バタフライ効果
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表現の由来
バタフライ効果(英語: butterfly effect)という表現は、気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル Predictability: Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?(予測可能性:ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?)[18] に由来すると考えられている[3]。ローレンツによると、ローレンツ自身は初期値鋭敏性の象徴として元々はカモメを使っていたが、この学会の主催者で気象学者のフィリップ・メリリースが蝶に変更したことで、この講演タイトルとなった[19]。蝶の方が儚げで弱そうなものに見えるので、大きなものを生み出し得る小さなものの象徴に最適と判断したのだろうと、ローレンツはこの変更理由を推測している[19]。
バタフライ効果という言葉が一般的に引用されるとき、ローレンツの講演タイトルのような形で説明を付けることが多いが、説明に出てくる地名と発生する現象には様々な違いが見られる。ベストセラーとなった1987年のジェイムズ・グリックの著書 "Chaos: Making a New Science"(邦題:カオス―新しい科学をつくる)では[20]、「今日の北京で1匹の蝶が空気をかき混ぜれば、翌月のニューヨークの嵐が一変する」という形で説明されており[21]、元の講演タイトルと比較すると「ブラジル」が「北京」に、「テキサス」が「ニューヨーク」に変わっている。ポピュラーカルチャーでの例としては、1990年の映画『ハバナ』でロバート・レッドフォード演じる主人公が「1匹の蝶が中国ではばたけば、カリブでハリケーンを起こす」というセリフをレナ・オリン演じるヒロインに話すシーンがあり[22]、「ブラジル」が「中国」に、「テキサス」が「カリブ」に、「嵐」が「ハリケーン」に変わっている。
一方、上記の講演からではなく、ローレンツがこの講演以前に研究・発表した、ローレンツ方程式と呼ばれる次の3元連立非線形常微分方程式が生み出すストレンジアトラクターの形状に由来するという考えもある[23]。
式中の x、y、z が変数で、p、r、b が定数である。ここで、ローレンツ方程式のパラメータを、p = 10、r = 28、b = 8/3 として与えて数値計算で軌道を計算すると、ストレンジアトラクタと呼ばれる3次元の解軌道が描かれる。これらのパラメータにより生み出されるストレンジアトラクタは、ローレンツの名を冠してローレンツ・アトラクタと呼ばれ[24]、その軌道はちょうど蝶が羽を開いたような形をしている[注釈 2]。このため、バタフライ効果の語源となったかは不明だが、このストレンジアトラクタのことはローレンツ・バタフライとも呼ばれる[26]。ローレンツ自身もどちらが語源であったかは確証していないが、ストレンジアトラクタの形状に由来する可能性について「私が話を交わした大勢の人たちは、バタフライ効果という名がこのアトラクタにちなんでつけられたものと思っていた。あるいはそういうことだったかもしれない」と述べている[23]。
注釈
出典
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