ピーマン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/02 17:46 UTC 版)
歴史
ピーマンと分類学上同種のトウガラシは、16世紀(戦国時代)に日本に渡来したといわれ、「蕃椒」とよばれていた[9]。薬用、観賞用とされたトウガラシは、江戸時代に甘味種であるシシトウウガラシ、伏見甘などが出現し[9]、江戸時代中期の『成形図説』(1804年)の中には、ピーマン形の甘味種のトウガラシの記載が見られる[4]。
18世紀にアメリカ合衆国で、大きくて肉厚な甘トウガラシを品種改良した大型のピーマンが誕生した[9]。ピーマンとして日本へはじめて伝来したのは明治時代からともいわれ、欧米から新たに甘味種が導入されたが、青臭さが嫌われて当時はあまり普及しなかった[4][9]。第二次世界大戦後の食糧不足で野菜が高騰する中、政府の規制を受けないピーマンの生産が拡大するようになる[10]。戦後に野菜のさまざまな品目でF1品種が誕生していく中、むさし育種農場が育成したF1品種の「緑王」が1956年(昭和31年)誕生し、大ヒット品種となる[10]。日本で広く普及したのは1960年代以降からで、食生活の洋風化とともに栄養的に優れた食材として注目され、洋食や中華料理など一般家庭に普及していった[8][4][10]。1964年(昭和39年)からは、「唐がらし」とは別に「ピーマン」の名で、農林統計に記載されるようになった[4]。
1993年(平成5年)になると、オランダからパプリカが初輸入された[11]。高価な野菜でありながらオランダ産の取扱量は1999年までに10倍以上に増え、1999年以降は新規参入の韓国産の取扱量が徐々に増えて、2010年代には日本国内に流通するパプリカの70%以上を占めるようになり、身近な野菜となった[11]。
注釈
出典
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Capsicum annuum L. Grossum group ピーマン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 90.
- ^ a b c d e f g h 板木利隆 2020, p. 28.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 講談社編 2013, p. 83.
- ^ a b c 板木利隆 2020, p. 32.
- ^ “「ピーマン」や「パプリカ」はフランス語で?野菜に関するフランス語”. Bibliette(ビブリエット). ビブリエット (2019年7月11日). 2021年7月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g 講談社編 2013, p. 82.
- ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 16.
- ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 104.
- ^ a b c 竹下大学 2022, p. 105.
- ^ a b 大竹大学 2022, p. 105.
- ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 17.
- ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 106.
- ^ a b c d 竹下大学 2022, p. 108.
- ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 91.
- ^ オリーブオイルをひとまわし編集部. “ピーマンなのに甘い!【フルーツピーマン】は生で食べるのがおすすめ”. オリーブオイルをひとまわし. ディライトクリエイション. 2021年7月10日閲覧。
- ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 20.
- ^ a b c d e f 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 244.
- ^ a b 板木利隆 2020, p. 29.
- ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 21.
- ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 22.
- ^ 板木利隆 2020, p. 31.
- ^ 講談社編 2013, p. 86.
- ^ 主婦の友社編 2011, pp. 18–19.
- ^ “捨てないで!ピーマンの「わた」と「種」”. RASSIC. 2020年10月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 講談社編 2013, p. 85.
- ^ 「江川ピーマン北の湖」強すぎで揶揄 - 日刊スポーツ2015年11月21日
- ^ “「ピーマンの苦味成分」を解明”. タキイ種苗インフォメーション. 2012年5月16日閲覧。
- ^ こどもピーマンのひみつタキイ種苗
- ^ 講談社編 2013, p. 84.
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