ピーマン 歴史

ピーマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 05:49 UTC 版)

歴史

ピーマンと分類学上同種のトウガラシは、16世紀に日本に渡来したと言われ、『成形図説』(1804年)の中に、ピーマン形の甘味種のトウガラシの記載が見られる[2]。ピーマンとして日本へはじめて伝来したのは明治時代とも言われ、欧米から新たに甘味種が導入されたが、当時はあまり普及しなかった[2]。日本で広く普及したのは、第二次世界大戦後の1960年代以降からで、食生活の洋風化とともに栄養的に優れた食材として注目され、一般家庭に普及していった[6][2]。1964年(昭和39年)からは、「唐がらし」とは別に「ピーマン」の名で、農林統計に記載されるようになった[2]

品種

ピーマンそのものはトウガラシの品種の一つであり、果実は肉厚でカプサイシンを含まない。流通している最も一般的な種類は、果実が30 - 40 gぐらいの中型で、緑色をしているものである[3]。カラーピーマンも未熟果では緑色であるが、成熟すると赤色、橙色、黄色などに変化する。ピーマンの一種アナスタシア(フルーツピーマン)の販売されているものにも緑色のほかに、赤色、黄色、橙色、黒色(紫色)など様々な色のものもある。日本でパプリカと呼ばれる品種は、肉厚で果実の部屋数が3 - 4に分かれた綺麗なベル形の品種で、完熟果として赤、オレンジ、黄、茶色があり、未熟果として白、黒、緑、紫色がある[2]

緑ピーマン
一般的に流通しているもので、中型果で緑色の未熟果のピーマン。果肉は薄く、青臭い独特の風味がある。熟すると赤色に変化してカラーピーマンになる[7]。中果種は1個の重さが30 - 40グラム (g) あるが、大果種では150 g前後あり、味も中果種のものと同じである[5]
赤ピーマン(カラーピーマン)
赤ピーマンは、緑ピーマンが熟して赤くなったピーマンで、青臭さは減少して甘味が増している。果肉の厚みは緑ピーマンと変わらない[7]。カラーピーマンは、赤色、黄色、オレンジ色があり、緑の色が完熟して果実が色づく[8]。一般的な緑ピーマンよりも甘みが強く、臭いも薄い[3][5]。黄色、オレンジ色は、赤色とは別種[5]
こどもピーマン
果実が小ぶりで、肉厚で苦味が少なく甘みのあるピーマン。トウガラシから改良された品種で、ビタミンCやカロテン量は一般的な緑ピーマンより豊富である[8]
長ピーマン
形はホルン型とも呼ばれる細長い形のピーマンで、京野菜の万願寺とうがらしや伏見とうがらしに似ている[2]。辛味はなく、赤色やオレンジ色もある[2]
バナナピーマン
果実は長さ10 - 15 cmと細長くなるピーマンでバナナのような形をしており、熟すと黄緑からクリーム色、赤色へと変化する。肉厚で甘味があって辛味はなく、サラダ、マリネ、炒め物など様々な調理法で使われる[7][8]
パプリカ
大型の品種で、果実は赤色、オレンジ色、黄色などがあり、肉厚で甘味が濃いのが特徴。サラダやグリルなどの彩りにも使われる[7]。黄ピーマンは、大果種の緑・赤ピーマンとは別種の完熟果である[5]。市場に出回ることが少ない白ピーマンは、緑ピーマンと同様に未熟果[5]。表面の色が黒色から紫色の黒ピーマンは未熟果で、加熱調理すると表面も緑色に変わる[5]
フルーツピーマン
小ぶりで、ピーマン臭がない甘くてみずみずしさがあるピーマンで、サラダなど生食に向く[2]。「フルーツパプリカ」ともよばれ、「アナスタシア」「セニョリータ」「ぱぷ丸」などの品種がある[9]

栽培

栽培時期は春に苗を植えて、夏から秋にかけて収穫する野菜で、日本では5月頃に植え付けされ7月から10月頃にかけて収穫されるのが一般的である[10]。高温を好み栽培適温は25 - 30とされ、寒さには弱く18℃以下になると栽培不良になってしまう[10]。仕立や剪定の手間がかからず、比較的容易に栽培できる作物であるが、連作障害が起きるため同じ土地では、3年以上は同じナス科野菜を作らないようにする必要がある[10]。日当たりが良い土壌に、植え付け前に元肥を十分にすき込むことが重要で、土壌が乾燥しないように株元をなどで覆って水やりを切らさないようにすれば、1株だけでも長期間に渡りたくさんの果実を収穫することができる[10]。日本では冬から春にかけての時期はハウス栽培が行われている。

苗はの中央に穴を空けて植え付け、高さ1 m以上の支柱を立てて茎を縛り苗が動かないようにする[11]。苗が育って十分に根付くと花が咲き始めて、すぐに実がつくようになるが、はじめのうちは株をしっかり成長させるため、生長に必要な栄養分が最初の実に取られないように早めに摘果して、株の成長を促すようにする[11]。6月中旬から9月にかけて次々と実がつくようになると、長期間収穫できることから定期的に追肥を行うことも重要で、肥料不足になると花が落ちたり、雌しべが短い短花柱花が多くなる原因となる[12]。実は完熟するとかたくなってしまうので、開花後は2 - 3週間を目安に早めに収穫するようにすると、株への負担も小さく、次の実も早く大きくなる[12]

日本の主産地

日本の主な生産地は、茨城県宮崎県岩手県などで、生産量の日本一は茨城県で約5割を占め、次いで宮崎県、岩手県、高知県が多い[2]。露地栽培の出荷は7 - 8月が主であるが、施設栽培により通年安定的に供給されている[2]。平成14年 - 平成15年度の統計によれば、冬春ピーマン(11月 - 4月)は温暖な気候となっている宮崎県と高知県産が多く、夏秋ピーマン(8月 - 9月)は、福島県や岩手県産が多く出回っている[2]。茨城県産は夏秋ものと冬春もの共に対応し、4 - 7月は特に出荷量が多い[2]

外国から日本への輸入は、オランダ韓国ニュージーランド産が多い[2]。パプリカは、春 - 秋はオランダ産、冬期は韓国、ニュージーランド産が多い[2]


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Capsicum annuum L. Grossum group” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 講談社編 2013, p. 83.
  3. ^ a b c d e f g h i 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 90.
  4. ^ 「ピーマン」や「パプリカ」はフランス語で?野菜に関するフランス語”. Bibliette(ビブリエット). ビブリエット (2019年7月11日). 2021年7月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 講談社編 2013, p. 82.
  6. ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 16.
  7. ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 17.
  8. ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 91.
  9. ^ オリーブオイルをひとまわし編集部. “ピーマンなのに甘い!【フルーツピーマン】は生で食べるのがおすすめ”. オリーブオイルをひとまわし. ディライトクリエイション. 2021年7月10日閲覧。
  10. ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 20.
  11. ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 21.
  12. ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 22.
  13. ^ 講談社編 2013, p. 86.
  14. ^ 主婦の友社編 2011, pp. 18–19.
  15. ^ 捨てないで!ピーマンの「わた」と「種」”. RASSIC. 2020年10月7日閲覧。
  16. ^ a b c d e f g h 講談社編 2013, p. 85.
  17. ^ 「江川ピーマン北の湖」強すぎで揶揄 - 日刊スポーツ2015年11月21日
  18. ^ 「ピーマンの苦味成分」を解明”. タキイ種苗インフォメーション. 2012年5月16日閲覧。
  19. ^ こどもピーマンのひみつタキイ種苗
  20. ^ 講談社編 2013, p. 84.


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