公海の世界遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/19 22:04 UTC 版)
その他の公海
国際科学会議(ICSU)の海洋研究科学委員会(SCOR)が9°ノースを候補地に推しているほか、前述の熱水噴出孔に対しての冷水湧出帯の生物群集や、民間の海洋調査団体CEDAM Internationalが「世界七大水中景観」の一つにエクアドル沖の熱水噴出孔を選ぶなど、深海を含む公海への関心が高まっている。
公海を通過する可能性
現在、アイルランドが19世紀に敷設された大西洋横断電信ケーブルを暫定リストに掲載させるべく準備している[12]。 現状ではバレンシア島にある陸上の施設や記念碑以外に、カナダのニューファンドランド島側との共同推薦を目指し調整中だが[13]、海底ケーブルそのものを構成資産とした場合、大西洋の海底という公海を通過することになる。
課題
- そもそも世界遺産はユネスコに加盟し世界遺産条約を締結している国家が(条約第31条「この条約はユネスコの加盟国により、それぞれの自国の憲法上の手続きに従って批准または受諾されなければならない」)、自国内で管理可能な(完全性がある)遺産候補を推薦することが前提であるが[14]、公海の遺産候補を誰が推薦するのか?世界遺産条約を改定する必要にも迫られる。2023年3月4日(現地時間)にニューヨークの国連本部で開催された国連海洋法条約政府間会合において、公海に生物保護区を設定する「BBNJ」(国家管轄権外区域海洋の生物多様性協定)を制定することが合意[15]。その後、80ヶ国が批准したことにより、効力が発生し法的保護が得られるようになったことをうけ、ユネスコは公海の世界遺産に関する研究を本格始動することとした[16]。
- 世界遺産委員会での本審査前に、諮問機関による現地調査が行われるが、深海など調査員が簡単にはたどり着けない場所への視察方法とその費用負担先の問題。
- ^ a b World Heritage in the High Seas: An Idea Whose Time has Come UNESCO
- ^ 海の総面積約3億6100万㎢の10%はユーラシア大陸全体より広い
- ^ 第5回世界自然保護会議報告「さまざまな角度から海の保全が議論される」 日本自然保護協会
- ^ World nearing 3% of ocean protection IUCN
- ^ World Heritage Marine Programme UNESCO
- ^ 『生物遺伝資源のゆくえ-知的財産制度からみた生物多様性条約』森岡 一(三和書籍)
- ^ Indian Ocean's Atlantis Bank Yields Deep-Earth Insight ウッズホール海洋研究所(英語版)
- ^ 南極の海洋生物資源の保存に関する委員会 - 外務省
- ^ 南極保全 - 国際環境NGO FoE Japan
- ^ 南極のロス海、世界最大の海洋保護区に - BBC 2016年10月28日
- ^ Gaining World Heritage Recognition for Antarctica - BOB BROWN FOUNDATION(ボブ・ブラウン)
- ^ How to make a world heritage site Raidió Teilifís Éireann 2018年6月25日
- ^ Valentia Island potential UNESCO World Heritage site thanks to role in world’s first transatlantic cable Irish Examiner 2020年4月22日
- ^ 世界遺産条約32条「この条約はユネスコの非加盟国で同機関の総会が招請するすべての国による加盟のために開放しておく」という項目を適用し、バチカン市国が唯一ユネスコ未加盟ながら条約を締約
- ^ 公海の生物多様性守る新条約、内容まとまる…保護区など設定可能に 読売新聞 2023年3月6日
- ^ With the “High Seas Treaty” on biodiversity signed, what do we need to do next? UNESCO 2023年10月27日
- 1 公海の世界遺産とは
- 2 公海の世界遺産の概要
- 3 その他の公海
- 4 関連項目
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