林は、他の低平な島々でよく見られるギンネム(外来種)やシマグワを主とした林相である。

動物では、ダイトウヒメハルゼミが環境省レッドリスト(絶滅危惧II類)[10]や沖縄県レッドデータブック(絶滅危惧I類)[15]に記載されている。南北大東島とも危機的状況にあるが、とりわけ北大東島産の状況は「風前の灯火」といわれる。この原因として、農薬散布により生息地が局限されたうえに、主生息地における開発行為(道路建設など)が甚だしくなされたことが挙げられている。


  1. ^ a b c d e 【沖縄はいま―復帰50年―】絶海の島 襲う「恐怖」中国警戒 自衛隊誘致へ/「攻撃目標になる」懸念示す住民も毎日新聞』朝刊2022年5月2日1面(2022年6月26日閲覧)
  2. ^ 第1 指定離島・島しょ・人口”. 沖縄県. p. 3. 2023年1月18日閲覧。
  3. ^ a b c d 山口晴幸「自然科学紀行古水史跡編(10)」『水利科学』302号 pp.85-100(2021年2月17日閲覧)
  4. ^ 平成26年全国都道府県市区町村別面積調 島面積” (PDF). 国土地理院. p. 108 (2014年10月1日). 2015年3月16日閲覧。
  5. ^ 北大東島のデータ[リンク切れ]沖縄県企画部地域・離島課
  6. ^ 沖縄県市町村別最高点一覧[リンク切れ]沖縄県
  7. ^ 北大東 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2023年10月22日閲覧。
  8. ^ 国指定文化財等データベース文化庁
  9. ^ 新納義馬「長幕崖壁および崖錐の特殊植物群落」『日本の天然記念物』(加藤陸奥雄沼田眞・渡部景隆・畑正憲監修、講談社、1995年3月20日、ISBN 4-06-180589-4)146頁
  10. ^ a b c d e 哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて[リンク切れ]環境省報道発表(12007年8月3日)
  11. ^ 横田昌嗣・宮城康一・松村俊一「ダイトウワダン」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 菌類編・植物編-レッドデータおきなわ-』(沖縄県文化環境部自然保護課編、2006年)176頁
  12. ^ 横田昌嗣・伊波善勇「ダイトウセイシボク」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 菌類編・植物編-レッドデータおきなわ-』(沖縄県文化環境部自然保護課編、2006年)104頁
  13. ^ 横田昌嗣・比嘉清文「ヒメタニワタリ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 菌類編・植物編-レッドデータおきなわ-』(沖縄県文化環境部自然保護課編、2006年)336-337頁
  14. ^ 横田昌嗣・新城和治・松村俊一「ナガバアサガオ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 菌類編・植物編-レッドデータおきなわ-』(沖縄県文化環境部自然保護課編、2006年)336-337頁
  15. ^ 金城政勝・林正美「ダイトウヒメハルゼミ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 菌類編・植物編-レッドデータおきなわ-』(沖縄県文化環境部自然保護課編、2006年)228-229頁
  16. ^ “みんなで創った1世紀/北大東で開拓100周年式典”. 琉球新報. (2000年9月25日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-113029-storytopic-86.html 2013年10月23日閲覧。 
  17. ^ 大東海運(2022年6月26日閲覧)


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