フリーター 歴史

フリーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/16 17:40 UTC 版)

歴史

日本の失業率(男女別、年齢別)。15-24歳の細線が若年失業者にあたる[6]

バブル期フリーターの小発生

1980年代後半のバブル景気中、コンビニエンスストア飲食店等のチェーン店の発達や建設ラッシュに伴う建設業界の人手不足によって、それまではマイナーな雇用形態であったアルバイトの求人が急増し始めた。アルバイトマガジンが発行され、若者の間でアルバイトが身近なものとなった。空前の好景気が要因となり高給のアルバイト求人が急増し、就職せずとも生計を立てる事すら可能なほどだった。また、景気が良好であったため、正規就職の意志があれば比較的簡単に就職が可能な時代でもあったので、人生設計上の問題も生じなかった。こうして、各人の都合による時間帯に労働をすることができる“新しい雇用形態”として、学生のみならず一部の社会人の間でも重宝された[注釈 1]

また、1986年(昭和61年)7月1日労働者派遣法(通訳、航空機操縦士、プログラマーなど専門技術を持つ者のみ対象)が施行されると、一つの会社に所属するのではなく、不特定多数の会社と契約を締結して労働をするというフリーエージェントのような生活をする若者が発生した。

これが当初のフリーターの発生経緯であり、初めの頃のフリーターは“不安定な雇用”ではなかった。フリーターの状況が一変したのは、アルバイトの賃金が急速に落ち込んだバブル崩壊後である。

氷河期フリーターの大発生

バブル経済が崩壊すると、アルバイトの賃金は急落し、同時に大多数の企業が正社員の雇用自体も抑制し始めた。1993年(平成5年)以降、新卒の求人倍率は低下し、企業側の新卒を厳選する態度は厳しくなった[注釈 2]。そのため、新卒の求人倍率が一倍以上に保たれていながら、学生たちは「数十社回って内定が一つ取れるか取れないか」という状況へと陥った。いわゆる「就職氷河期」の到来である。2000年~2005年の超氷河期と呼ばれた時期は過酷さを極め、大学卒業者ですら、半数近くが就職すらできないという状態であった[7]

さらに、2001年から文部科学省が公務員浪人同様新卒就職希望者から外しても良いという通達が出され、ニート扱いする企業が増えるようになった状況などから、求人応募そのものを拒否する企業も増えた上、ハローワークの中途採用枠も、求職者数(就職希望者)に対して求人数(雇用口)が半分近く不足状況であったため、新卒の段階で就職できなかった者の何割かは、たとえニート扱いされてもフリーターになる以外に選択肢のない状況へと追いやられた(不完全雇用)。これが後に深刻な社会問題となる“氷河期フリーター”の発生経緯である。


注釈

  1. ^ 特に1980年代はアイドル全盛期であり、ミュージシャン俳優に憧れる若者が多く、彼らは芸能人を目指したり、就職せずにアルバイトで生計を立てる者が多かった。
  2. ^ バブル期は新卒でさえあれば面接一回のみで大手企業に入社ができたような状況が一変し、求人募集はするが採用者を極力少数に抑える企業が増え始めた。
  3. ^ 2003年度の内閣府「若年層の意識実態調査」により、氷河期フリーターの過半数(男性は90.9%以上)が就職を希望していることが分かっている。逆に、フリーターを続けたいと希望している者は8%に過ぎなかった。「意識」の項に出典へのリンク先あり。
  4. ^ 逆に、仕事を確保するために、安値で仕事を大量に請け、従業員に過酷な薄給激務を負わせる所も多い。月に552時間の労働時間にヤクザまで使う日本の 会社にイギリス人もびっくり!-レインダンス映画祭
  5. ^ 職業訓練を受ける場合、アルバイトを含めて仕事をしていないことが条件となるため、収入が途絶えてしまう。
  6. ^ アメリカでは、応募者の年齢や生年月日について企業側が質問を許されているのは「年齢は18歳以上であるか」「正式に採用が決まった時に、応募者の身分を証明できる物を提出できるか」の2点のみである。

出典

  1. ^ 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第3回 若者のワークスタイル調査」から―」『労働政策研究報告書』第148巻、労働政策研究・研修機構、2012年。 
  2. ^ a b c 「フリーター」とは誰なのか」(PDF)『日本労働研究雑誌』第46巻第4号、労働政策研究・研修機構、2004年4月、46-49頁、NAID 40006184798 
  3. ^ a b c d 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―「第4回 若者のワークスタイル調査」から―」『労働政策研究報告書』第199巻、労働政策研究・研修機構、2017年10月20日。 
  4. ^ 日本標準職業分類一般原則 職業の定義より
  5. ^ 『平成15年版国民生活白書』, 内閣府,2003年発行
  6. ^ OECD Labour Force Statistics 2020, OECD, (2020), doi:10.1787/23083387 
  7. ^ [1]
  8. ^ a b c 平成18年度国民生活白書
  9. ^ a b 平成15年版国民生活白書
  10. ^ 2006年12月1日付 読売新聞『フリーター選択の理由は「夢追求」…5年前に比べ増
  11. ^ 氷河期世代ユニオン
  12. ^ 仁井田典子「マス・メディアにおける「フリーター」像の変遷過程 : 朝日新聞(1988-2004)報道記事を事例として」『社会学論考』第29巻、首都大学東京・都立大学社会学研究会、2008年10月、107-146頁。 
  13. ^ ―平成16年雇用管理調査結果の概況― フリーターについて
  14. ^ 2010.4.9 じつは派遣より悲惨!“ブラック化”する外食・小売チェーンの正社員たち|格差社会の中心で友愛を叫ぶ|ダイヤモンド・オンライン
  15. ^ 35歳の平均年収 1997年:500~600万 2009年:300万 「若い頃の将来像と違う」 - newsing(ニューシング)
  16. ^ 年収200万以下、若者の4割強 兵庫県内労組調査 奈労連・一般労組支援
  17. ^ e-stat 一般職業紹介状況 2009年10月
  18. ^ 第1回 なぜいま「農業ブーム」か|農業には日本を変える力がある|WEB連載|新しい日本を創る提言誌 Voice+ ボイスプラス
  19. ^ 《農業労働現場の実情》(上) 農業ブームの陰に隠された低所得・重労働・労災多発の世界 - 日刊ベリタ 2009年08月18日11時01分掲載
  20. ^ 内閣府 (2020). 令和2年版子供・若者白書 参考資料10 巻末5-9 フリーター(パート・アルバイトとその希望者)の数 (Excel) (Report). 2021年5月11日閲覧
  21. ^ 厚生労働省・労働経済白書
  22. ^ 厚生労働省・労働白書
  23. ^ 平成15年版国民生活白書 (PDF)
  24. ^ リクルートワークス研究所
  25. ^ 2006年版 中小企業白書>第3部 少子高齢化・人口減少社会における中小企業>第3章 「子どもを産み育てやすい社会」に向けた中小企業の役割>第2節 若年者雇用の不安定化の概況
  26. ^ a b c d e 週刊東洋経済』2007年6月23日号
  27. ^ 2006年版 中小企業白書中小企業庁
  28. ^ 『新平等社会』 山田昌弘著 文藝春秋 2006年9月[要ページ番号]
  29. ^ 2006年版 中小企業白書』(中小企業庁)
  30. ^ 丸山俊『フリーター亡国論』ダイヤモンド社 2004年[要ページ番号]
  31. ^ 千葉県インターンシップ推進事業について
  32. ^ 2007年1月24日付け朝日新聞 『求人の年齢制限禁止 与党協議会で合意へ』
  33. ^ 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の改正について





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