トド 分布

トド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 13:48 UTC 版)

分布

太平洋およびその沿海のオホーツク海ベーリング海[5]北海道から、カリフォルニア州南部チャンネル諸島にかけて生息する[5]

繁殖地や上陸地は、アリューシャン列島千島列島プリビロフ諸島カムチャツカ半島東部、アラスカ湾岸、カリフォルニア州中部のサンタクルーズにかけて[5]日本には千島列島や宗谷海峡の個体群が、冬季に北海道沿岸部へ回遊する[5]

宗谷岬沖合の弁天島では、2004年頃からトドの上陸数と頻度が増加し始め[7]、2016年春から来遊頭数が急増、上陸・遊泳合わせて6,000頭以上が観察された[8]

形態

頭骨

最大全長オス330センチメートル[5]。雌290cm[9][10] 。体重350 ~ 1,120キログラム[2][6]。アシカ科最大種[3][4]。背面の毛衣は淡黄褐色、腹面の毛衣は黒褐色[5]

四肢(鰭)は黒く、体毛で被われない[5]

出産直後の幼獣は全長1メートル[5]。体重16 - 23キログラム[6]。幼獣は黒褐色の体毛で被われるが、生後半年ほどで生え変わる[1][5]。オスの成獣は、上半身が肥大化する[3]。額が隆起し、後頭部の体毛が伸長したてがみ状になる[5]。属名Eumetopiasは古代ギリシャ語で「広い額」の意がある語に由来し、種小名jubatusはラテン語で「たてがみがある」の意で、オスに由来する[2]

生態

岩礁海岸から20 - 30キロメートル以内の海域に生息する[3]。昼間は、岩礁海岸に上陸して休む[3]

カサゴシシャモスケトウダラヒラメメバルなどの魚類や、イカタコといった頭足類などを食べる[5]。捕食者として、シャチネズミザメなどが挙げられる[2][6]

繁殖形態は胎生。5 - 7月になるとオスが上陸して縄張りを形成し、数頭から数十頭のメスとハーレム英語版を形成する[5]。主に6月に、1回に1頭の幼獣を産む[3]。授乳期間は1 - 2年[3]。オスは生後3 - 4年、メスは生後3 - 6年で性成熟する[3]


  1. ^ a b c d e f g Gelatt, T. & Sweeney, K. 2016. Eumetopias jubatus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T8239A45225749. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T8239A45225749.en. Downloaded on 07 February 2020.
    Gelatt, T. & Sweeney, K. 2016. Eumetopias jubatus ssp. jubatus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T17367725A66991984. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T17367725A66991984.en. Downloaded on 07 February 2020.
    Gelatt, T. & Sweeney, K. 2016. Eumetopias jubatus ssp. monteriensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T17345844A66991740. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T17345844A66991740.en. Downloaded on 07 February 2020.
  2. ^ a b c d e f g Thomas R. Loughlin, Michael A. Perez, and Richard L. Merrick, "Eumetopias jubatus," No. 283, 1987, Pages 1-7.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 伊藤徹魯 「トド」『日本の哺乳類【改訂2版】』阿部永監修、東海大学出版会、2008年、100頁
  4. ^ a b c d e f 中川元 「トド」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-1 哺乳類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、86頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 粕谷俊雄 「トド」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、24-25、163-164頁
  6. ^ a b c d Danielle Keranen, 2013. "Eumetopias jubatus" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed February 07, 2020 at https://animaldiversity.org/accounts/Eumetopias_jubatus/
  7. ^ 第551号(平成17年9月2日)~第600号(平成19年9月6日)| 試験研究は今 No.571「宗谷岬弁天島におけるトド調査始まる」(2006年6月21日)”. www.hro.or.jp. 2023年9月17日閲覧。
  8. ^ 宗谷岬弁天島のトド上陸場モニタリングについて”. 北海道立総合研究機構. 2023年9月18日閲覧。
  9. ^ Steller Sea Lions, Eumetopias jubatus. marinebio.org[出典無効][リンク切れ]
  10. ^ Steller Sea Lions Archived 19 March 2012 at the Wayback Machine.. Northwest Regional Office. noaa.gov[出典無効][リンク切れ]
  11. ^ a b c d e 服部薫、磯野岳臣、山村織生「4. トドによる被害の現状と取り組み」『日本水産学会誌』第77巻 第1号、日本水産学会、2011年、126頁
  12. ^ 北海のトド騒動”. 中日映画社 (1959年). 2022年5月22日閲覧。
  13. ^ 流氷に囲まれ3人絶望 知床沖 トド狩船『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月4日朝刊 12版 15面
  14. ^ 『海のけもの達の物語 -オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ』成山堂書店、和田一雄編著、2004年P108-110
  15. ^ 知里真志保『知里真志保著作集 別巻Ⅰ』平凡社、1976年、P.166頁。 
  16. ^ 知里真志保『分類アイヌ語辞典第三巻 人間篇』日本常民文化研究所、1954年、P.120頁。 
  1. ^ 多く"tondo"と発音する。樺太アイヌの叙事詩の中で使われる呼び名[15]


「トド」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トド」の関連用語

1
100% |||||

2
98% |||||

3
98% |||||

4
98% |||||

5
98% |||||

6
98% |||||

7
98% |||||

8
98% |||||

9
98% |||||

10
98% |||||

トドのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トドのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトド (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS