タイコンデロガの攻略 2つの砦の攻略

タイコンデロガの攻略

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 03:39 UTC 版)

2つの砦の攻略

グリーンマウンテンボーイズの旗(バーモント共和国の旗)

5月9日の午後11時30分までに、一行はハンズ・コーブ(現在のバーモント州ショアハム)に集まった。タイコンデロガへ向けて湖を渡る準備は整っていたが、午前1時30分まで船が来なかった、しかも全員を一度に運ぶには、船の数が足りなかった。[25] グリーン・マウンテン・ボーイズのうち83人が、アーノルド、アレンとともに最初に湖を渡った。あとの兵のために、ダグラスが一度戻ることになった。[2] 夜明けが近づくに連れ、アレンとアーノルドは、不意打ちの好機を失うのが怖くなり、今そこにいる人数で攻撃を仕掛けることに決めた。南門に唯一人いた歩哨は、マスケット銃を撃ったものの不発に終わり、持ち場から逃走した。アレン軍とアーノルドが砦に乱入した。一行は、就寝中の数少ない兵に銃を突きつけて起こし、彼らの武器を没収した。アレン、アーノルド、その他数名は階段を上がって士官の部屋に突撃した。大尉のウィリアム・デラプレスの補佐役を務める、中尉のジョスリン・フェルサムが物音で目を覚まし、デラプレスを呼び起こした。[26] 時間稼ぎをしている間、フェルサムが、いかなる当局関係者が砦を訪れたのか、それを知りたがった。後になって、アレンは、自分はデラプレスにこう告げたと言った。「大いなるエホバの神と大陸会議の名において!」[27] やっと部屋から現れたデラプレスは正装しており、をアレンに引き渡した[27]

この攻撃での死者はなかった。アメリカ軍の一人が、歩哨の銃で負傷しただけだった。[8] 結局、400人もの兵が砦に着いたころには、アレンの軍が砦のやら食糧やらを略奪しまくっていた。アーノルドは、グリーン・マウンテン・ボーイズから、指揮官としての権限を認められておらず、略奪行為をやめさせることはできなかった。かなり怒っていたアーノルドは、士官の部屋に退き、自分が徴集した兵が来るのを待ちながら、マサチューセッツの植民地議会に、アレンと兵士たちとが、砦を「気まぐれと出来心で支配している」と報告し、砦を奪い取る計画や、イギリスに包囲されているボストンに、兵器を送ることなども知らせた。[28] デラプレスが、自分の酒を略奪されることに抵抗したため、アレンはその酒の領収書を発行し、後でコネチカットにそれを提出して、支払いをするようにした。[29] アーノルドと、アレン、そして、アーノルドの言うことを聞かない兵士たちとの確執は悪化し、アレンの兵が、アーノルドに武器を突きつけてもおかしくない状況となっていた。[28]

5月12日、アレンはコネチカット総督のジョナサン・トランブルに捕虜を送った。こういう手紙がつけられていた。「ジョージ3世国王の軍の少佐、大尉、そして2人の中尉と正規兵とをお贈りいたします」[30] アーノルドの方は、それからの数日間、タイコンデロガ砦とクラウン・ポイントの軍備の一覧を作るので忙しかった。壁が一部の軍備の上に崩れ落ちたため、この仕事は難航した。[31]


  1. ^ Pell (1929), p. 81によれば、この証拠はない。 Boatner (1974) (pp. 1101–1102) では、アーノルドが単にアレンの後について歩いくのを許されたとなっており、 The Taking of Ticonderoga in 1775. Bellesiles (1995), p. 117では、アレンがアーノルドの気持を鎮めるために、先頭を歩かせたのだと主張している。
  1. ^ P. Nelson (2000), p. 61
  2. ^ a b Bellesiles (1995), p. 117
  3. ^ Smith (1907), p. 144
  4. ^ a b c Randall (1990), p. 104
  5. ^ a b Ward (1952), Volume 1, p. 69
  6. ^ a b Chittenden (1872), p. 109
  7. ^ a b Jellison (1969), p. 131
  8. ^ a b Ward (1952), Volume 1, p. 68.
  9. ^ a b Randall (1990), p. 86.
  10. ^ a b Ward (1952), Volume 1, p. 64.
  11. ^ Drake (1873), p. 130.
  12. ^ Gage (1917), p. 397.
  13. ^ Lanctot (1967), p. 49.
  14. ^ Randall (1990), p. 85.
  15. ^ Randall (1990), p. 87.
  16. ^ a b Bellesiles (1995), p. 116.
  17. ^ Boatner (1974), p. 1101.
  18. ^ Ward (1952), Volume 1, p. 65.
  19. ^ J. Nelson (2006), p. 15.
  20. ^ Randall (1990), p. 86–89.
  21. ^ a b Randall (1990), p. 90.
  22. ^ Smith (1907), pp. 124–125.
  23. ^ a b Randall (1990), p. 91.
  24. ^ Phelps (1899), p. 204.
  25. ^ Jellison (1969), pp. 114–115.
  26. ^ Randall (1990), p. 95.
  27. ^ a b Randall (1990), p. 96.
  28. ^ a b Randall (1990), p. 97.
  29. ^ Jellison (1969), p. 124.
  30. ^ Chittenden (1872), p. 49.
  31. ^ J. Nelson (2006), p. 40.
  32. ^ Chipman (1848), p. 141
  33. ^ a b c Randall (1990), p. 98
  34. ^ Smith (1907), p. 155
  35. ^ Morrissey (2000), p. 10
  36. ^ Randall (1990), p. 101
  37. ^ Randall (1990), p. 103
  38. ^ Smith (1907), p. 157
  39. ^ Lanctot (1967), pp. 44,50
  40. ^ Randall (1990), p. 105
  41. ^ a b Lanctot (1967), p. 44
  42. ^ Randall (1990), p. 106
  43. ^ a b J. Nelson (2006), p. 53.
  44. ^ J. Nelson (2006), p. 61.
  45. ^ Randall (1990), pp. 128–129.
  46. ^ Lanctot (1967), pp. 55–60.
  47. ^ Jellison (1969), p. 120.
  48. ^ Lanctot (1967), p. 45.
  49. ^ Lanctot (1967), p. 50.
  50. ^ Lanctot (1967), p. 53.
  51. ^ Lanctot (1967), p. 52.
  52. ^ Smith (1907), p. 250.
  53. ^ French (1911), pp. 387–419.
  54. ^ Randall (1990), pp. 290–314.
  55. ^ Morrissey (2000), p. 86.
  56. ^ a b Mackesy (1993), p. 40.
  57. ^ J. Nelson (2006), p. 42.
  58. ^ Van Tyne (1905), pp. 161–162.
  59. ^ Randall (1990), p. 99.
  60. ^ Smith (1907), p. 184.
  61. ^ Randall (1990), p. 121.





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