今昔物語集 影響・評価

今昔物語集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 16:32 UTC 版)

影響・評価

『今昔物語集』に想を採った近代小説家は多い。中でも大正時代の芥川龍之介による『羅生門』と『』は有名である。

週刊朝日』に1978年から長期連載された「デキゴトロジー」は、「現代の『今昔物語』」を標榜していた[8]

河合隼雄によると、『今昔物語集』の内容は「」と読みかえたいほどで、ひとつひとつの物語が近代を超える知恵を含んでおり、その理由としては、当時の日本人意識が外界と内界、を区別しないまま、それによって把握された現実を忠実に書き止めている点にあるとしている。ポストモダンの問題意識は、それがデカルト的(心身二元論的)切断をいかに超越するかにあり、その点で『今昔物語』は真に有効な素材を提供するとしている[9]

現代の注釈書・テキスト

日本古典文学全集

小学館より、1971年から1976年にかけて刊行。巻11から31にかけての本朝仏法部、本朝世俗部をおさめる。

『今昔物語集 1』 巻11~14
巻11・13・14は実践女子大学蔵本(黒川家旧蔵)、巻12は鈴鹿本が底本。
『今昔物語集 2』 巻15~19(巻18欠)
巻15・16・19は実践女子大本、巻17は鈴鹿本が底本。
『今昔物語集 3』 巻20~26(巻21欠)
巻20・22・24は実践女子大本、巻23・25・26は東京大学国語研究室蔵本(紅梅文庫旧蔵)が底本。
『今昔物語集 4』 巻27~31
巻27・29は鈴鹿本、巻28・30・31は東大本が底本。

新日本古典文学大系

岩波書店、1993年から1999年にかけ刊行。2001年に索引が刊行。

  • 岩波文庫で抄版『今昔物語集』がある(池上洵一編、天竺・震旦部/本朝部(上中下)、2001年)
『今昔物語集 1』岩波書店。ISBN 4-00-240033-6 C0391。  巻1~5
巻1・3・4は東大本、巻2・5は鈴鹿本が底本。
『今昔物語集 2』岩波書店。ISBN 4-00-240034-4 C0391。  巻6~10(巻8欠)
巻7・9・10は鈴鹿本、巻6は東大本が底本。
『今昔物語集 3』岩波書店。ISBN 4-00-240035-2 C0391。  巻11~16
巻11・13・14・15・16は東大本、巻12は鈴鹿本が底本。
『今昔物語集 4』岩波書店。ISBN 4-00-240036-0 C0391。  巻17~25(巻18・21欠)
巻17は鈴鹿本、巻19・22・25は東大本、巻20は実践女子大本、巻23は静嘉堂文庫本、巻24はカリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館本(旧三井文庫本)が底本。
『今昔物語集 5』岩波書店。ISBN 4-00-240037-9 C0391。  巻26~31
巻26は東大本、巻27・29は鈴鹿本、巻28・30・31が蓬左文庫蔵本が底本。

新編日本古典文学全集

小学館より、1999年から2002年にかけて刊行。巻11から31にかけての本朝仏法部、本朝世俗部をおさめる。

『今昔物語集 1』 巻11~14
底本は日本古典文学全集と同じ。
『今昔物語集 2』 巻15~19(巻18欠)
底本は日本古典文学全集と同じ。
『今昔物語集 3』 巻20~26(巻21欠)
巻20・22・24・25・26は実践女子大本、巻23は東大本が底本。
『今昔物語集 4』 巻27~31
底本は日本古典文学全集と同じ。

その他 現代語訳

脚注


注釈

  1. ^ ただし後者については説話名のみ残されており、本文は伝わっていない。
  2. ^ 散逸している。
  3. ^ ただし、ひらがなではなくカタカナである。

出典

  1. ^ 大乗院経覚の日記『経覚私要鈔』宝徳元(1449年)年七月四日の条「四日、霽、夕立、今昔物語七帖返遣貞兼僧正畢、…」
  2. ^ 『修験の道 三国伝記の世界』、pp.8-21 では成立年台は1130年-1150年と推定している。
  3. ^ 小田寛貴、中村俊夫、古川路明「『今昔物語集』「鈴鹿本」の加速器質量分析法による14C年代測定」『名古屋大学加速器質量分析計業績報告書』6、pp. 99-117、1995年3月
  4. ^ 『修験の道 三国伝記の世界』第一編「今昔物語」の世界、池上洵一、1999年、以文社、pp.8-21
  5. ^ 今昔物語集 文化遺産オンライン
  6. ^ 小田寛貴、中村俊夫、古川路明「『今昔物語集』「鈴鹿本」の加速器質量分析法による14C年代測定」『名古屋大学加速器質量分析計業績報告書』6、pp. 102-103、1995年3月
  7. ^ 『修験の道 三国伝記の世界』、pp.12-13
  8. ^ 『週刊朝日』2023年4月14日号、162-165頁。
  9. ^ 河合隼雄『対話する生と死』(潮出版社、1992年/新版・だいわ文庫、2006年2月)


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