ゲーム機 歴史

ゲーム機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 06:18 UTC 版)

歴史

ここではゲーム機と呼ばれているものがどのようにして確立したかを年代順に簡略に述べる。

ミニコン上で動作する『スペースウォー!

ゲーム機が誕生した1970年頃には、コンピューターと言えばメインフレームや、せいぜいミニコンピュータであり、大企業や大学や、それらあるいは軍の研究所で使われる高価なシステムしかなかった。初期のコンピューターゲームで最も有名なものとしては、ミニコン上で書かれ不特定多数の大学生に遊ばれた宇宙戦ゲーム『スペースウォー!』が挙げられる[6]。その後、ゲームは4つの道を通って発展した。

1972年、史上初のビデオゲーム機が登場するが商業的に成功せず、最初に商業ゲームとして成功したのはアタリのアーケードゲームの『ポン』だった[7]。ビデオゲームは、それまでゲームセンターで人気を博していたピンボールを瞬く間に駆逐した。アーケードビデオゲームは次第に内容が複雑化していき、ワイヤードロジックの回路では実現が難しくなるにつれマイクロプロセッサーが採用されるようになっていった。1970年代中盤に登場した最初期のテレビゲーム機(第1世代)は、それらのアーケードゲームを家庭で手軽に楽しむためのものであった。当初のテレビゲーム機は、初期のアーケードゲーム同様にワイヤードロジックで構成されていたため、1ハード1ゲーム、もしくは複数のゲームをスイッチで切り替える方式だった。第2世代(1970年代後半 - 1980年代前半)では、1つのハードでさまざまなゲームをプレイしたいというユーザーの欲求に応えるため、ハードにゲームソフトを組み合わせることで、コンピューターゲームをプレイすることができるシステムが採用された。ソフトの供給メディアはカセットテープを採用したマシンもあったが、Atari 2600はカートリッジでプログラムを供給するカートリッジ交換式のシステムを採用し、それが標準となった。1979年には史上初のサードパーティーが誕生し、ここで、ゲーム機本体を販売する産業とは別に、ゲームのプログラムそのものを販売して利益を上げるゲーム産業が誕生した。このAtari 2600によってテレビゲームのイメージがほぼ確立されたが、1982年にいわゆるアタリショックが起きた[8]

1975年には「史上初の市販パーソナルコンピュータ」と呼ばれるAltair 8800が登場したが、これは家庭用テレビに繋ぐなどして画面があるようなコンピュータではなかったのでゲームにはほぼ使われておらず)パーソナルコンピュータ上で動くゲームソフトが制作されるようになったのは1977年に、スティーブ・ジョブズスティーブ・ウォズニアックによってApple IIが開発・発売され、それの販売が成功してからである。Apple IIは家庭用テレビ受像機をモニタとして使うタイプであり、Apple IIには、ハードの開発者であるスティーブ・ウォズニアック自身によって制作されたBreakOutつまりブロック崩しゲームがつけられ、購入者たちは次々とゲームソフトを制作してゆくことになった。Apple IIのCPUはMOS社の6502で、この時期、8ビットマイクロプロセッサの開発競争が起こり、インテル社やザイログ社などのいわゆる「80系」のプロセッサと、モトローラ社などのいわゆる「68系」のプロセッサの間で激しいシェア争いが起きた結果、マイクロプロセッサの価格が大幅に下がり、そのおかげでそれを使って安価に、一般家庭でも購入できるような価格でコンピュータを作れる状態になり、Apple IIも開発・販売が可能になったわけだが、その後各社から続々と「パーソナルコンピュータ」(当時は「ホームコンピュータ」や「ホビーコンピュータ」などとも呼ばれていた)に分類できる8ビットパソコンが発売されてゆくことになった。この頃すでにテレビゲームやアーケードゲームはあったので、パソコンのユーザらはこれらのアーケードゲームを自宅で無料で楽しもうと、自力でプログラミングしアーケードゲームに似せたゲームを制作したり、出来た作品を互いに交換しあったりした。パソコンゲームはその後アドベンチャーゲームロールプレイングゲームシミュレーションゲームといった、同時代のアーケードゲームやコンシューマーゲームとは異なる分野で発展を遂げていくことになる[注 4]

1970年代後半のマイクロプロセッサは、グラフィックをそれ自体で処理するには速度不足であったため(例えばNTSCのグラフィック表示にはドットクロック12〜15MHz程度が必要であり、当時のマイクロプロセッサでは力不足[注 5])、当時のゲーム機・パソコン・アーケードゲームのいずれも、映像表示のために独自に作り込まれた回路設計となっており、それぞれの機種の個性となっていた。画像処理機能も含め、ゲーム向け機能の代表的なものはスプライト(オブジェクト)機能やスクロール機能などのハードウェア支援であろう。いずれも目的や想定するユーザー層などとコストの兼ね合いでこのあたりの機能と性能は決定されるため、目的のゲームに特化して設計されるアーケードゲーム機の回転機能などは花形であった。ゲーム機・パソコン・アーケードゲームが個々に独自のアーキテクチャを持つ傾向はその後も続いた。

1970年代後半には携帯型ゲーム機も人気となった。1979年には既にカートリッジ交換型携帯型ゲーム機が登場していたが、当時は技術的な制約から他の形態と比べて十分な製品を作れずにいた。かわりに主流となっていたものが電子ゲームと呼ばれるものであった。電子ゲームとは電卓の技術を応用したもので、アーケードゲームやパソコンゲームとはまったく別系統に生まれたものである。表示装置としては特定の形状を表示する液晶発光ダイオードが使われた。汎用のグラフィック表示機能を備えておらず、必然的に1ゲーム1ハードが基本であった。

第3世代(1980年代前半 - 1980年代中盤)では、ザイログ社のZ80MOS社の6502の競争激化により安価になったマイクロプロセッサや、その他の集積回路技術によってテレビゲーム機にも簡略化・低価格化を施されたスプライト機能とハードウエアスクロール機能が追加されていった。任天堂から1983年に発売されたファミリーコンピュータは、安価になった6502を搭載したうえに、さらにサードパーティーによるソフトウェアの製造をライセンス(ゲーム機メーカがサードパーティーにゲームソフトウエア開発・販売を許諾する)形式にし、ゲームソフトメーカからのライセンス収入を見込むことでゲーム機のハードウェア自体を低価格で販売することができ、それによりゲーム機所有者数が増えることでゲームソフトメーカも恩恵を得ることができた。

1980年代後半には、パソコンの性能向上速度が加速し最新機種が入れ替えられていったために、ゲームに対するパソコンのプラットフォーム性が失われた一方、相対的に機種変更頻度が少ないゲーム機はそのプラットフォーム性が高まった。パソコンやゲーム機などで、単一の機種が長期的に基本性能が変わらないまま販売され続ける(商品寿命が長い)と、その機種はひとつのプラットフォームとして認識され、その機種で他機種用のゲームを遊べるよう多くのソフトウェアが製作された(いわゆる移植)。「プラットフォームハードウェアと多数のソフトウェア」という手法は、ハードウェアの進歩や新しいプログラミング手法の導入(これらのゲーム機のソフトはほとんどがアセンブリ言語で記述されていたが、世の中のプログラミングはC言語などに移行しつつあった)を阻害するものではあったが、ゲームソフトという特定の先鋭分野における競争と技術開発を促進することでゲームソフト業界を急速に発展させる一因にもなった。第4世代(1980年代後半 - 1990年代前半)ではさらにゲームソフトの技術力や表現力が向上し、より高性能のハードウェアが求められるようになり、ゲーム機専用のプロセッサ類が設計されるようになった。それまでのゲーム機は、パソコン用チップや汎用製品を流用したものが多かったが、この時代になるとゲーム機はゲーム用途としてはパソコンをはるかに凌ぐ性能を持つとのイメージが確立された。また、他のハードウエア形態と遜色がない十分な性能をもつCPUとグラフィック表示装置を備えるカートリッジ交換型の「携帯型ゲーム機」がこの頃に発売され、人気を得るようになった。

なお、2000年代以降のゲーム機では再び据置機(テレビゲーム機)・携帯機・アーケードゲーム・パソコンゲームの区別が曖昧となるが、下記で詳しく述べる。


注釈

  1. ^ マイクロプロセッサ無しであり、ソフトウェアで動く方式ではなかった。
  2. ^ パソコンの単一機種の販売記録では世界一。この記録を破る機種はその後出ていない。
  3. ^ 教育用などにも使われた。
  4. ^ Apple IIなどはビジカルクという会計処理にも使えるソフトが購入可能だったので、会計の仕事をする人に限れば、その目的に一応事務的に使うことができたが、当時、プリンターは性能がきわめて低く文字をとても少ない点(ドット)で印字するような代物で、インターネットもまだ存在していない時代だったので、「ホームコンピュータ」や「ホビーコンピュータ」と呼ばれたものを購入した人々は、それを購入しても、(会計をする人でない、大多数の人は)美しい文書を印刷できるわけでもなく、情報検索をできるわけでもなかったので、1970年代後半や1980年代のパソコンというのは購入後しばらくすると、結局のところ、もっぱらゲームで遊ぶことや、ゲームソフトを書いてプログラミングの腕を磨くために使う、などということが主たる用途になってなってゆくことが、実はかなり一般的だった。
  5. ^ 4ビットまたは8ビットだからというようなアーキテクチャ的な理由ではない。
  6. ^ なお、1990年代後半以降のインターネット普及により、英語圏との情報流通が密になったため、「ゲームコンソール」という表現が日本語圏で見られることも多くなっている。
  7. ^ 例えばパソコンにおけるラップトップ機に近かった形態のPCエンジンLTなど。

出典

  1. ^ a b c d e f ゲーム機とは - IT用語辞典バイナリ”. 2014年4月8日閲覧。
  2. ^ 大河原克行 (2008年7月10日). “大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」「ゲーム機が無くなる日」を示唆したゲーム白書、「50代のゲーム利用増加」を裏付けたCESA報告書”. PC Watch. インプレス. 2021年7月4日閲覧。
  3. ^ 大河原克行 (2009年6月10日). “大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」ゲーム白書2009に見る、ゲーム機市場の大転換期〜急増するゲームコンテンツのダウンロード”. PC Watch. インプレス. 2021年7月4日閲覧。
  4. ^ [1]
  5. ^ ドスパラ、ゲーミングPCとは?
  6. ^ J. M. Graetz (1981), “The Origin of Spacewar”, Creative Computing (August, 1981), http://www.wheels.org/spacewar/creative/SpacewarOrigin.html 
  7. ^ 宮沢篤; 駒野目裕久アーケードゲームのテクノロジー(その1) 増補改訂版「<小特集>遊び・エンタテインメントとメディア」『情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]』第96巻第29号、9〜16頁、1999年https://ci.nii.ac.jp/naid/110002929678 
  8. ^ a b 樺島榮一郎「コンテンツ産業の段階発展理論からみる一九七二〜八三年の北米ビデオ・ゲーム産業─いわゆる「アタリ・ショック」をどう解釈するか」『コンテンツ文化史研究』第4号、コンテンツ文化史学会、24〜42頁、2010年。 
  9. ^ Michael Miller (2005年4月1日). “A History of Home Video Game Consoles”. InformIT. 2009年3月3日閲覧。
  10. ^ "Innovation and competition in standard-based industries: a historical analysis of the US home video game market" IEEE Trans. Eng. Manag. 49(2002)”. 2014年4月8日閲覧。
  11. ^ ケンタッキー・フライド・チキンがチキン保温機能搭載の本格ゲーミングPC「KFConsole」を正式発表!その正体は、4Kや240fpsにも対応するハイエンドゲーミングPCだった”. jp.ign.com. jp.ign.com. 2021年1月11日閲覧。
  12. ^ 八木基; 竹村裕夫5-5民生機器(5.画像応用)「<特集>テレビジョン年報」『テレビジョン学会誌』第32巻第7号、映像情報メディア学会、597〜601頁、1978年https://ci.nii.ac.jp/naid/110003698158 
  13. ^ PlayStationStore「ゲームアーカイブス」カテゴリ内にて「PCエンジンアーカイブス」を、本日より取り扱い開始”. ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン ニュースリリース (2007年9月15日). 2012年9月21日閲覧。
  14. ^ Video Business誌の1995年1月号の記事「Game makers dispute who is market leader.」より
  15. ^ スマートテレビの本質が問われる”. ダイヤモンド社. p. 3. 2013年12月3日閲覧。
  16. ^ Wii UはWiiの失敗を繰り返すか その2”. All About. オールアバウト (2013年4月4日). 2013年5月1日閲覧。
  17. ^ 「WiiU」不振・PS4は来年発売…“寒〜い”ゲーム年末商戦(産経新聞 2013年10月27日)
  18. ^ Xbox Oneは2013年中には出ない? 日本マイクロソフトのゲームビジネスはどうなる? 日本マイクロソフトのキーパーソン3名に直球で聞いてきた(4Gamer.net 2013年7月2日)
  19. ^ Xbox、今更日本でのプロモに力を入れるワケ マイクロソフト幹部が語る「日本重視戦略」
  20. ^ 家庭用ゲーム機逆風下でも24時間で実売100万台! ソニーPS4好発進のカギはインディーズの発展 ――吉田修平SCEワールドワイド・スタジオ プレジデントに聞く”. ダイヤモンド社. 2013年12月3日閲覧。
  21. ^ スティック型から手のひらサイズのSteam用PCまで――相次ぐ“ゲーム機”発表を読み解く【CES 2013】”. ファミ通. エンターブレイン (2013年1月9日). 2013年12月3日閲覧。
  22. ^ Amazon AppStream”. Amazon.com. 2013年12月3日閲覧。
  23. ^ クラウドゲームサービス「ジークラウド」あらため「GameNow」のサービスが本日開始。「イースI 完全版」など計26作品をAndroid端末で楽しめる”. 4Gamer.net. Aetas (2013年4月30日). 2013年5月1日閲覧。
  24. ^ スマホやタブレットで高負荷のオンラインゲームを楽しめる……データホテルのクラウドゲーミング”. イード (2013年6月13日). 2013年6月24日閲覧。
  25. ^ 生きていたシンラのDNA! Genvidが目指す“ゲームプレイ配信2.0”の世界 より自由で柔軟なゲーム観戦を実現。プレーヤーと視聴者のインタラクションも可能に”. 2017年7月12日閲覧。
  26. ^ モノ・マガジン 2020年2月16日号P43 家庭用ゲーム年代記
  27. ^ 「Nintendo Switch本体」品薄の お詫びとお知らせ”. 任天堂 (2017年6月22日). 2017年6月24日閲覧。
  28. ^ ソニーPS5販売を脅かす「転売屋」、買い占めで供給不足に拍車”. Bloomberg (2020年12月17日). 2021年2月4日閲覧。
  29. ^ ヨドバシアキバ、PS5店頭販売で警察が出動する騒ぎに”. GameWatch (2021年1月30日). 2021年2月4日閲覧。
  30. ^ 性能2倍、ピクセル数50%増加、小型軽量化された「Oculus Quest 2」実機レビュー”. pc.watch.impress.co.jp. pc watch (2020年9月17日). 2020年9月19日閲覧。
  31. ^ クラウドゲーミング環境「OOParts」が正式公開、往年の美少女ゲーム100タイトル超がスマホで遊び放題”. 2020年4月24日閲覧。
  32. ^ Amazon Luna”. www.amazon.com. www.amazon.com. 2020年9月25日閲覧。
  33. ^ Amazon、「Luna」でクラウドゲーム参入 AWSでホストし、PC、Mac、iOS、Fire TVサポート - ITmedia NEWS(2020年9月25日)、2020年9月26日閲覧。
  34. ^ ついにFacebookも参入!クラウドゲームサービス「Facebook Gaming」が海外向けに発表”. game.watch.impress.co.jp. game.watch.impress.co.jp. 2020年11月22日閲覧。
  35. ^ 月額520円のサブスクリプション型ゲームサービス「Plex Arcade」がスタート”. gigazine.net. GIGAZINE. 2021年1月27日閲覧。
  36. ^ カンタン、あんしん、無料!任天堂Wi-Fi connection ジーパラドットコム - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分)
  37. ^ ゲーム業界展望:スマホのゲーム機化進む PS4のカギは? KADOKAWA浜村弘一常務語る”. 2014年1月14日閲覧。
  38. ^ iPod touchの"ゲーム機としての"魅力とは - 米AppleのiPod担当者に聞く”. マイコミジャーナル (2011年2月7日). 2011年5月15日閲覧。
  39. ^ 3D立体グラフィックゲーム
  40. ^ トミー3D立体グラフィックゲーム シャーマンアタック
  41. ^ 3D立体グラフィックゲーム・宇宙壮絶戦車戦
  42. ^ 週間電子ゲームレビュースペースレーザーウォー
  43. ^ 週間電子ゲームレビュー宇宙壮絶戦車戦
  44. ^ Jaguar VR
  45. ^ ATARI JAGUAR VR HEADSET
  46. ^ AGH Jaguar Review: MISSILE COMMAND 3-D
  47. ^ 【西田宗千佳のRandomTracking】3D対応したPS3 Ver.3.30の狙いとこれから - AV Watch





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

ゲーム機のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゲーム機のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゲーム機 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS