スンナ派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 07:52 UTC 版)
名称
アラビア語では教義的に「スンナとジャマーアの徒」[2] أهل السنة و الجماعة Ahl al-Sunnah wa al-Jamā‘ah (または単に「スンナの徒」 أهل السنة Ahl al-Sunnah)というが、「預言者ムハンマドの時代から積み重ねられた『慣行』(al-Sunnah スンナ)および正統なる『(イスラーム)共同体』(al-Jamā‘ah ジャマーア)に従う・護持する人々」というほどの意味で、アラビア語ではさらにこれを略して「スンナに従う人」を意味する「スンニー( سني Sunnī)」[注 1]とも呼ばれる。「スンニー」の音写をそのまま遣う他言語からの影響により、日本語ではスンニ派の使用も多い。
日本語訳では「派」と表記されるが、分派や宗派という意味合いがある訳ではない。預言者ムハンマド没後の初期イスラーム時代、ハワーリジュ派やシーア派などの分派活動に対して、イスラーム共同体の団結と共同体におけるコンセンサス形成を重視し、結果多数派を形成するに至ったものである。「スンナとジャマーア」という語彙が示す通り、この名称は預言者ムハンマドに由来する慣行(スンナ)と同じく預言者ムハンマド以来の共同体(ジャマーア)こそがイスラーム共同体の「最大公約数」であり、かつまたそうあるべきである、との認識に基づいた呼称(自称)である。
ハワーリジュ派とのあるいはシーア派との抗争の例に見られるように、これらの自称他称はイスラーム共同体の「あり方」に関わる問題であって、イスラームの宗教的根幹である神の唯一性(タウヒード)や聖典『クルアーン』そのものといった信仰箇条については、スンナ派やシーア派等では目立った相違はない[4]。
なお、ハディースの権威そのものを否定する流れとしては、クルアーン主義という思想も存在する。
注釈
出典
- ^ a b “Mapping the Global Muslim Population”. Pew Research Center (2009年10月7日). 2021年2月27日閲覧。
- ^ イスラームの歴史1, p. 121.
- ^ 鎌田繁「スンニー派」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、コトバンク
- ^ 小杉泰「スンナ派」『岩波イスラーム辞典』岩波書店、2002年、p500
- ^ イスラームの歴史1, p. 122.
- ^ イスラームの歴史1, p. 110.
- ^ イスラームの歴史1, pp. 125–126.
- ^ イスラームの歴史1, p. 140.
- ^ イスラームの歴史1, pp. 144–145.
- ^ イスラームの歴史1, pp. 148–149.
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