ラオス 概要

ラオス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 03:37 UTC 版)

概要

1353年ラオ人最初の統一国家であるランサン王国が成立[5]18世紀初めに3王国に分裂[6]1770年代末に3王国はタイに支配されたが[6]1893年フランスがタイにラオスへの宗主権を放棄させて植民地にし、1899年フランス領インドシナに編入された[6][7]。この時に現在の領域がほぼ定まった[5]第二次世界大戦中の日本軍の進駐や第一次インドシナ戦争などを経てインドシナ半島におけるフランス植民地体制が崩壊過程に入る中で1949年フランス連合内でラオス王国として独立、ついで1953年に完全独立した[7]。その後パテト・ラオなどの左派と王政を支持する右派、中立派に分かれて内戦が発生したが、ベトナム戦争後に右派が没落し、1975年に王政は廃され、社会主義体制のラオス人民民主共和国が成立した[6]

その政治体制はラオス人民革命党(パテト・ラオの政党[6])による一党独裁体制である[4]エコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は、世界155位と後順位で「独裁政治体制」に分類されている(2019年度)[8]。また国境なき記者団による世界報道自由度ランキングも172位と後順位であり、最も深刻な国の一つに分類されている(2020年度)[9]

人権状況についてヒューマン・ライツ・ウォッチは、人民の基本的自由が著しく制約されていること、労働権が不在であること、薬物使用の疑いがある個人を起訴しないまま人権侵害が横行する薬物常用者拘留センターに拘禁していること、活動家を強制失踪させていることなどを問題視している[10]

経済面では1975年以降社会主義計画経済のもとにあったが、ソ連ペレストロイカベトナムドイモイの影響を受けて1986年から「新思考」(チンタナカーン・マイ)政策と呼ぶ国営企業の独立採算制、民営企業の復活など市場経済化への経済改革を行っている[6][7]。しかし経済状態は厳しく、国連が定める世界最貧国の一つである[11]。また近年は中華人民共和国が主導する経済圏「一帯一路」に強く依存した結果、その債務返済に苦しめられ、重要インフラの権利を中国に明け渡すという「債務のワナ」に陥りつつある[12][13]

外交面では王政時代の1955年国連に加盟し、1997年東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟[7]。1975年に社会主義体制になって以降ベトナムとの外交を軸にしてきたが[6]、近年は中華人民共和国への依存度を高めた結果、同国の強い影響下に置かれている。

軍事面では徴兵制が敷かれており、ラオス人民軍の兵力は2.9万人(2020年)ほどであり、軍事費は2400万ドル(2016年)ほどである[14]。正規軍の他にも地方防衛用の民兵である自衛隊が10万人いるといわれる[7]

人口は2018年のラオス計画投資省の発表によれば701万人[3]。住民はタイ諸族の一つであるラオ人が半数以上を占め、最も多いが、他にも少数民族が多数暮らしており[15]ベトナム人中国人なども住んでいる[5]

地理としてはASEAN加盟10カ国中唯一の内陸国で、面積は日本の約63%に相当し、国土の約70%は高原や山岳地帯である[16]。その間をメコン川とその支流が流れている[5]。国土は南北に細長く、北は中国、東はベトナム、南はカンボジア、南西はタイ、北西はミャンマーと国境を接する。


注釈

  1. ^ 二次林とは、原生林が伐採によって荒廃し、災害によって被災した後、自然に再生、人為的に植林などされた森林をいう。

出典

  1. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年10月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e World Economic Outlook Database” (英語). IMF. 2021年10月13日閲覧。
  3. ^ a b 外務省 ラオス人民民主共和国(Lao People's Democratic Republic)基礎データ
  4. ^ a b 朝日新聞 ラオス人民革命党、トンルン首相を新書記長に選出
  5. ^ a b c d 百科事典マイペディア. “ラオス” (日本語). コトバンク. 2021年1月28日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 旺文社世界史事典 三訂版. “ラオス” (日本語). コトバンク. 2021年1月28日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g 日本大百科全書(ニッポニカ). “ラオス” (日本語). コトバンク. 2021年1月28日閲覧。
  8. ^ EIU Democracy Index - World Democracy Report
  9. ^ 国境なき記者団公式ホームページ
  10. ^ ラオス:人権状況 改善なし 強制失踪や基本的自由の組織的抑圧を 速やかに停止すべき”. ヒューマン・ライツ・ウォッチ. 2021年1月23日閲覧。
  11. ^ 日本経済新聞 米スターバックス、ラオス進出 2021年夏にも1号店
  12. ^ 日本経済新聞 ラオスに迫る「債務のワナ」、初の高速鉄道も中国頼み
  13. ^ 産経新聞 ラオス、重い対外債務 中国と減免交渉、「債務のわな」懸念
  14. ^ 外務省 ラオス人民民主共和国(Lao People's Democratic Republic)基礎データ
  15. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. “ラオス” (日本語). コトバンク. 2021年1月28日閲覧。
  16. ^ ラオス情報文化観光省 ラオスについて
  17. ^ 新村出編、『広辞苑』第4版(岩波書店、1991年)
  18. ^ 新村出編、『広辞苑』第6版(岩波書店、2008年)
  19. ^ 中華民國國立編譯館編、『外國地名譯名』、台灣商務印書館、1997年、台北、ISBN:9570511850
  20. ^ a b c d e ラオス(概要)歴史”. 国際機関日本アセアンセンター. 2020年8月9日閲覧。
  21. ^ ナショナルジオグラフィックス世界の国 ラオス(ほるぷ出版 2010年6月25日)
  22. ^ 衆議院会議録情報 第085回国会 内閣委員会 第1号
  23. ^ アセアンとしての地域協定JETRO 「ラオス WTO・他協定加盟状況」2020年02月02日閲覧 尚、同日ミャンマーも加盟
  24. ^ ラオス人民民主共和国憲法(日本語訳)(PDF 法務省 ICD NEWS 第13号)
  25. ^ 【金言】ラオスで民法成立西川恵)『毎日新聞』朝刊2018年12月14日(3面)2019年2月1日閲覧。
  26. ^ International Institute for Strategic Studies(IISS),The Military Balance 2008
  27. ^ 国土面積に占める森林面積の割合「森林率」は69%(2005年の時点)、ブータン68%、マレーシア64%、カンボジア59%。
  28. ^ a b c 竹田晋也、「森の国ラオス」『ラオスを知るための60章』、pp31-34、2010年、東京、明石書店
  29. ^ 阿部健一、「母なる川、メコン」『ラオスを知るための60章』、40-41ページ、2010年、東京、明石書店
  30. ^ 阿部健一、「母なる河、メコン」『ラオスを知るための60章』、42ページ、2010年、東京、明石書店
  31. ^ 阿部健一、「母なる河、メコン」『ラオスを知るための60章』、40-43ページ、2010年、東京、明石書店
  32. ^ dtacラオス観光情報局「旅の準備-旅のシーズン、服装」2020年2月2日閲覧
  33. ^ 外務省 後発開発途上国
  34. ^ アジア開発銀行 Poverty in Asia and the Pacific: An Update Archived 2015年3月18日, at the Wayback Machine.
  35. ^ パクセー・ジャパン日系中小企業専用経済特区(2018年3月14日閲覧)
  36. ^ 「レンタル工場に日系2社/ラオス工業団地 西松建設、中小進出を促す」『日刊工業新聞』2018年2月6日(建設・エネルギー・生活面)
  37. ^ NHK BS1 2009年11月10日放送 『きょうの世界』より
  38. ^ a b c d 河野泰之、「人はどこに住む?」『ラオスを知るための60章』、14-15ページ、2010年、東京、明石書店
  39. ^ ラオス統計局 アーカイブされたコピー”. 2010年12月10日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年12月10日閲覧。 アーカイブされたコピー”. 2010年12月10日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年12月10日閲覧。
  40. ^ 椎名誠の『メコン・黄金水道をゆく』(P60-)
  41. ^ “発電大国ラオス、国内電力は「輸入頼み」外資主導で「二重構造」送電網整備がカギに”. 朝日新聞GLOBE. (2017年4月23日). http://globe.asahi.com/feature/side/2017042300001.html 
  42. ^ ASEAN共同体 300兆円市場、統合進む…31日発足『毎日新聞』朝刊2015年12月28日
  43. ^ ラオスフェスティバル 公式サイト
  44. ^ ラオスの人口・雇用・失業率の推移 世界の経済ネタ帳
  45. ^ a b ラオス国家統計センター、2006年
  46. ^ 竹田晋也、「森の国ラオス」『ラオスを知るための60章』、pp31、2010年、東京、明石書店
  47. ^ a b 安井清子、「居住地の高度による民族分類」『ラオスを知るための60章』、21-22ページ、2010年、東京、明石書店
  48. ^ 安井清子、「居住地の高度による民族分類」『ラオスを知るための60章』、22ページ、2010年、東京、明石書店
  49. ^ 富田晋介、「村の成り立ち」『ラオスを知るための60章』、52-53ページ、2010年、東京、明石書店
  50. ^ 地球の歩き方 ラオスの現地情報
  51. ^ タイ(Tai)系言語にラオス語、黒タイ語、タイヌア語、ルー語、ブータイ語、セーク語などがある。
  52. ^ 「諸外国の行政制度等に関する調査研究」No.14「ラオスの行政」(平成18年9月、総務省大臣官房企画課)pp.4-5
  53. ^ Lao Culture, Cultural Atlas.
  54. ^ グローバルニュースアジア 2017年11月15日 - ラオス少女の人身売買が急増ー裕福な中国人との結婚と騙され 配信日時:2017年2月20日 9時00分






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