ミューチュアル・ファンド 規制

ミューチュアル・ファンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/15 01:02 UTC 版)

規制

多岐にわたるから特筆すべき点を紹介する。なお、必ずしも前節の脱法に対応しない。

ミューチュアル・ファンドは買戻可能証券の償還に随時応じるため、直接金融を普通株にかぎる。社債・優先株などは発行できない。また、既に発行した株式の価値を維持しなければならないので、取引の対価に株式を発行することができない。ただし、授権資本制度によるときは許される。銀行からの借入れは、責任財産asset coverage が少なくとも借入れ額の3倍必要である[19]

ミューチュアル・ファンドは証券取引委員会に年次報告書を提出するとともに、委員会の要求があれば半年または4半期ごとにアップデートしたレポートも出さなければならない。さらに少なくとも半年ごとに最新の貸借対照表損益計算書財務諸表、取締役・顧問・役員に支払った報酬の総額、国債等を除いた証券の売買総額を株主に送付する義務がある。そして株主にレポートを送ったときは10日以内に委員会へ写しを出さなくてはならない[20]EDGAR も参照。

1993年10月、ケイマン諸島でミューチュアル・ファンド法が施行された。ケイマンに存在する約514の公認銀行の資産総額は1992年12月31日時点でおよそ4110億ドルにも達する。ケイマン金融界の代表者とケイマン政府との間には切っても切れない関係がある。政府は金融界のニーズに即応する。ケイマンには税制や外為管理法がない。投資会社の設立に官庁の事前許可はいらない。ミューチュアル・ファンドには都合よく、株主総会不要の会社形態がある。西欧で募集されたケイマンのミューチュアル・ファンドはイギリスに業務上の本拠をもたないかぎり金融を専門とする個人に対して広告・販売・営業できる。米国で募集するのは難しい。1940年投資会社法は国外企業に対する投資を99人に制限している。93年の法案ではミューチュアル・ファンドについて、1986年イギリス金融サービス法や1940年投資会社法よりも簡明な定義を導入することになった。もっとも、大企業が主催するクローズドエンド会計のファンドは上記法律で定めるのと同じく例外的な扱いに据え置くとした。また、運転免許のように、優良なファンドには簡便に営業資格を与えることとした[21]

参考文献には93年立法の詳細が記されているけれども、タイムリーでないから明記は差し控える。

1996年全米証券市場改善法が制定されて、規制の重複する部分などは各州の青空法に優先する扱いとなった。


注釈

  1. ^ redeemable securities 1種 または俗にmutual fund share これ自体をミューチュアルファンドと表現することもある。会社型・契約型それぞれにいう株式・受益証券。
  2. ^ MMF は、財務省証券、コマーシャル・ペーパー譲渡性預金などの低リスクな短期金融商品に投資する。この中でCP が1991年にMMF 総資産の4割を占めた。
  3. ^ 1974年のエリサ法が導入
  4. ^ アルドレッド投信は、1941年10月にボストンのゴードン・ハンロン(Gordon B. Hanlon)というブローカーが支配権を握った。

出典

  1. ^ Hazenberg, Jan Jaap (2020-06-08). “A New Framework for Analyzing Market Share Dynamics among Fund Families”. Financial Analysts Journal 76 (3): 110–133. doi:10.1080/0015198X.2020.1744211. ISSN 0015-198X. 
  2. ^ その株式をふくむ概念。三木 概説(一)
  3. ^ a b 金融経済用語集
  4. ^ a b c d e 野村 2003
  5. ^ YahooFinance Microsoft Corporation NasdaqGS
  6. ^ YahooFinance JPMorgan Chase & Co. NYSE
  7. ^ 1940年投資会社法第2条(a)(31)
  8. ^ 三木 概説(六)
  9. ^ “Five UK Mutual Funds Partner on Blockchain Trading Project”. CoinDesk. (2016年2月8日). http://www.coindesk.com/five-uk-mutual-funds-partner-blockchain/ 
  10. ^ “Lipper Analytical Agrees to Sell Fund-Data Firm to Reuters Group”. ウォールストリート・ジャーナル. (1998年7月24日). http://www.wsj.com/articles/SB901201452112704500 
  11. ^ 三木 概説(一)
  12. ^ 概説(二)
  13. ^ a b 池島正興「戦後アメリカの国債管理と国債」『経済研究所年報』第27巻、成城大学、2014年4月、129-161頁、ISSN 0916-1023CRID 1050282677558838144  この部分だけ段末に付したものと出典を異にする。
  14. ^ 永田(上).
  15. ^ 永田(下).
  16. ^ 日本証券経済研究所 金融危機発生後の世界の投資信託の動向 2009年6月16日
  17. ^ a b 三谷進 『アメリカ投資信託の形成と展開』 日本評論社 2001年 第8章, ISBN 453555207X.
  18. ^ Mira Wilkins, Harm G. Schröter, The Free-standing Company in the World Economy, 1830-1996, Oxford University Press, 1998, p.379
  19. ^ 1940年投資会社法第18条(f)
  20. ^ 1940年投資会社法第30条
  21. ^ アンソニー
  22. ^ a b c 佐賀 2005
  23. ^ 古谷栄男 ビジネスモデル特許の事例 1999.12
  24. ^ a b 代田 2001






ミューチュアル・ファンドと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ミューチュアル・ファンド」の関連用語

ミューチュアル・ファンドのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ミューチュアル・ファンドのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのミューチュアル・ファンド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS