ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣 スタッフ

ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 05:21 UTC 版)

スタッフ

参照[6][12][20][9]

スタッフ(ノンクレジット)

製作

制作経緯

検討用台本の作成時点で病気療養中であった円谷英二は参加意欲を見せていた[注釈 18]ため、台本には特技監修の肩書きで記載されており、ポスターなどもこれに準じたものが作られている[出典 33]。クランクイン直後の1970年1月25日には円谷が死去し[43]、告別式には撮影を中断して参加したスタッフが、おやじ(円谷)への恩返しと円谷特撮技術の総決算を誓った[注釈 19]

原案は1966年にアメリカとの合作用に書かれた検討用脚本の1つ『怪獣大襲撃』であり[43][21]、1969年に発表された製作ラインナップにもこのタイトルで記載されている[43]。原案となった検討用脚本では、宇宙からやってきた巨大生物群によって世界規模の天変地異が起こり、人類存亡の危機が迫る中で科学者らが怪獣の弱点を探るという大規模なものとなっていた[66]。この企画は一度見送られたものの、急遽1970年の春休み公開に間に合わせるため、完成済みの脚本が活用されることとなった[43]。ここから1969年時点の製作費に合わせた改稿に時間がかかり、最終的な台本となる『決戦! 南海の大怪獣』第3稿が完成したのは1970年1月となった[43]。同月に本編の撮影、翌2月に特撮がそれぞれ開始されたが、春休みの公開が危ぶまれたことから夏に延期された[出典 34][注釈 20]。春期プログラムには、本作品の代わりに『キングコング対ゴジラ』(1962年)の再編集版が組み込まれた[43][68]

撮影

セルジオ島の野外シーンは、1970年2月3日から同月27日まで八丈島にてロケーション撮影が行われた。同期間の八丈島は雪が降るほどの寒さに見舞われており、土屋嘉男や監督の本多猪四郎と一緒にコート姿の高橋厚子を写したスナップが残っている[27]。高橋自身も後年のインタビューで「とても寒かった」と語っている[58]ほか、東宝プロデューサーの田中文雄も寒かったことを証言している[25]。助監督の谷清次は、八丈島での予想外の降雪に頭を抱えた[注釈 21]ほか、行き帰りも天候が荒れて苦労したと述懐している[27]。サキ役の小林夕岐子は、八丈島での寒さに加え、全身にドーランを塗る際にぬるま湯を用いていたことも寒さを助長していたが、(寒さ対策として)背中にカイロを長時間入れていたために火傷するなどの苦労もあったという[70]

劇中のセルジオ島民の祈祷歌は、『キングコング対ゴジラ』での、ファロ島民の祈祷歌をアレンジしたものが使われている[71]

島民役の加藤茂雄は、リハーサルでセリフを片言でしゃべったところ、本多から「普通のしゃべり方でいい」と直され、本多はリアリティよりも子供たちへのわかりやすさを重視していたという[72]

クライマックスの火山は、オープンセットに約10平方メートルのセットが組まれた[41]

セルジオ島のコウモリは、形状の異なる複数のミニチュアによる操演で表現された[28]

同時上映


注釈

  1. ^ a b c d ノンクレジット。
  2. ^ 東宝公式サイト映画資料室では、「94分」と記述している[6]
  3. ^ 完成した映像では約物がない『ゲゾラ ガニメ カメーバ 決戦 南海の大怪獣』となっている。
  4. ^ 資料によっては、この表記に準じている[19]
  5. ^ 円谷が最後に携わった作品として、その遺作に挙げられている[1][19]
  6. ^ 東宝プロデューサーの田中友幸は、ゴジラの出ない怪獣映画であったため、興行的に成功したとは言い難いと述べている[24]
  7. ^ 田中は、このスケールでは最後を飾る怪獣映画だったのではないかと述懐している[24]
  8. ^ 資料によっては、異説として「1200トン」と併記している[40]
  9. ^ 資料によっては、「セルジオ島沖[34]」「セルジオ島近海[33][36]」と記述している。
  10. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「1100トン」と併記している[40]
  11. ^ 資料によっては「セルジオ島近海」と記述している[33][48]
  12. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、名称をガニメ(I・II)と区別している[40]
  13. ^ 書籍『オール東宝怪獣大図鑑』では、安丸がすべて担当したと記述している[48]。書籍『大ゴジラ図鑑2』では、安丸色が強いと評している[50]
  14. ^ 本作品公開の前年にアポロ11号が有人月面着陸を行っている。
  15. ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、島の男と記述している[20]
  16. ^ 予告やパンフレットなどでは「特技監督」と表記していた[27]
  17. ^ 撮影台本[6]、宣材のみクレジット。
  18. ^ 円谷は、死去の4日前にも本作品の打ち合わせを行いたいとの意向を示していた[43]
  19. ^ 東宝プロデューサーの田中文雄によれば、「円谷英二氏に捧ぐ」と表記することも検討されていたという[25]
  20. ^ 春期公開に併せて、雛祭りにちなんだ特写も撮影されていた[43]
  21. ^ 工藤たちがガニメとカメーバの戦いを見つめるシーンでは、雪が写り込んでいる箇所がある[69]

出典

  1. ^ a b c d ゴジラグラフィティ 1983, p. 29, 「PART.1 ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣」
  2. ^ ゴジラ大百科 1993, p. 147, 構成・文 中村哲「東宝SF/怪獣映画・海外版大研究」
  3. ^ a b c d e f g ゴジラ来襲 1998, pp. 82–83, 「第2章 東宝・怪獣SF特撮映画の歩み 第2期(1962-1970)」
  4. ^ a b c d e ゴジラ画報 1999, p. 162, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  5. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 140, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』」
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 映画資料室”. viewer.kintoneapp.com. 2020年4月5日閲覧。
  7. ^ a b c 本多全仕事 2000, p. 124, 「本多猪四郎作品リスト」
  8. ^ a b キャラクター大全 2014, p. 120, 「東宝特撮映画リストACT.3」
  9. ^ a b c d e f g h i 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 157, 「東宝チャンピオンまつり 新作7作品全データ」
  10. ^ 本多全仕事 2000, p. 79, 「本多猪四郎特撮映画の世界」
  11. ^ a b c d e f g h i 東宝写真集 2005, pp. 53–56, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  12. ^ a b c d e 東宝特撮映画全史 1983, p. 548, 「東宝特撮映画作品リスト」
  13. ^ a b c d e f g h 大ゴジラ図鑑2 1995, pp. 116–117, 「ゲゾラ」
  14. ^ a b 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 114, 「1970年代 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  15. ^ a b c d e f g h i j k 超常識 2016, pp. 278–280, 「宇宙生物の脅威から地球を守れ! ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  16. ^ a b c 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 34–35, 「1970夏期」
  17. ^ a b c d e f g h GTOM vol.0 2022, p. 29, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦! 南海の大怪獣」
  18. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 142, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』怪獣図鑑/兵器図録/資料館/撮影秘話-特別編-」
  19. ^ a b c 東宝特撮映画全史 1983, pp. 350–351, 「東宝特撮映画作品史 決戦!南海の大怪獣」
  20. ^ a b c d e f 東宝特撮映画大全集 2012, p. 141, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』作品解説/俳優名鑑」
  21. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, pp. 60–61, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  22. ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, p. 125, 「プロジェクト東宝チャンピオンまつり 祭り囃子は遠くに」
  23. ^ a b ゴジラ大全集 1994, pp. 68–69, 「東宝特撮映画史 ゴジラ誕生 チャンピオンまつりの時代」
  24. ^ a b 東宝特撮映画全史 1983, p. 58, 「田中友幸 特撮映画の思い出」
  25. ^ a b c ゴジラ大全集 1994, p. 74, 「ゴジラ復活までの道程 田中文雄」
  26. ^ a b c d e f g h i j k キャラクター大全 2014, p. 112, 「怪獣映画の興隆 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  27. ^ a b c d e f g h 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 82–83, 「メイキング『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦! 南海の大怪獣』」
  28. ^ a b c 大ゴジラ図鑑2 1995, p. 122, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ」
  29. ^ 本多全仕事 2000, p. 63, 「本多猪四郎全仕事・特撮映画編」
  30. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 160, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』」
  31. ^ a b c d e f g h i 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 116, 「1970年代 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  32. ^ a b c d e f g h 全怪獣大図鑑 2021, pp. 274–275, 「驚異の巨大生物たち」
  33. ^ a b c d e f g h i j k l 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 115, 「1970年代 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  34. ^ a b c d e f g h i j ゴジラ大百科 1993, p. 106, 文 秋廣泰生・天野秀明「東宝怪獣大図鑑」
  35. ^ a b c d e f 「人類を脅かした巨大生物大図鑑」『ゴジラ×メカゴジラ超全集』構成 間宮“TAKI”尚彦、小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2003年1月10日、39頁。ISBN 978-4-09-101488-7 
  36. ^ a b c d e f オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 158, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』ゲゾラ」
  37. ^ a b c 大辞典 2014, p. 381, 「ゴジラ大辞典 追補篇 け ゲゾラ」
  38. ^ a b c d e f g 怪獣大全集 1991, p. 76, 「東宝モンスター名鑑」
  39. ^ a b c d e f g ゴジラ大全集 1994, p. 118, 「東宝怪獣総進撃」
  40. ^ a b c d e f g h i ゴジラ来襲 1998, p. 208, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
  41. ^ a b c d e f g h i j k l m n 東宝特撮映画全史 1983, pp. 352–353, 「東宝特撮映画作品史 決戦!南海の大怪獣」
  42. ^ a b 特撮全史 2016, p. 109, 「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」
  43. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 東宝特撮映画大全集 2012, p. 143, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』撮影秘話/川北監督に訊く」
  44. ^ 『別冊映画秘宝 特撮秘宝』Vol.5、洋泉社、2017年1月5日、126頁、ISBN 978-4-8003-1127-6 
  45. ^ 決定版ゴジラ入門 1992, p. 108, 「第2章 ゴジラと怪獣たちの死闘 夢の怪獣対決3 ゴジラ対ゲゾラ」
  46. ^ 怪獣黙示録 2017, pp. 19–111, 第1章『出現』
  47. ^ プロジェクト・メカゴジラ 2018, pp. 53–85, 第6章『長征』
  48. ^ a b c d e オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 159, 「『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』ガニメ」
  49. ^ a b c d e f 全怪獣大図鑑 2021, p. 276, 「驚異の巨大生物たち」
  50. ^ a b c d e 大ゴジラ図鑑2 1995, pp. 118–119, 「ガニメ」
  51. ^ a b c 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 108–109, 「東宝チャンピオンまつり 造形メイキング チャンピオンまつり怪獣蔵出し造形テクニック」
  52. ^ 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS超全集』構成 間宮“TAKI”尚彦、小学館てれびくんデラックス愛蔵版〉、2004年1月1日、38、55頁。ISBN 978-4-09-101493-1 
  53. ^ 怪獣黙示録 2017, pp. 112–150, 第2章『G』
  54. ^ プロジェクト・メカゴジラ 2018, pp. 112–139, 第8章『決戦』
  55. ^ ゴジラ大全集 1994, p. 197, 「東宝超兵器大辞典 【は】」
  56. ^ a b c 東宝特撮メカニック大全 2003, pp. 126–127, 「1970s ヘリオス7号」
  57. ^ 東宝特撮メカニック大全 2003, p. 128, 「1970s 軌道カプセル」
  58. ^ a b 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 68–69, 「東宝チャンピオンまつりキャストインタビュー02 高橋厚子」
  59. ^ 大辞典 2014, p. 269, 「み 宮恭一」
  60. ^ 切通理作『本多猪四郎 無冠の巨匠』洋泉社、2014年、408頁。ISBN 978-4-8003-0221-2 
  61. ^ 東宝チャンピオンまつりパーフェクション 2014, pp. 66–67, 「東宝チャンピオンまつりキャストインタビュー01 佐原健二」
  62. ^ 東宝特撮映画全史 1983, p. 537, 「主要特撮作品配役リスト」
  63. ^ a b DVDコレクション50 2011, p. 8, 俳優名鑑
  64. ^ モスラ映画大全 2011, p. 31, 「脇役俳優辞典08」
  65. ^ 田中文雄、倉敷保雄(聞き手)(オーディオコメンタリー)『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣(『東宝 怪獣・特撮 Blu-ray 2枚組』 Disc 2)』(Blu-ray)2022年6月15日、該当時間: 58:18。品番: TBR31317D。 
  66. ^ DVDコレクション50 2011, p. 9, 鈴木宣孝「『怪獣大襲撃』企画誕生の背景」
  67. ^ DVDコレクション50 2011, p. 11
  68. ^ a b キンゴジコンプリーション 2021, p. 68, 「プロジェクト『キングコング対ゴジラ』」
  69. ^ 『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣(『東宝 怪獣・特撮 Blu-ray 2枚組』 Disc 2)』(Blu-ray)2022年6月15日、該当時間: 1:18:46。品番: TBR31317D。 
  70. ^ 東宝特撮女優大全集 2014, p. 117, 聞き手・構成 中村哲「小林夕岐子インタビュー」
  71. ^ キンゴジコンプリーション 2021, pp. 73–75, 「音楽概要」
  72. ^ モスラ映画大全 2011, p. 104, 構成・友井健人「東宝脇役俳優大全 インタビュー 加藤茂雄
  73. ^ a b 日本特撮映画図鑑 1999, p. 142, 「東宝特撮作品 ビデオLDラインナップ 特撮シリーズ」
  74. ^ 東宝 怪獣・特撮 Blu-ray 2枚組(『大怪獣バラン』『妖精ゴラス』『宇宙大怪獣ドゴラ』『決戦!南海の大怪獣』)(TBR31317D)”. TOHO theater STORE. 東宝ステラ. 2024年6月1日閲覧。

出典(リンク)






英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」の関連用語

ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS