コガネグモ 人間との関係

コガネグモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/23 03:33 UTC 版)

人間との関係

コガネグモは日本の多くの地域においてごく身近に見られる普通種であり、中でも目立つ種であることから、その存在はよく知られている。そのために古くから各地で様々な名前で呼ばれていたようである。特にジョロウグモとは混同されやすく、同じものとして呼ばれることも多かったらしい。両種の違いについては後述する。それ以外に、湯原はサンバソグモ(三番叟のこと?)、ヨコブリグモなどの異名を取り上げ、さらに子ども達が勝手に呼ぶ名としてチンダイグモ(鎮台グモ?)、ヘイタイグモ(兵隊グモ?)を取り上げている[1]

ただ、実生活において大きな利害はなく、子どもの遊びに使われる程度である。

その一つは、子どもがセミなどを捕まえる場合である。捕虫網のような柄と網の枠だけを用意し、この枠にクモの網を引っかけ、臨時の網として用いて虫を捕る、という方法があり、その場合に本種の網が使われることが多かったという[2]。ただし、現在では簡単な虫取り網が安価に入手できるから、このような方法は廃れている。

もう一つはクモ同士を戦わせる遊び「クモ合戦」(後述)で、本種もよく使われる。

クモ合戦

クモは肉食性の小動物であり、2匹を近づければ攻撃を仕掛け合うことがある。そこで、クモを捕まえてきて互いにけしかけ、喧嘩をさせる遊び(昆虫相撲)が各地にある。本種やナガコガネグモ(本種ほど攻撃的でないのでおもしろくないという)のような造網性のクモを使う場合や、徘徊性のハエトリグモを使う場合(ホンチ・フンチ)などがあり、各地の伝統的な遊びにもなっている。ただし、子供が野外での遊びをすることが少なくなった現在では、それを見ることはあまりない。海外ではフィリピンで2匹のクモを細い横棒の上で闘わせる遊び(クモ相撲)が子どもたちによって日常的に行われているが、使われているのはコガネグモではなく、ヒメオニグモ属のクモである。

現在、このコガネグモを使用したクモ合戦を地域の伝統行事として盛んにおこない、町おこしに利用しているところもある。鹿児島県姶良市加治木町では「加治木くも合戦」を毎年の6月第3日曜日におこなっている。大人も子供も参加し、参加するものはあらかじめコガネグモを採集し、大会まで大事に育てる。強いクモを飼育するには色々な秘伝があり、名人と呼ばれる人もいる。紅白の布を巻いた横枝のついた棒を立て、この横枝にコガネグモ2匹を止まらせ、互いに喧嘩するようにけしかける。行司役は「タッタッタ」というかけ声をかける。この行事は、伝承に由れば、文禄・慶長の役において、薩摩藩島津義弘が出陣した際、兵士達を励ますために始めたものとされている。高知県四万十市にも同様の行事で「全日本女郎ぐも相撲大会」(対戦するクモはコガネグモ)がある。


  1. ^ 湯原(1931)p.126
  2. ^ 八木沼(1986),p.113
  3. ^ https://www.hindawi.com/journals/psyche/1973/086980/





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