ヘブライ文字 朗読用記号など

ヘブライ文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 10:09 UTC 版)

朗読用記号など

赤がニクード、青がタアメー・ハミクラー(右からムナッハ、レビア、カドマ、ゲレシュ)

聖書には、ニクードとは別に朗読を補助するための記号であるタアメー・ハミクラー(טעמי המקרא)が付されている。タアメー・ハミクラーは数十種類のものがあるが、以下の3つの働きがある。

  1. 朗読する時の節回しを示す。一種の音符だが、現代ではほとんど無視される。
  2. 多くの記号はアクセントのある位置に書かれるため、アクセントの位置を示す。
  3. いくつかの記号は息の切れ目があることを示す(分離符)。または逆に続けて読むことを示す(結合符)。

ほかにメテグという縦棒が文字の下につけられることがあり、副アクセントを示す。

数字と記号

現代ヘブライ語ではアラビア数字を使用する(左から右へ書かれる)。いくつかの特定の用途では、ヘブライ文字に数価を割り当てて用いる(ヘブライ数字)。

句読点は現代ヘブライ語では西洋と同様のものを使用する。聖書ではソフ・パスークという節の終わりを表すコロンに似た形の記号があり(׃)、またスィルーク、エトナハ、ザケフなどの分離符が句切りの最後の単語の上下に使用される。

2つの語が緊密な関係にあることを表すために、マカフというハイフンに似た記号(־)で語どうしを結ぶことがある。

西洋のアポストロフィに似た機能を果たす省略記号は2種類ある。ゲレシュ(׳)は語の末尾に置かれて、そこから後ろが省略されていることを示す(例:「ישמאל」(イシュマエル)を「יש׳」と略す)。ゲレシュを重ねた形をしたゲルシャイム(״)は、単語の最後の字の前に置かれて、その語が略語であることを示す(例:תנ״ך タナハ)。ゲレシュはまた上記のように外来語の子音の表記にも使われるし、ヘブライ数字を通常の単語と区別するためにも用いられる。

翻字

ヘブライ文字をラテン文字翻字する方法には複数のものがある。学術的にはティベリア式発音に対応する翻字が使われることが多い。一方ティベリア式発音と大きく異なる現代ヘブライ語のための翻字については1950年代にヘブライ語アカデミーによる翻字方式が定められ、地理学的名称に関する国連専門家グループ(UNGEGN)はこの方式を1977年に採用した。アカデミーの翻字方式はその後2006年に改正され、2007年にUNGEGNにも採用された[26]。旧方式と新方式の違いは以下の通りである[27]

  • ו(子音として使われる場合)は「w」と書いていたのを「v」に改める。
  • קは「q」と書いていたのを「k」に改める。
  • צは「」と書いていたのを「ts」に改める。
  • אעはともに「'」と表記していたが、旧方式ではעを常に表記していたのに対し、新方式では語頭・語末では省略される。
  • シェバー・ナアは実際に発音される場合にのみ書くように改める。

  1. ^ Hackett (2004) p.367
  2. ^ Naveh (1987) p.53
  3. ^ a b Goerwitz (1996) p.487
  4. ^ a b Daniels (1997) p.20
  5. ^ Goerwitz (1996) p.489
  6. ^ Naveh (1987) p.173
  7. ^ Hary (1996) p.728
  8. ^ Aronson (1996) p.735,737
  9. ^ Aronson (1996) pp.735-737
  10. ^ a b Aronson (1996) p.739
  11. ^ Aronson (1996) p.738
  12. ^ Goerwitz (1996) p.487
  13. ^ Steiner (1997) p.148
  14. ^ Ora (Rodrigue) Schwarzwald (1998). “Word Foreigness in Modern Hebrew”. Hebrew Studies 39: 115-142. JSTOR 27909619. (pp.119-120)
  15. ^ 文字名称のローマ字、ティベリア式発音、現代標準発音は Goerwitz (1996) p.490 による
  16. ^ a b c d e f g キリスト聖書塾『ヘブライ語入門』(第2版第4刷)キリスト聖書塾、1991年(原著1985年)、4頁。ISBN 4896061055 
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m アレフベートは22文字だけ ミルトス
  18. ^ a b c d e f g h i j k 青木偉作『はじめての聖書ヘブライ語』国際語学社、2010年、13頁。
  19. ^ a b Daniels (1997) p.32
  20. ^ Can Abecedaries Be Used to Date the Book of Psalms?, Bible History Daily, (2018-01-13), https://www.biblicalarchaeology.org/daily/biblical-artifacts/inscriptions/can-abecedaries-be-used-to-date-the-book-of-psalms/ 
  21. ^ Gesenius' Hebrew Grammar, translated by A. E. Cowley (1910) p.29注2
  22. ^ Steiner (1997) p.147
  23. ^ Gesenius' Hebrew Grammar, translated by A. E. Cowley (1910) p.57
  24. ^ Aronson (1996) p.739
  25. ^ Goerwitz (1996) p.491
  26. ^ Hebrew, compiled by UNGEGN Working Group on Romanization Systems, (2013), https://www.eki.ee/wgrs/rom1_he.pdf 
  27. ^ “Changes in the Official Romanization System for Hebrew”, Ninth United Nations Conference on the Standardization of Geographical Names, (2007-06-15), https://unstats.un.org/unsd/geoinfo/ungegn/docs/9th-uncsgn-docs/econf/9th_UNCSGN_e-conf-98-4-add1.pdf 
  28. ^ כיצד לנקד בחלונות 10, השפה העברית, https://www.safa-ivrit.org/alphabet/howto_win.php  (ヘブライ語)






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