クロスボーン・バンガードの機動兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 06:38 UTC 版)
モビルアーマー
ラフレシア
『F91』に登場。原案は同作の監督である富野由悠季が最後の敵メカとして考えていた「メドザック」(石垣純哉による最終ラフ画稿が2020年に自身のTwitterで公開された。名称は「メドザック・バスース」と記されている[57])であるが、富野曰く「メドザックはすごすぎる」ということで次回作(未発表)に回すことになり、メドザックを基本に富野がラフスケッチを描いた[58]。この時点でコンセプトと基本デザインは完成している。大河原が過労で入院したために石垣がラフをもとに第1稿を描き[59]、最終的なクリーンアップは退院した大河原がおこなった[58]。
- 設定解説
ラフレシア Lafressia[60] | |
---|---|
型式番号 | XMA-01[60] |
全高 | 37.5m[60] |
本体重量 | 184.6t[60] |
全備重量 | 263.7t[60] |
装甲材質 | チタン合金ハイセラミック複合材[60] |
出力 | 31,650kW[60] |
推力 | 52,020kg×5[60] 43,350kg×5[60] 28,900kg×20[60] 総推力:1,054,850kg |
武装 | 花弁部[61](葉部[62])メガ・ビーム・キャノン×5[60] 茎部[62]メガ粒子砲×5[60] 底部[62]拡散ビーム砲×8[60] 根部[62]ビーム・キャノン×4[60] テンタクラー・ロッド×125[60] Iフィールド・ジェネレーター[63] |
搭乗者 | カロッゾ・ロナ |
その他 | アポジモーター×40(本体)[60] |
CVの最高司令官にしてコスモ貴族主義の名の下で「無差別の粛正」を旨とする「鉄仮面」ことカロッゾ・ロナ大将テンタクラー・ロッドシア・プロジェクト」の遂行のために開発された、試作型MA。その外観は5枚の花弁を持つ巨大な花を想起させる、人型を外れたMAの中でも特に異彩を放つ機動兵器である[64]。本機にはバイオ・コンピューターの導入[65]など先鋭的な技術が多数導入されており、宇宙世紀0120年代の技術を結集した機体といえる[66]。ただしカロッゾは、総帥であるマイッツァー・ロナにも秘密で本機を開発している[67]。
制御はカロッゾ・ロナの鉄仮面と直結した光ファイバー経由で脳波コントロールによって行われる[60]。これはカロッゾがクロスボーン・バンガードに参画する以前から研究していた思考機器操作の研究の発展形にあり、「ネオ・サイコミュ」とも呼ばれる[68]。コクピットは“茎”にあたる中央ユニット先端に位置し、MSやMAのものとしてはきわめて珍しいキャノピー式の半露出構造となっており、リニアシートや操縦桿さえ有していない[61]。これはカロッゾがノーマルスーツなしで宇宙空間に出られる身体機能を有していたことを前提とした[61]、有視界戦闘のため[63]と考えられる。上述のネオ・サイコミュ・システムは、機動からテンタクラー・ロッド125基を含む豊富な武装による攻撃行動に至るまですべて機体制御をパイロットの思考のみで可能とするが、無論、常人にそれができるはずもなく、機械的な強化を施されたカロッゾの専用機として設計されている[61]。
- 武装・装備
-
- テンタクラー・ロッド
- 花弁型ユニット裏面に25基ずつ[61]、計125基を備える[60]。先端部にビーム・ライフルとチェーンソーを併せもつ[60]。またグフのヒートロッドのように、電撃攻撃も可能である[63]。
- 花弁部メガ・ビーム・キャノン
- 5基の花弁型ユニット先端に1基ずつを装備するメガ粒子砲[61]。ユニットの可動によって射界を広く確保することができ、機体全周への攻撃が可能[61]。
- 茎部メガ粒子砲
- 中央ユニットのコクピット周囲に配された計5基のメガ粒子砲[61]。連射性能には優れるが射界は限定され、巡航形態を含めた進行方向に対する攻撃手段となる[61]。
- 底部拡散ビーム砲
- 根部ビーム・キャノン
- 中央ユニット尾部に装備された2種類のメガ粒子砲[61]。一斉発射によって高い火力を発揮し[61]、月からの連邦軍艦隊を瞬時に撃滅している。
- Iフィールド・ジェネレーター
- 敵のビーム攻撃やMSの核融合炉の爆発にも耐え得るIフィールド・ジェネレーターを備える[63]。
- 劇中での活躍
- カロッゾが搭乗してCV艦隊旗艦のザムス・ガルから出撃、月から出撃した地球連邦軍の増援艦隊を一瞬で壊滅させると、続けてシーブックが搭乗するガンダムF91とカロッゾの実子ベラ・ロナの搭乗するビギナ・ギナと交戦を開始する。圧倒的な攻撃力とIフィールドによる鉄壁の防御力で2機を追い込み、懐に飛び込んできたビギナ・ギナをテンタクラー・ロッドで拘束、中破に追い込む。しかしこのとき、カロッゾが個人的感傷に駆られて自ら手で直接ベラに恐怖を与え屈服させるため、ラフレシアのコクピットから離れてしまう。このタイミングでF91がリミッターを解除し、ガンダムF91の「質量を持った残像」に翻弄され始める。加えて、自機周辺に引き寄せていたビギナ・ギナの残骸に対しF91が砲撃、熱核反応炉を爆発させた衝撃により花弁ユニットの1基を失う。更に焦燥に駆られて攻撃を続けるカロッゾだったが、最終的にラフレシアのコクピット間近に迫ったF91の残像に対しテンタクラー・ロッドが攻撃を行い、カロッゾ自身を撃ち抜くかたち[71][72][73]で自滅[67]、爆散する。
- 小説版では「F91が至近距離からラフレシアのコクピットにヴェスバーを撃った。ラフレシアの前に現れたF91の残像に対しテンタクラー・ロッドが攻撃を仕掛けていたため、ラフレシアに対し攻撃したように見えた。」と説明されている[74]。
ラフレシア・プロジェクト
当初は人の意識の拡大を実現するプロジェクトであり、この目標のためロナ家に入る以前のカロッゾは、ロナ家からの支援でバイオ・コンピューターを研究している。しかし、カロッゾはロナ家に婿入りしながらも、妻(ナディア・ロナ)との別離を招いてしまった[75]プレッシャーと苦悩の中で義父マイッツァーの指示(理想)を屈折して反映させ、プロジェクトを変貌させる[75]。初期段階で研究された思考による機器の操作や意思感知の技術を、カロッゾ自身に使用。結果、自意識(エゴ)を強化した「鉄仮面」が生まれる[75]。そして地球圏を圧迫する過剰人口[66]である、人類の9割削減を目的とした、無人兵器(バグ)による粛清[75]のための技術開発へと変遷していく。劇中で「誰も良心を痛めることのない良い計画」とカロッゾは語るが、本計画の真相は彼と一部の高級将校(ジレ・クリューガーら)によって極秘裏に進めていたものであり[75]、マイッツァー・ロナ総帥にすら詳細を秘匿されている。
エビル・ドーガ
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場するCVのMAである。
エビル・ドーガ Ebirhu Doga | |
---|---|
型式番号 | XMA-02 |
武装 | 大型メガ粒子砲 ファンネル バグ |
- 設定解説
- U.C.0093年以降、ブッホ・コンツェルンがジャンク回収業を行っていた折に第二次ネオ・ジオン抗争において新生ネオ・ジオン軍が廃棄したα・アジールの残骸を秘密裏に回収、U.C.0106年のクロスボーン・バンガード結成の傍ら開発した機体[69]。
- 自社のデナンタイプのMSの技術と掛け合わせて開発した。ファンネルを主兵装として搭載しており、これはネオ・サイコミュシステム制御により一般パイロットでもあつかうことが可能となっている。またラフレシアで用いられていたバグのコントロールシステムも搭載されている。製作総指揮のカロッゾ・ロナが戦死した事から実戦投入は見送られる[69]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f 『機動戦士ガンダムF91 オフィシャルエディション (B‐CLUB SPECIAL)』バンダイ、1991年5月、48-58頁。ISBN 978-4891891558。
- ^ 『グレートメカニックG 2019AUTUMN』双葉社、2019年9月、38頁。ISBN 978-4575465174。
- ^ a b c 『グレートメカニックG 2018WINTER』双葉社、2018年12月、38-42頁。ISBN 978-4575465136。
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- ^ “石 垣 純 哉 ☆ お仕事のご依頼 お待ちしております。”. Twitter. 2020年9月7日閲覧。
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- ^ NT100%コレクションF91 1991, p. 32.
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- ^ 小説版F91下巻 1991, p. 372.
- ^ a b c d e MSバイブル39 2020, p. 33.
- ^ a b c d e f g h i j EB CV建国戦争編 1991, p. 99.
- ^ 小説版Vガンダム1巻 1993, p. 193.
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