フリーター 実態に関する統計データ

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フリーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/16 17:40 UTC 版)

実態に関する統計データ

フリーター推移

15〜35歳までのフリーターの推移と割合(厚労省定義)
フリーター(万人) 当該年齢階級人口
に占めるフリーターの割合
15~24歳 25~34歳 合計 15~34歳 15~24歳 25~34歳
2002(平成14) 117 91 208 6.1 7.7 4.8
2003(平成15) 119 98 217 6.5 8.0 5.2
2004(平成16) 115 99 214 6.5 7.9 5.3
2005(平成17) 104 97 201 6.2 7.4 5.3
2006(平成18) 95 92 187 5.9 6.9 5.1
2007(平成19) 89 92 181 5.9 6.6 5.3
2008(平成20) 83 88 171 5.7 6.3 5.3
2009(平成21) 85 92 177 6.1 6.6 5.7
2010(平成22) 84 98 182 6.4 6.6 6.2
2011(平成23) 86 98 184 6.6 6.9 6.4
2012(平成24) 77 103 180 6.6 6.3 6.9
2013(平成25) 80 102 182 6.8 6.6 7.0
2014(平成26) 73 105 178 6.8 6.0 7.4
2015(平成27) 70 96 166 6.4 5.8 6.9
2016(平成28) 63 91 154 6.0 5.2 6.7
2017(平成29) 64 88 152 5.9 5.3 6.6
2018(平成30) 61 82 143 5.6 5.0 6.2
2019(平成31/令和元) 59 79 138 5.5 4.9 6.1
15〜35歳までの労働力人口とフリーターの推移(単位:万人)
年¥定義 労働力人口 内閣府定義 厚労省定義
1991(平成03) 2,109 182 62
1993(平成05) 2,171 215 79
1995(平成07) 2,213 248 94
1997(平成09) 2,271 313 119
1999(平成11) 2,272 385 143
2001(平成13) 2,275 417 159
2003(平成15) 2,200 - 217
2005(平成17) 2,137 - 201
2007(平成19) 2,036 - 181
2009(平成21) 1,931 - 177
  • 資料出所:子供・若者白書(内閣府[20]/国民生活白書(内閣府)/労働白書[21]厚労省
  • 厚労省定義の数値は2001年(平成13年)以前が1-12月の平均値であり、2002年(平成14年)以降は毎年2月の数値のため、その前後の数値は接続しない。
  • 左の表は2018年に総務省の「労働力調査(詳細集計)」において、就業状態区分を一部変更したことから、2017年以前と2018年以降のフリーターの定義は異なっている。

厚生労働省が定義するフリーターの総人口は、1991年(平成3年)のバブル期には約62万人であったが、その後急増し、2003年(平成15年)には217万人に達した。その後2008年(平成20年)の約171万人まで緩やかに減少した。しかし世界金融危機により2011年の約184万人まで緩やかに増加したが、その年を境に減少した。2019年(平成31年/令和元年)の時点では約138万人となっている。

年齢階級別推移

年齢別・推定人口(厚労省定義; 単位:万人) [22]
年\年齢 15~19歳 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳
1992(平成04) 10.5 31.0 19.7 9.1
1996(平成08) 13.7 46.1 28.1 12.4
2000(平成12) 19.5 62.4 46.2 20.1
2004(平成16) 25.5 88.5 62.4 37.2

業務内容

就業形態別業務内容(内閣府定義; 単位:%)[23]
業務内容 雇用者 うち正社員 うちパート
アルバイト
責任ある仕事を任されている 77.4 81.8 65.2
新しい仕事に取り組む機会がある 51.0 53.9 43.2
職業訓練を受ける機会がある 34.1 38.0 23.3
業務を指導する立場にある 34.2 38.1 23.6
部下がいる 21.0 24.9 10.2

フリーターは、パート・アルバイトで働いていても、正社員に比べ「責任ある仕事を任されている」「新しい仕事に取り組む機会」「職業訓練を受ける機会」の割合が低くなっている。

労働内容

リクルートワークス研究所[24]が実施した「非典型雇用労働者調査2001」によると、フリーターの労働時間および労働内容は、週20時間未満が10.5%、20-40時間が37.9%、フルタイムが43.1%、フルタイムかつ正社員並みのスキルを持っているのは8.5%という結果が示されている。

意識

2002年(平成14年)現在フリーターとなっている者(男性の9割以上、女性の7割以上)が定職に就くことを希望している。

希望する仕事の種類別構成比(2002年) [25]
性別\希望 定職に就く 現状を維持 家庭に入る 他・無回答
男性 90.9% 8.0% 0.0% 1.1%
女性 74.1% 19.8% 5.6% 0.4%
合計 78.8% 16.6% 4.1% 0.6%

職業能力の向上に向けた意識は、正社員に比べ低く、職業能力の向上はあまり期待できないとされる。一方で、これらの中では正社員並の仕事を任されている者もいるため、これらの層の職業能力をどう高めるかが、企業側の今後の課題として指摘されている[9]

高年齢化問題

いわゆる就職氷河期に大学卒業を迎えた者がそのままフリーターであり続けていることが要因で、フリーターは高年齢化が進行しているという。特に25-34歳の世代を、内閣府や厚生労働省は年長フリーターと呼んでいる。

また、35歳以上の高齢フリーターも増加しているが、統計にも含まれておらず、救済措置の対象からも外れている状況にある[26]

フリーターは一度なるとそのまま続く傾向にあり、抜け出しにくいことが、高年齢化の要因となっている。その要因としては、大半の企業が正社員の雇用として新卒一括採用を採っているために既卒者は正社員に就職する機会が少ないことと、短期のアルバイト等で培った技能や経験が職歴としてみなされず、むしろ学校を卒業してから何もしていないとみなされ、マイナス評価になることもあること、また「フリーターからの就職では長続きしない」「フリーターはトラブルを起こしやすい」といった採用側の固定観念および差別意識によって不採用になることが多いためである[8]ヤングハローワークも「フリーターは基本的に就業経験がないとみなされる状況にある。フリーターを一から教育できる体制の企業が少ないことと、年功序列の賃金体系では同世代との待遇調整が難しいことが、年長フリーターの就職を厳しくさせている」と同様の趣旨を述べている[26]

慶應義塾大学樋口美雄の調査によれば、フリーターが5年後もフリーターでいる確率は、10-20代では50%台なのに対し、30代を超えると70%になるという[26]

増加の影響

少子化、養育放棄率の増加

配偶者および子供がいる者の割合(%) (2006年中小企業白書)[27]
所得 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳
〜99万円 0.7 0.6 10.8 12.8
100〜199万円 2.3 7.9 19.1 30.0
200〜299万円 4.2 11.4 25.2 37.9
300〜499万円 7.8 18.9 37.8 51.1
500〜699万円 8.2 28.9 50.5 62.4
700万円〜 10.3 27.1 52.0 70.7

樋口は(フリーターの増加は)「結婚率の低下や出生数の減少といった社会の活力を失わせる事態にもつながる」[26]より引用)と指摘している。

山田昌弘の見解では、「ずっとフリーターの状態から抜け出せないと、一生低収入、やりがいのない仕事が続き、将来への希望が持てない状態が続くことになる。これは社会の活力が失われる」とされる[28]

中小企業庁は、

  • 正社員と非正社員とでは正社員の方が年収が多く、大きな格差があること
  • パート・アルバイトは「結婚しない理由」にお金が無いことを挙げる割合が高いこと
  • 「配偶者や子供がいる割合」は概ね所得の高い層に多く、所得が低くなるに従って未婚率が高くなる傾向があること

を示し、フリーターの増加が少子化を助長すると分析している[29]

その他にも、妊娠を隠して、パートやアルバイトをして、出産し、養育放棄するケースが問題化しており、社会的にも影響を与えている。

税収

フリーターは正社員より所得が低く納税額が少ないため、税収面で問題が生じるという指摘がある[26]。しかし、人件費が浮く分企業の利益が増え、法人税収が増えるとされる[30]


注釈

  1. ^ 特に1980年代はアイドル全盛期であり、ミュージシャン俳優に憧れる若者が多く、彼らは芸能人を目指したり、就職せずにアルバイトで生計を立てる者が多かった。
  2. ^ バブル期は新卒でさえあれば面接一回のみで大手企業に入社ができたような状況が一変し、求人募集はするが採用者を極力少数に抑える企業が増え始めた。
  3. ^ 2003年度の内閣府「若年層の意識実態調査」により、氷河期フリーターの過半数(男性は90.9%以上)が就職を希望していることが分かっている。逆に、フリーターを続けたいと希望している者は8%に過ぎなかった。「意識」の項に出典へのリンク先あり。
  4. ^ 逆に、仕事を確保するために、安値で仕事を大量に請け、従業員に過酷な薄給激務を負わせる所も多い。月に552時間の労働時間にヤクザまで使う日本の 会社にイギリス人もびっくり!-レインダンス映画祭
  5. ^ 職業訓練を受ける場合、アルバイトを含めて仕事をしていないことが条件となるため、収入が途絶えてしまう。
  6. ^ アメリカでは、応募者の年齢や生年月日について企業側が質問を許されているのは「年齢は18歳以上であるか」「正式に採用が決まった時に、応募者の身分を証明できる物を提出できるか」の2点のみである。

出典

  1. ^ 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第3回 若者のワークスタイル調査」から―」『労働政策研究報告書』第148巻、労働政策研究・研修機構、2012年。 
  2. ^ a b c 「フリーター」とは誰なのか」(PDF)『日本労働研究雑誌』第46巻第4号、労働政策研究・研修機構、2004年4月、46-49頁、NAID 40006184798 
  3. ^ a b c d 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―」『労働政策研究報告書』第199巻、労働政策研究・研修機構、2017年10月20日。 
  4. ^ 日本標準職業分類一般原則 職業の定義より
  5. ^ 『平成15年版国民生活白書』, 内閣府,2003年発行
  6. ^ OECD Labour Force Statistics 2020, OECD, (2020), doi:10.1787/23083387 
  7. ^ [1]
  8. ^ a b c 平成18年度国民生活白書
  9. ^ a b 平成15年版国民生活白書
  10. ^ 2006年12月1日付 読売新聞『フリーター選択の理由は「夢追求」…5年前に比べ増
  11. ^ 氷河期世代ユニオン
  12. ^ 仁井田典子「マス・メディアにおける「フリーター」像の変遷過程 : 朝日新聞(1988-2004)報道記事を事例として」『社会学論考』第29巻、首都大学東京・都立大学社会学研究会、2008年10月、107-146頁。 
  13. ^ ―平成16年雇用管理調査結果の概況― フリーターについて
  14. ^ 2010.4.9 じつは派遣より悲惨!“ブラック化”する外食・小売チェーンの正社員たち|格差社会の中心で友愛を叫ぶ|ダイヤモンド・オンライン
  15. ^ 35歳の平均年収 1997年:500~600万 2009年:300万 「若い頃の将来像と違う」 - newsing(ニューシング)
  16. ^ 年収200万以下、若者の4割強 兵庫県内労組調査 奈労連・一般労組支援
  17. ^ e-stat 一般職業紹介状況 2009年10月
  18. ^ 第1回 なぜいま「農業ブーム」か|農業には日本を変える力がある|WEB連載|新しい日本を創る提言誌 Voice+ ボイスプラス
  19. ^ 《農業労働現場の実情》(上) 農業ブームの陰に隠された低所得・重労働・労災多発の世界 - 日刊ベリタ 2009年08月18日11時01分掲載
  20. ^ 内閣府 (2020). 令和2年版子供・若者白書 参考資料10 巻末5-9 フリーター(パート・アルバイトとその希望者)の数 (Excel) (Report). 2021年5月11日閲覧
  21. ^ 厚生労働省・労働経済白書
  22. ^ 厚生労働省・労働白書
  23. ^ 平成15年版国民生活白書 (PDF)
  24. ^ リクルートワークス研究所
  25. ^ 2006年版 中小企業白書>第3部 少子高齢化・人口減少社会における中小企業>第3章 「子どもを産み育てやすい社会」に向けた中小企業の役割>第2節 若年者雇用の不安定化の概況
  26. ^ a b c d e 週刊東洋経済』2007年6月23日号
  27. ^ 2006年版 中小企業白書中小企業庁
  28. ^ 『新平等社会』 山田昌弘著 文藝春秋 2006年9月[要ページ番号]
  29. ^ 2006年版 中小企業白書』(中小企業庁)
  30. ^ 丸山俊『フリーター亡国論』ダイヤモンド社 2004年[要ページ番号]
  31. ^ 千葉県インターンシップ推進事業について
  32. ^ 2007年1月24日付け朝日新聞 『求人の年齢制限禁止 与党協議会で合意へ』
  33. ^ 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の改正について





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